新古今和歌集の部屋

鴨長明方丈記之抄 安元の大火3 幾十許ぞ







いくそばくぞ此たび公卿の家十六焼たり。
まして其外はかずしらずすべて都のうち
三分が一に及べりとぞ男女死ぬるもの
数千人馬牛の類ひ邉際をしらず。
人のいとなみみな愚かなる中にさしもあ
やうき京中の家を作るとて寶を
費し心を悩ますことは、すぐれてあぢ
きなくぞ侍るべき。又治承四年夘月
廿九日のころ、中御門京極の程より大
なる辻風おこりて、六条わたりまていかめ
しく吹けること侍き。三四町をかけて
 
 
いくそばくぞ。此たび公卿の家十六焼たり。まして
其外は数知らずすべて都のうち三分が一に及
べりとぞ。男女死ぬるもの数千馬牛の類ひ
辺際を知らず人の営みみな愚かなる中に、さし
もあやうき京中家を作るとて宝を費し心を悩ま
ことは、すぐれてあぢきなくぞ侍るべき
又治承四年夘月廿九日のころ、中御門京極の程よ
り大なる辻風おこりて、六条わたりまいかめ
く吹けること侍き。三四町をかけて
 

(参考)前田家本
幾十許ぞ。この度公卿の家十六焼けたり。まして
其外家々数を尽くすに及ばず全て都の中三分が一に及
べりとぞ。男女死ぬる物数千人牛馬の類ひ
辺際を知らず。人の営み皆愚かなる中に、さし
も危うき世中の家を造るとて、宝を費やす
事は、すぐれてあぢきなくぞ侍る
又治承四年卯月の比、中御門京極のほど
り、大きなる辻風起こりて、六条辺りまで、厳めし
吹く事侍き。三四丁を掛けて
 

(参考)大福光寺本
イクソハクソ其ノタヒ公卿ノ家十六ヤケタリマシテ
其外カソヘシルニヲヨハス惣テミヤコノウチ三分カ一ニヲヨ
ヘリトソ男女シヌルモノ数十人馬牛ノタクヒ
辺際ヲ不知人ノイトナミ皆ヲロカナルナカニサシ
モアヤウキ京中ノ家ヲツクルトテタカラヲツイヤシコゝロヲナヤマス
事ハスクレテアチキナクソ侍ル
又治承四年卯月ノコロ中御門京極ノホトヨ
リヲホキナルツシ風ヲコリテ六条ワタリマテ
フケル事ハヘリキ三四町ヲカケテ
 


 生都不知生生前來
 世猶來世全無辨世
 世云云
又しらず はじめのしらず
 といへるにあたりて出たり
かりのやどり 李太白
 春夜宴桃李園序曰
 夫天地者萬物之逆
 旅光陰者百代之過
 客而浮生苦夢
その主とすみかと無常
をあらそひ去様いはば朝
がほノ露にことならず
 いはばとはたとへばいへる
 心也。古今の序にぶんや
 のやすひではことばたくみに
 
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