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新古今和歌集の部屋

前田家本 方丈記 遷都4 軒を争ひし人の住まひ日を経つつ荒れ行く

をあらそひし人のすまひ日を

へつゝあれゆくいゑはこほたれてよ

とかはにうかひ地はめのまへにはたけ

となる。ひとのこゝろみなあらたま

りてたゝみなむまくらをのみ

おもくす。うしうくるまをようす

るものなし。西南海の領所をねか

ひて東きた國の荘薗をこのま

す。その時をのすからたよりあり

 


(軒)

を争ひし人の住まひ、日を経つゝ荒れゆく。

家は毀たれて淀川に浮かび、地は目の前に畠となる。

人の心皆改まりて、たゞ皆馬鞍をのみ重くす。

牛車を用する者無し。

西南海の領所を願ひて、東北國の荘薗を好まず。

その時、自ずから頼りあり

 


(参考)大福光寺本 

ヲアラソヒシ人ノスマヒ日ヲヘツゝアレユク

家ハコホタレテ淀河ニウカヒ地ハメノマヘニ畠トナル

人ノ心ミナアラタマリテタゝ馬クラヲノミヲモク

ウシクルマヲヨウスル人ナシ

西南海ノ領所ヲネカヒ東北ノ荘薗ヲコノマス

ソノ時ヲノツカラ事ノタヨリアリ

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