おもへはこの世は程も
なし 栄花は○な是
春の夢
名利のこころを
いとひつゝ一心に
弥陀を念べし
し
思へばこの世は程も無し おもへばこのよはほどもなし
栄花は皆是春の夢 えいがはみなこれはるのゆめ
名利のこころを厭ひつつ みょうりのこころをいとひつつ
一心に弥陀を念べし いちごにみだをねんずべし
※一心をいっしん、ひとみ、いちみなど読みを推察。
風葉のすかたを観
すれは秋のはやし
に
鹿そすむ
草露のいのちを
かなし○は野原の
よもきに月
すめり
風葉の姿を観ずれば ふうはのすがたをかんずれば
秋の林に鹿ぞ住む あきのはやしにしかぞすむ
草露の命を悲しめば そうろのいのちをかなしめば
野原の蓬に月澄めり のはらのよもぎにつきすめり
※前田本方丈記解説 前田家育徳財団より加筆