公任集
中宮のうちにまゐり給ふ御屏風歌。人の家ちかくまつむめのはな
などあり、すだれのまへにふえふく人あり
梅花にほふあたりの笛の音はふくかぜよりもうらめしきかな
さい相中将いれり、ただのぶ
中宮のうちにまゐり給ふ屏風の和歌。うみづらなる人の家のか
どに人きたり。人出でてあいひたり。
昔見し人もやあるとたづねては世にふる事をいはんとぞ思ふ
おきなのつるかひたる所
ひなづるをすだてし程に老いにけり雲ゐのほどをおもひこそやれ
花山院のいれり
山づらにけぶりたつ家あり。野にきじどもあり。みちゆき人たち
とまりて見たり
煙たちきぎすしばなく山ざとのたづぬるいもが家ゐなりせば
人の家にはなの木どもあり。女すずりにむかひてゐたり
待つ人につややらましわがやどの花は今こそさかりなりけれ
人の家に松にかかれるふぢを見る
※わが門に~は、高遠の作。