新古今和歌集の部屋

延徳本 方丈記 方丈のすまゐたのしきこと

方丈のすまゐたのしきこと、かくのごとし。冨る人にむかひていふにあらず。たヾ、身ひとつにとりて、心のひくかたなれば、原憲が百つヾり、顔子が一瓶のあとをおもふばかり也。

是をうたがはしくおもはヾ、魚と水の情を見よ。魚は水にあかず。鳥は林を愛す。魚にあらざれば、水の住よき心をしらず。鳥にあらざれば、林のねがはしきをしらず。

かれがごとく、とめる人は、賎しきふるまひをくるしとみる。貧しき我は、冨るふるまひを苦しと見る。志一ならねば、ふるまひもおなじからず。


若人ノイヘル事ヲウタカハゝ、魚ト鳥トノアリサマヲ見ヨ。魚ハ水ニアカス。イヲニアラサレハソノ心ヲシラス。トリハ林ヲネカフ。鳥ニアラサレハ其ノ心ヲシラス。

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