新古今和歌集の部屋

源氏物語における苔


志賀越の石仏

源氏物語に出て来る苔を調べました。なお数値は、帯が記載されている新体系のページ数と行数。

若紫
165-8
「あな、今めかし。この君や、世づいたるほどにおはするとぞ、思すらむ。さるにては、かの若草を、いかで聞い給へる事ぞ」と、樣々あやしきに、心亂れて、久しうなれば、情けなしとて、
  枕結ふ今宵ばかりの露けさを深山のに比べざらなむ
乾がたうはべるものをと聞こえ給ふ。

※深山の苔 苔の衣で、法衣の事。尼の境遇を言う。

170-1
岩隠れのの上に並みゐて、かけら參る。落ち來る水の樣など、ゆゑある瀧のもとなり。頭中将、懐なりける笛取り出でて、吹きすましたり。弁の君、扇はかなううち鳴らして、「豊浦の寺の、西なるや」と歌ふ。人よりは異なる君達を、源氏の君、いといたううち悩みて、岩に寄りゐ給へるは、たぐひなくゆゆしき御有樣にぞ、何ごとにも目移るまじかりける。例の、篳篥吹く随身、笙の笛持たせたる好き者などあり。

※豊浦の寺の、西なるや
催馬楽 葛城
葛城の寺の前なるヤ
豊浦の寺の西なるヤ
榎葉井に白璧沈くヤ
真白璧沈くヤ
オシトヾトオシトヾ
然してば国ぞ栄えむヤ
我家らぞ富せむヤ
オシトヾトシトンドオヽシトンドトシトンド

少女
325-15
御返りは、この御箱の蓋に敷き、巌などの心ばへして、五葉の枝に風に散る紅葉は軽し春の色を岩根の松にかけてこそ見め

胡蝶

400-3
弥生の二十日あまりのころほひ、春の御前の有樣、常よりことに盡くして匂ふ花の色、鳥の声、ほかの里には、まだ古りぬにやと、めづらしう見え聞こゆ。山の木立、中島のわたり、色まさるの景色等、若き人々のはつかに心もとなく思ふべかめるに、唐めいたる舟造らせたまひける。急ぎ装束かせ給ひて、下ろし始めさせ給ふ日は、雅楽寮の人召して、舟の楽せらる。親王たち上達部など、数多參り給へり。

402-11
夜に入りぬれば、いと飽かぬ心地して、御前の庭に篝火ともして、御階のもとのの上に、楽人召して、上達部、親王たちも、皆おのおの弾きもの、吹きものとり/"\にし給ふ。

藤裏葉
195-8
「この水の心尋ねまほしけれど、翁は言忌して」と宣ふ。
  そのかみの老木はむべも朽ちぬらむ植ゑし小松も生ひにけり

竹河

276-11夕暮のしめやかなるに、藤侍従と連れてありくに、かの御方の御前近く見やらるる五葉に、藤のいとおもしろく咲きかゝりたるを、水のほとりの石に、を蓆にて眺めゐ給へり。まほにはあらねど、世の中恨めしげにかすめつゝ語らふ。

浮舟
248-10
君は、「げに、ただ今いと悪しくなりぬべき身なめり」と思すに、宮よりは、「いかに、いかに」と、の亂るゝわりなさを宣ふ、いとわづらはしくてなむ。

参考 古今和歌六帖 草
逢ふことをいつかその日と松の木の苔の乱れて恋ふるこのごろ

蜻蛉
209-5
穢らひといふことはあるまじけれど、御供の人目もあれば、昇りたまはで、御車の榻を召して、妻戸の前にぞゐたまひけるも、見苦しければ、いと茂き木の下に、を御座にて、とばかり居給へり。

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