はじめに
1 源氏物語小本 寛文版を、1記事3ページ、先ず現代ひらがなに直した。
2 どうしても読めない字は、○で表記した。
3 そして、それを読み易いように、適宜漢字にし、送り仮名を加え、句読点を加え、濁音点を付し、段落に分けた。特殊な読みは( )内にそのまま記載した。源氏物語大成による青表紙大島本との差異をアンダーラインで付した。
4 タイトルは、物語の内容から、適当に付けた。
5 挿絵以外は、写真も源氏物語関連の撮り溜めたものを使用したので、物語とはあまり関係のない。
6 素人が読んだので、誤読、誤字が有ったら、指摘頂ければ幸いである。
世の中代わりて後 世の中、代はりて後、万づ物憂くおぼされ、
女君達の近況 しき筋には思ひ聞こえ給へど、
車争ひ くしたるしつらひ、人の袖口さへ、
御息所の屈辱 心疾しきをばさる物にて、係るやつれを
祭の当日 ちすげみて、髪着こめたるあやしの物共
千尋 たり。「女房出で立つや」と宣ひて、姫君の
逢ふ日 させ給ひて、「いかで得給へる所ぞと、
物の怪の悩み いとど、万づいと憂くおぼし入られたり。
こひぢ (殿)には、樣でもおぼし寄らざりけり。
いきすだま ち、なき物にもてなす樣なりし御祓の後、
産気 人もたゆみ給へるに、俄かに御気色
夕霧の誕生 とてなん。かく参り来んとも更に思はぬを
左大臣の安堵 しう我にもあらぬ御心地をおぼし続くるに
葵上の死 こえ給ふ。御いらへ時々聞こえ給ふも
葵上の葬送 今はさりともと思ひたゆみたりつるに
葵上の死の虚脱 少なからぬに、大臣の闇にくれ惑ひ
御息所からの弔問の手紙 りなり。又、類ひおはせぬだに
露の世に なおえおぼし、直すまじきなめり
時雨るる空の浮雲 は常に参り給つつ、世の中の御物語など
籬に残る撫子 ざまにもて離るまじきなど、方々に
御殿油近く参らせ給ひて √辛き人しもこそは
大宮への消息 (と)り分きてらうたくし
左大臣邸退出 人々もいとかなし。
源氏の残した手習 も侍りつらんを、中々今は
西の対へ渡り給へり は慰むべかめれと思ふも
新枕 (恥ら)ひ給へる御樣、飽かぬ所無し
亥子の餅 御帳の内に差し入れて
香壺の筥 日選りして、きこし召すべき事にこそ
夜をや隔てん 無く面影に恋しければ
あまた年今日改めし むすぼほれて