山邉の赤人
田子のうらに
うちいでゝ
みれば
白
妙の
冨士の高根
に
雪はふりつゝ
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○山邉赤人
あかみとゝよむ説
あれ○たゞ赤人と
よむがよきなり
父祖不詳
神亀の比の人也
是は人丸とおなじく
秘傳ある事也
山邉は姓なる所
の名なりそれを
姓とす人丸の后
を犯て流されしが
万葉の時召かえ
されて赤人と名を
かへたりと云説ある
古今序に山邊赤人
といふべ人丸は赤人
が上に立んとかたく
赤人は人丸が下に
たゝんとかたなん
ありけるとあり
別人なる事
明けし
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此哥の心は田子の浦に舩さし出てかへり
見るに冨士の高根の雪も見へ眺望
かぎりなくして心詞に及ぬに高根に
雪をみたる心を思ひ入てぎんみすべし
海辺のおもしろきこと○をも高根の妙
なるをも詞にはたす事なくてその
さまばかりをいひのべたること○なるか
こそあか人の哥をば古今にも哥にあ
やしくたへ哉といへりきめうの心なり
なを此雪はふりつゝといへる余情かぎり
なし
○季注に曰田子の浦に出て冨士の
高ねを見つる景氣言説に及
所になければ其てい斗をいひて
風致おのづからこもれり然ば此哥を
ことはるも又舌頭の及ぶ所にあらず
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巻第六 冬哥
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