いちじやうじむら
一乗寺村
きたやまごぼう
北山御坊
しせんどう
詩仙堂
はちだいてんわう
八大天王
詩仙堂は一乗寺村天王に至る南の方にして石川丈山の山荘也。表に小有洞
の額あり。中門の額は梅関路次の額は凹凸窠詩仙堂の額上は噴月楼
下は蜂要四壁には漢晋 唐宋の詩人三十六輩の像を畫則其人の
詩を丈山みづから書して画は狩野尚信とぞ。故に詩仙堂といふ。
左一 蘇武 謝霊運 杜審言 李白 王維 高適 儲光義 韋応物 韓愈 劉禹錫 李賀 杜牧 寒山
右一 陶潜 鮑 昭 陳子昂 杜甫 孟浩然 岑参 王昌齢 劉長卿 柳宗元 白居易 盧同 李商隠 霊徹
林逋 梅堯臣 欧陽修 黄庭堅 陳与儀 左十八
邵雍 蘇舜欽 蘇軾 陳師道 魯幾 右十八
丈山の墳は詩仙堂の巽の方山上にあり。正保二年舞楽寺村の中山に
壽壙を築いて頑仙祠と號す(丈山は無二の隠士にしてこの竹林に居し誓つて鴨川を渡らず
となり。寛文十二年五月二十三日卒す。年齢九十歳)
天王社は一乗寺山下里松の束にあり。古は舞楽寺のやしろといふ。八大天王
を祭る。末社は諏訪八幡宮也。此地の氏神にして例祭は三月五日なり。