JINCHAN'S CAFE

My essay,My life
エッセイを書き続けることが、私のライフワーク

婦人公論

2007年10月24日 11時41分00秒 | in the forest
 去年の今頃だったろうか・・・幼稚園の個人懇談会で、先生から娘に対するダメダシ(注意を受けたという事)があり、不愉快な気分をひきずって帰ってきた事がある。その日に限って、娘と友達のささいなイタズラが、男の子たちに飛び火して騒動へ発展。興奮冷めやらぬ先生が、冒頭でその話題を切り出したのだ。まぁそれは仕方がない。確かに迷惑をこうむったのだろうし、報告する義務もあるだろう。やりきれなさを感じたのは、むしろその時の自分の対応についてだった。謝るほどの事かと内心思っていたのに、いい子ちゃんでいたいから頭を下げたのである。が、しばらくすると、そんな自分に嫌気が差し、後味の悪い思いを噛み締める結果となった。

 やっぱり謝らなきゃよかったよ。「ああ、そうですか」と、受け止めるだけでよかったのに。

 私には、こういう事がままある。無用な摩擦はおこしたくないから、とりあえずその場は身を引いて事を収める。しかし、納得しないまま心に蓋をしている状態なので、消化不良のまま終わる。相手によっては、こちらがひどく悪者になり、それをそのまま引き受けて、その時の傷が後々まで響く場合もある。ホントは、悪者役を引き受けられる程の度量なんてない。強さもない。悪者でいる自分が辛くて苦しくて仕方ない。ただ、無類のええかっこしいとお人よしなのだ。恋バナなんか、いつも美談でいられるか。コンチクショー。肝心な局面で、心の叫びを呑み込んだ結果は、果たして満足のいくものであったか。中途半端に引き下がった事、今では後悔している。おまけに、自分にとって甚だ不名誉な役柄まで引き受けてしまった。(欲深く、束縛キツく、偏見に凝り固まった人間であると)彼の目に私の姿がそんな風に映っていたと考えるだけでもショックなのに、同調してしまうとは。本当の自分をわかってもらおうとする努力を放棄していた。

 自分自身を守ってやれなくて、誰が守ってくれるというのか。

 この夏も、友人と衝突した。その友人との間には、年に一度は不穏な空気が流れる。彼女のお気に入りの映画作品に私が皮肉めいた茶々を入れ、論争に発展する事もあれば、私の愚痴に彼女がキツいツッコミを入れて、バトルになる事も。共通の友人の行動について意見しているうち、当人よりも激しい対立状態になってしまった事もあった。でも、誤解しないでいただきたい。仲はいいのである。言い争って喧嘩になるより折れてやり過ごす派VSとことんまでやり合わなければ消化不良のまま終わる派のせめぎあいは、大抵終盤近くで「もういいよ。わかったよ。」と、私が降りて終了。これがお約束の展開。が、今回は違った。降りようとしても、彼女が執拗にツッコンでくる。一体どうしろというのかと思いながらも、自身の問題だったのでついつい応戦し、最後に強烈なホンネをぶちまけてしまった。結果彼女から返ってきた言葉は、「久々に、私の顔を見てものを言ってくれた気がする」。

 確かに悪くはなかった。少なくとも自分の中に悶々とした感情は残らない。けれど相手によりけりで、面倒なやりとりをする位ならと、関係そのものをバッサリ切られる場合もあるし、やりあっている間に修復不可能な亀裂が入り、後々差し支える場合もある。やはり適度な信頼関係が必要なのだ。また、自分は言いたい事を言ってスッキリしても、相手を予想以上に傷つけてしまう場合もあるだろう。自身を守り通す事にこだわれば、それは諸刃の剣となる。

 夫とランチしながら、そんな話をした 。「難しい所だわな。」「ここで謝っておけば、相手も傷つかずに済むのにって事、あるよね。」「おお、ある!ある!!」急に身を乗り出すので驚く。妻の頭の中には過去の恋バナが、夫の頭の中には職場の人間模様が、浮かんでいるのだ。それでも会話が、立派に成立するからスゴい。「納得しない事には謝らない人、わかっているけど謝れない人がいるよね。それはそれで、少しは折れた方がいいんだろうけど・・・私はね、逆に今までちょっと謝り過ぎた。そんな必要のない場面で謝ってたよ。だから、自分を守る側へ行った方がいいような気がする。」

 このところ、夫に対して言い分をためなくなった私は、3ヶ月に1度の割合で子供もビビる夫婦喧嘩を展開している。さして反論もせず、不愉快な思いをくすぶらせてきた11年間。それが変わりつつある。どうにも我慢がならない事には激しく抗議。言わなきゃわかり合えない側面もあるのだ。とことんやりあってキツい時期もあったが、今ではまぁまぁの夫婦関係だと思っている。長く付き合うつもりなら、これもいいか・・・。しかし参ったよ。不満はお腹にたまらなくなった代わりに、今度は別のものが。「魅惑の人妻は、ウェストのくびれを失くしてはなりません」 と、さるお仲間さんから言われているんだけどねぇ。トホホ。