源氏物語 蛍
長雨例の年よりもいたくして、晴るゝ方なく、つれ/"\なれば、御方々、絵物語などのすさびにて、明かし暮らし給ふ。明石の御方は、さやうの事をもよしありてしなし給ひて、姫君の御方に奉り給ふ。西の対には、まして珍しく覚え給ふ事の筋なれば、明け暮れ書き読み営み御座す。つきなからぬ若人数多有り。樣々に珍かなる人の上などを、真にや偽りにや、言ひ集めたるな中にも、わが有樣のやうなるは無かりけりと見給ふ。
略
「こちなくも聞こえ落としてけるかな。神代より世にあることを、記し置きけるなり。日本紀などは、ただかたそばぞかし。これらにこそ道々しく詳しき事はあらめ」とて、笑ひ給ふ。
一条天皇 おおそうだ😃💡藤壺で、これを読み上げる会を開いては、どうだ?
中宮、藤式部 にっこり😊😊
宰相の君 光る君は、「無骨な事を言ってけなしてしまったかな?物語は、神代から、世にある事を書き記していると言われているよ。日本紀などは、ほんの一面に過ぎない。物語にこそ、道理にかなった詳しい事が書いてあるのだろう」と言って、お笑いになった。