人間の足は原始的の哺乳動物であって、樹上生活にふさわしいように視覚、聴覚、臭覚とが順序よく発達し、猿類や栗鼠或は熊のように座ったり立ったり出来る動物共通の木登りが出来て樹上生活をしたが、他動物より生命が長く、隋って年と共におびただしく繁殖した為に、地上生活をせねばならなくなって穴居した。吾等の祖先は立体生活する事に約百万年の努力を続けたと云うことである。
現在では人間が立って歩く事に何の不思議も感じないが、僅か一尺程の足で5尺六寸尺の体格を直立させる事に成功した事は、四本の脚が二本で足りる事となり、自然上の二本の手として発達し、動物の骨や木の枝を以って他と闘う技を覚え、石も投げられる水も泳げる、角もなく牙も爪も弱い人類が、他動物に劣らぬ徹底した強い生活力を差授けられたのが現在の人間である。