新古今和歌集の部屋

延徳本 方丈記 心ざし道ふかければ

心ざし道ふかければ、つれ/"\たる愁もなし。

谷の清水、峯の木だち、眼をよろこばしむる友なり。風の音、むしの聲、耳にしたがふしるかなり。

春は、鶯のこゑを待えては、鸚鵡の囀と聞。松にかヽる藤なみ、紫雲のよそほひにて、なつかし。夏は、郭公をきヽ、かたらふごとに、四手の山路を契る。秌は、くまなき月の影に、満月のかほばせをおもひやり、冬のあらしに散りまがふ紅葉をば、常ならぬ世のためしなりと見。

殊さら無言をせざれども、ひとりゐたれば、口業をもつくることなし。かたく禁戒を守らざれども、境界なければ、何につけてか破らん。


春ハフチナミヲミル。紫雲ノコトクシテ西方ニゝホフ。夏ハ郭公ヲキク。カタラフコトニシテノ山チヲチキル。アキハヒクラシノコヱミゝニ満リ。ウツセ
ミノヨヲカナシムホトキコユ。冬ハ雪ヲアハレフツモリキユルサマ罪障ニタトヘツヘシ

…略…

コトサラ無言ヲセサレトモ、独リヲレハ、口業ヲゝサメツヘシ必ス禁戒ヲマモルトシモナクトモ、境界ナケレハナニゝツケテカヤフラン

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「方丈記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事