もし、かうばしき友、芝の戸をたヽいて入來れば、往事をかたり、來縁を契る。それ、世間名聞寄合の爲に契らず。只後世菩提の眞の善知識のためにかたらふ。 心に佛を念じ、手に經巻をにぎるに、妨る人もなし。倦よれば、をのづから怠るに、恥べき人もなし。 心いさめば、又はじむ。念佛し、讀經するに、名聞の爲にせざれば、人にかざることなし。檀那をいのらざれば、しるしのなきことをうらみず。 但、みづから慚愧の心を起し、信教の思あらんことを持ばかり也。