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艶書ニ古哥カク事
ある人女のもとよりふみをゑたり。その文に哥
二首あり。これかへしして給はせよとあつらへ侍を
みれば二首ながら古今の戀のうたなり。かへし
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をすべきにあらず。いかゞせましとおもひめぐらして
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をすべきにあらず。いかゞせましとおもひめぐらして
そのいはまほしき心にかなへるふる哥二首をなん
をしへてかゝせて侍りし。この事をあるふるき
人にかたり侍しかば、いみじきことなり。むかしいろ
ごのみのわざともこのみてしけるわざなり。しら
ぬをゝしはかり(ら)ひたること往事にかなへるいふ
なることなり。となむ感じ侍し。