せいていのしゆんほう か し
西亭春望 賈至
ひながくかぜあたゝかにしてやなぎせい/\ほくかんきひしているようめいに
日長風暖柳靑靑北雁歸飛入窅冥
かくやうしやうしやうきくすいてきをよくしてしゆんしんをみたしむとうていを
岳陽城上聞吹笛能使春心滿洞庭
はるのあたゝかなしぶんゆへ柳もせい/\とめさしてかりかねもきたへかくるをはやはるもすへなれはかりも
とびつきてはてもないおゝそらにいりこきやうへおとつれもならぬとみやこの事をおもふている
・この春心のうちにはなにやかやこのてある左遷の事も春をいたみかなしむ事もこもりある也たらさへに
こゝろあゝいに笛をきけはうれいをひきおこしはるをかんする心をして満洞庭とこもかもうれいになつた
西亭春望
賈至
日長く風暖かにして柳青々たり。
北雁帰り飛んで窅冥にいる。
岳陽城上、笛を吹くを聞けば、
能く春心をして洞庭に満たしむ。
意訳
日がどんどん長く、風も暖かくなって、柳の芽も吹き青々としている。
雁は、長安のある北へと飛び帰って虚空の彼方へ行ってしまった。
岳陽の城壁の上に上がって、笛の音が聞こえて来ると、
その音色は、洞庭湖に広がって、春の愁いを湖上に満ち渡らせてしまうのだ。
※西亭 湖南省岳陽の西、洞庭湖に近い所にあったらしい。賈至が、岳陽に流されていた時の作。
※窅冥 深遠で見がたい。ここでは果てしない大空を指す。
横浜中華街朝暘門
唐詩選畫本 七言絶句 巻四