春の日
冬
馬はぬれ牛は夕日の村しくれ 杜國
芭蕉翁を宿し侍りて
大垣住
霜寒き旅寐に蚊屋を着せ 如行
申
雪のはら蕣の子の薄かな 昌碧
馬をさへながむる雪のあした哉 芭蕉
行燈の煤けぞ寒き雪のくれ 越人
芭蕉翁をおくりてかへる時
この比の氷ふみわる名残かな 杜國
隠士にかりなる室を
もうけて
あたらしき茶袋ひとつ冬篭 荷兮
貞享三丙寅年仲秋下浣
冬
うまはぬれうしはゆふひのむらしぐれ 杜國(村時雨:冬)
芭蕉翁を宿し侍りて
しもさむきたびねにかやをきせもうす 如行(霜:冬)
ゆきのはらあさがほのこのすすきかな 昌碧(雪の原:冬)
うまをさへながむるゆきのあしたかな 芭蕉(雪:冬)
あんどんのすすけぞさむきゆきのくれ 越人(雪の暮:冬)
芭蕉翁をおくりてかへる時
このころのこほりふみわるなごりかな 杜國(氷:冬)
隠士にかりなる室をもうけて
あたらしきちやぶくろひとつふゆごもり 荷兮(冬籠:冬)
※芭蕉翁を宿し 貞享元年(1684年)冬 大垣の如行の家に滞在。
※貞享三年 1686年八月下旬。