古今著聞集公事第四 103 後鳥羽院内辨の作法を習ひ給ふ事 後鳥羽院、公事の道をふかく御沙汰ありけるに、菩提院入道殿下に、内辨の作法をならはせおはしまさんとて、瀧口殿に御幸なりて、門みなさしまはされけり。入道殿下、すみぞめの御衣はかまに笏たゝしくして、院の御下重尻をたまはらせ給て、御腰にゆいて、もゝゆきはきてねらせ給たりける、目も心もおよばずまでたかりける。をさなき殿上人一二人、上北面には重輔朝臣一人ぞ候ける。