おくるりうじろうかおもむくじやうしうに
送李侍郎赴常州
ゆきはれくもさんしほくふうさむし
雪晴雲散北風寒
そ すい ご さん とうろ なん
楚水吴山道路難
こんにちおくるきみをすべからくつくすゑひを
今日送君須盡醉
めうてうあいおもふともみちまん/\
明朝相憶路漫々
か し
賈至
冬と見へてふつたゆきかはれ雲もはれ
せつごの事ゆへきたかせかふいてさむくもの
すこいしふん常州へゆかるゝそのみちは
へいちもなく道路難の
しごくゆきにくきみち
すからである
今日さけをすゝむるから
十ぶんのんてゑひを
つくされよなせなれは
明日 わかるゝ身なれはもふ
いつ逢ふ事やらしれぬ
路漫々ととをい
ところへ
ゆかるゝなれは
相逢ふ事も
はかりかたい
胡濟鼎かいわく
此詩王雉が元二か
安西へつかいするにおくる
詩と相類す。蓋
明朝相憶路漫々なる
事を
おもにゆへに今日須盡醉
西出陽関無故人とおもふ
ゆへに勸君更盡一杯酒と
なむいへり。
李侍郎の常州に赴くを送る
賈至
雪晴れ雲散じて北風寒く、
楚水呉山、道路難し。
今日君を送る、須らく酔ひを尽くすべし。
明朝相憶ふも路漫漫
意訳
雪が晴れ、雲が散っても、北風が寒く、
君が旅する楚(岳陽)の川や呉(常州)の山の道は厳しいだろう。
だから、今日の君の送別会では大いに飲んで十分酔おうではないか。
明日の朝に君の事を思っても、果ての無い路は遥かに隔たり、心を通わす事は出来ないのだから。
※李侍郎 李曄。李白の叔父で、陪族叔刑部侍郎曄及中書舎人賈至遊洞庭湖に出て来る。
※常州 呉の地方。今の江蘇省常州市。
※漫漫 果ての無い事。
唐詩選畫本 七言絶句 巻四