若ありくべきことあればみづからあゆむ
苦しといへ共馬鞍牛車と心をなや
ますには似ず今一身を分ちて二の用
をなす。手のやつこ足の乗物よくわが
心にかなへりこゝろ又身のくるしみをし
れらば、くるしむ時はやすめつ。まめなる
時はつかふつかふとてもたび/"\過さず
ものうしとても心をうごかす事なしいか
に况やつねにありき常に動くは
これ養生成べし何ぞいたづらにやす
みをらん人を苦しめ人を悩ますは又
もし、ありくべき事あれば、自らあゆむ。苦しといへども、
馬・鞍・牛・車と、心を悩ますには似ず。今、一身を分ち
て、二の用をなす。手のやつこ、足の乗物、よくわが心に
かなへり。心又、身の苦しみを知れらば、苦しむ時は休めつ。
まめなる時は、使ふ。使ふとても、たびたび過ぐさず。も
の憂しとても、心をうごかす事なし。いかに况や常にあり
き、常に動くは、これ養生なるべし。何ぞ、いたづらに休
みをらん。人を苦しめ、人を悩ますは、又
(参考)前田家本
もし、あるくべき事あればみづから歩む。苦しといへども、
馬鞍牛車と心を悩ますにはしかず。今一身を分かち
て、二の用をなす。手の奴、足の乗物、よくわが身に
かなへり。心身の苦しさを知れゝば、苦しき時は休めつ、
まめなれは使ふ。使ふといへども、たび/\過ぐさず。物
憂しとても、心を動かす事なし。いかにいはむや、常に歩
き、常に働くは、これ養姓なるべし。なんぞいたづらに易
くおらん。人を苦しめ、人を悩ますは、はた
(参考)大福光寺本
若アリクヘキ事アレハミツカラアユム。クルシトイヘトモ
馬クラ牛車ト心ヲナヤマスニハシカス。今一身ヲワカチ
テ二ノ用ヲナス。手ノヤツコ足ノノリモノヨクワカ心ニ
カナヘリ。身心ノクルシミヲシレハクルシム時ハヤスメツ
マメナレハツカフ。ツカフトテモタヒタヒスクサス。物
ウシトテモ心ヲウコカス事ナシ。イカニイハムヤツネニアリ
キツネニハタラクハ養性ナルヘシ。ナンソイタツラニヤス
ミヲラン。人ヲナヤマス△
ふくろうの声 梟 夫木集
西行
山ふかみけ近き鳥のこゑはせで
物おそろしきふくろうのこゑ
源氏に鳥のからこゑと
いふもふくろうのこと也。
いはんやふかく思ひふかくしれ
らん人のためには是にしもか
ぎるべからず。
※ふくろうの声
山家集
入道寂然大原に住み侍りけ
るに高野よりつかはしける 西行
山深みけぢかき鳥のこゑはせで物恐ろしきふくろふの声
※源氏に
源氏物語 夕顔
まして、松の響き、木深く聞こえて、気色ある鳥のから声に鳴きたるも、梟はこれにやとおぼゆ。
日野醍醐の古地図模写 戸山(外山)の場所
宇治市史 岡屋場所
地元伝承集「ふるさと醍醐」の地図