仙臼風生空簸雪野鑪火暖未揚煙 齊名
きみならでたれにかみせんうめの花
いろをもかをもしるひとぞしる 友則
いろかをばおもひもいれずむめのはなつ
ねならぬよによそへてぞみる 華山院御製
紅梅
紅白梅花 紀斉名
仙臼に風生りて空しく雪を簸る。
野炉に火暖かにしていまだ煙を揚げず。
古今集 春歌上
梅の花を折りて人におくりける
紀友則
君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る
新古今集 巻第十六 雑歌上
梅の花を見たまひて 花山院御歌
色香をば思ひも入れず梅の花常ならぬ世によそへてぞ見る
點着雌黄天有意款冬誤綻暮春風
書窓有巻相収拾詔帋無文未奉行 保胤
かはづなくかみなびがはにかげみえ
ていまやちるらんやまぶきのはな 厚見女皇
わがやどのやへ山吹はひとへだにちり
のこらなんはるのかたみに 兼盛
款冬
藤原実頼
雌黄を点着して天に意あり、
款冬誤りて暮春の風に綻ぶ。
題花黄 慶滋保胤
書窓に巻有りて相収拾す、
詔紙に文無くもいまだ奉行せず、
新古今集 巻第二 春下
題しらず 厚見王
かはづなく神なび川に影見えていまや咲くらむ山吹の花
拾遺集
題しらず 読み人しらず
我が宿の八重山吹は一重だに散り残らなむ春のかたみに
まつかげのいはゐのみづをむすびつゝ
なつなきとしとおもひけるかな 恵慶
晩夏
竹亭陰合偏宜夏水檻風涼不待秋 白
なつはつるあふぎとあきのしらつゆとい
づれかまづはおかむとすらん
(納涼)
拾遺集 夏歌
河原院のいづみのもとにてすゞみ
侍りけるに
恵慶法師
松蔭の岩井の水を結びつつ夏なき年と思ひけるかな
晩夏
夏日遊永安水亭 白居易
竹亭陰合ひて偏に夏に宜し、
水檻風涼しくして秋を待たず、
新古今集 巻第三 夏歌
延喜御時月次屏風に 壬生忠岑
夏はつる扇と秋のしら露といづれかまづはおきまさるらむ
可憐九月初三夜露似真珠月似弓 白
露滴蘭叢寒玉白風銜松葉雅琴清 英明
さをしかのあさたつをのゝあきはぎに
たまとみるまでおけるしらつゆ 家持
霧
竹霧暁籠銜嶺月蘋風暖送過江春 白
(露)
暮江吟 白居易
憐れむべし九月初三の夜、
露は真珠に似たり、月は弓に似たり。
秋風颯然新 源英明
露は蘭叢に滴りて寒玉白し。
風松葉を銜みて雅琴清めり。
新古今集 巻第四 秋歌上
題しらず 中納言家持
さを鹿の朝立つ野邊の秋萩に玉と見るまで置けるしらつゆ
霧
○楼暁望 白居易
竹霧は暁に嶺に銜む月を籠めたり。
蘋風暖かにして江を過ぐる春を送る。
○まだれに臾
賓客白樂天愛為吾友 篤茂
迸笋未抽鳴鳳管盤根纔點臥龍文 中書王
しぐれふるおとはすれどもくれたけ
のなどとゝもにいろもかはらぬ
草
沙頭雨染斑々草水面風駈瑟々波 白
(竹)
(修竹冬青序 藤原篤茂)
(晋の騎兵参軍王子猷、
栽ゑて此の君と称す、
唐の太子の)賓客白楽天は、
愛して吾が友となす
禁庭植竹 兼明親王
迸笋はいまだ鳴鳳の管を抽でず。
盤根は纔かに臥龍の文を点ず。
新古今集 巻第六 冬歌
題しらず 中納言兼輔
時雨降る音はすれども呉竹のなどよとともに色もかはらぬ
草
早春憶微之 白居易
沙頭に雨染む斑々たる草。
水面に風は駈る瑟々たる波。
なみあしべをさしてたづなきわたる
おほぞらにむれゐるたづのさしなが
らおもふこころのありげなるかな
あまつかぜふけゐのうらにゐるたづの
などかくもゐにかへらざるべき
(鶴)
(万葉集)
(神龜元年甲子冬十月五日幸于紀伊國時山部宿祢赤人作歌一首并短歌反歌二首
若浦尓 塩満来者 滷乎無美 葦邊乎指天 多頭鳴渡)
(右年月不記 但称従駕玉津嶋也 因今檢注行幸年月以載之焉)
(若の浦に潮満ち来れば潟を)なみ葦辺をさして田鶴鳴きわたる
拾遺集 賀歌
五条内侍のかみの賀民部卿
清貫し侍りける時屏風に
伊勢
大空に群れたる田鶴のさしながら思ふ心のありげなるかな
新古今集 巻第十七 雑歌下
殿上離れ侍りてよみ侍りける 藤原清正
天つ風ふけひの浦にゐる鶴のなどか雲居にかへらざるべき
なにをしてみのいたづらにおいぬらん
としのおもはむこともやさしく
よのなかはとてもかくてもおなじ
ことみやもわらやもはてしなければ
かくばかりへがたくみゆるよのなかに
うらやましくもすめるつきかな
述懐
古今集 俳諧歌
読み人しらず
何をして身のいたづらに老いぬらむ年の思はむこともやさしく
新古今集 巻第十七 雑歌下
題しらず 蝉丸
世の中はとてもかくても同じこと宮も藁屋もはてしなければ
拾遺集 雑上
法師にならむと思ひたち侍りける
比月を見て
藤原高光
かくばかりへがたく見ゆる世の中にうらやましくもすめる月かな
倭漢朗詠集
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jikan314
kunorikunori
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