新古今和歌集の部屋

鴨長明方丈記之抄 日野の庵8 恐ろしき庵ならねど

とす。おそろしき山ならねど、ふくろう

の聲をあはれむにつけても、山中の

景気折につけても、盡ることなし

いはんやふかくおもひ、深くしれ覧人の為

には、これにしもかぎるベからず。大かた此所に

住初し時は白地とおもひしかど、今迄

に五とせを經たり。假の庵もやゝふる

屋となりて、軒にはくち葉ふかく、土居

苔むせりをのづから事の便に都を聞

ば此山に籠ゐて後、やんごとなき人の

かくれ給へるもあまた聞ゆ。まして其数

 
 
 
とす。恐ろしき山ならねど、梟の声をあはれむにつけて
も、山中の景気、折につけても、尽くる事なし。いはん
深く思ひ、深く知れらん人の為には、これにしも限る
ベからず。
大方、この所に住み初めし時は、あからさまと思ひしか
ど、今迄に五とせを経たり。仮の庵も、やや古る屋とな
りて、軒には朽ち葉深く、土居苔むせり。をのづから、
事の便りに都を聞けば、この山に籠り居て後、やんごと
なき人の隠れ給へる、あまた聞ゆ。ましてその数
 

(参考)前田家本
とす。怖ろしき山ならねば、梟の哀れむに付けて
も山中の景気、折に付けつゝ、尽くること無し。
深く知れらん人の為には、これにも限るべからず。
大方、この所に住みそめし時は、あからさまにと思ひしか
ども、今既に五年を経たり。仮の庵もやゝ古屋とな
りて、軒に朽ち葉は深く、居に苔むせり。をのづから
事の便りに都を聞けば、この山に籠りゐて後、やむごと
なき人の隠れ給へるあまた聞こゆ。ましてその数
 

(参考)大福光寺本
トス。ヲソロシキ山ナラネハフクロフノコヱヲアハレムニツケテ
モ山中ノ景気ヲリニツケテツクル事ナシ。ハイム
フカクヲモヒフカクシラム人ノタメニハコレニシモカキルヘカラス。
ヲホカタコノ所ニスミハシメシ時ハアカラサマトヲモヒシカ
トモイマステニイツトセヲヘタリ。カリノイホリモヤゝフルサトゝナ
リテノキニクチハフカクツチヰニコケムセリ。ヲノツカラ
コトノタヨリニミヤコヲキケハコノ山ニコモリヰテノチヤムコト
ナキ人ノカクレ給ヘルモアマタキコユ。マシテソノカス
 
 
勝地はぬしなければこゝろ
をなぐさむるにさはりな
し 勝地本來無定
 主大都山属愛山人
 朗詠とも書たり 白
 易
 
すみ山 すみ窯の郷とい
 へる所にや。すみがまの郷
 は山城なり 續古今
        藤原伊定
すみがまの煙を郷の名に立て
よそにもしるきをのゝ山本
 
 
 
新続古今集 冬歌
 弘安百首歌の中に        藤原伊定朝臣
炭窯のけぶりを里の名にたててよそにも知るきをのの山本
 

日野法界寺阿弥陀堂

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