大学受験に合格して
安心していたとき
予備校からの便りが来た。
あけてみるとびっくり、
さらに上位ランクの
東京の大学の受験をしないか
というものだった。
その時、
僕の中の何かが体から抜け出した。
湯気が頭に上り
頭のてっぺんから
抜けていくような感覚がした。
そうして
大学受験のために勉強していたことが
頭から抜け出して真っ白になった。
大学の生活は真っ白になった頭で
小難しい経済の理論を勉強しなければ
ならなくなった。
このときに医者にでも行っていれば
おそらくは何か病名がついていただろう。
頭が真っ白になる瞬間があると
ある受験ノウハウの本が書いてあったけど
机にかじりつくことによる
脳梗塞の一種だといま思えば思われる。
大学ではもっと上位の大学を
もう一度狙うんだと豪語する学生もいた。
僕は真っ白になった頭で
バカなことを考えるもんだと思った。
この時からあるいは
病気が動き始めたのかもしれない。
そう学生時代はやたらと
流れ星や宇宙からの落下物を目撃した。
不思議なときだった。
時代はバブル景気と呼ばれ
人々は浮かれていた。
ボクが大学にいけたのも
このバブルのおかげで
経済状態が本来なら
それを許していなかったろう
家庭の子供であった。
なぜだかボクは奨学金を出すから来てくれ
という大学には行かずに
キャンパスの広い大学を選んでいた。
ボクもまた時代にもれず浮かれていたのかもしれない。