源氏物語 浮舟
匂宮
眺めやる其方の
雲も
見えぬまで
空さへ暮るる
頃の
侘びしさ
よみ:なかめやるそなたのくももみえぬまでそらさへくるるころのわびしさ
意味:春の長雨で、憂鬱な気分のまま、貴方いる宇治の方を眺めると、雲も見えないで、私の心だけでなく、空さえ暗くなって来る、今日この頃の心細さです。
備考:長雨と眺めの掛詞。
浮舟
かき暗し
晴れせぬ峰の
雨雲に憂きて
世をふる身
をも
なさばや
よみ:かきくらしはれせぬみねのあまぐもにうきてよをふるみともなさばや
意味:空も暗くて、晴れない峰の雨雲の様に、憂いに暗くなって世を過ごしている我が身が、荼毘の煙となってしまいたい。
備考:降ると経る、浮きと憂き(自説)の掛詞。雨と尼の掛詞と言う説も有る。
宇治源氏物語ミユージアム 展示