前回、イニエスタ選手のことを書き込んだ際、5/25・26日号の「エル・ゴラッソ」紙の記事を紹介しましたが、今回も同じ号に掲載されていた日本代表・西野監督のサッカーについてです。
同紙編集部は、かつてG大阪と神戸、2クラブにわたって西野監督のもとでプレーした橋本英郎選手に白羽の矢を立て、インタビューを試みたのです。
これは出色の企画だと思います。その橋本選手が「川幅の自由」というキーワードを使って実に上手に西野サッカーの特徴を語ってくれたからです。
そのエッセンスの部分をぜひご紹介したいと思います。ずいぶん抜粋する形になりますが、おわかりいただけるといいのですが。
「(西野監督が大切にしているのは)細かい戦い方の指示ではありません。チームがするべき攻撃マインドやプレーの意識のラインを定めると言えばいいでしょうか。」
「川で例えると、ある程度、川幅のラインを設定して、そこを選手が流れていきます。そして選手がその川幅を外れるようなことが起きたときに、監督が出てきて川の流れに戻します。川幅の中で流れているうちは、監督は選手に言ってきません。だから川幅のライン間でのプレーの自由度があるわけです」
「分かりやすく言えば、ハリルさんが『固定したチーム戦術』という1本のラインしか作らなかったとすれば、西野さんは、幅をとらせるもう1本のラインを設定します。その2本間のスペースで、選手本来の力を発揮させるためです。」
「僕ら(G大阪時代)の場合、"アクション、攻撃的"というラインの川幅で流れていく上では何も言われませんでした。後ろ向きなプレー、チームが定めるマインドと違う方向に行こうとすれば、具体的な戦術指示で注意されました。『不必要にバックパスをするな!』とかですね。」
(中略)
「サッカーではよく『規律の中での自由』という言葉が使われますよね。西野さんは、その規律のラインと幅を設定する感じです。」
「きっと細かい監督はいろいろな指示を出して、大事な要素を箇条書きで並べるようなことをすると思いますが、西野さんはアクションが規律です。だから、アクションに付随するようなプレーや表現であれば、選手の自由な発想でプレーさせてくれるのです」
「代表でも川幅を作ると思います。そして、これまでハリルさんが1本の線の上でやろうとしていた中で選手が右に左にバラバラになっていたところを、その川幅の中に入れていくと思います。」
「選手の本来の能力を100%に近い形で発揮させるような幅と環境を作るのではないでしょうか。それさえできれば、日本代表もいいプレーができると思います。」
(中略)
---では、どんなエッセンスを加えて川幅を作っていくと思いますか?---
「"エッセンスを加える"という発想ではないと思います。例えば、これまで100%の力を発揮できる形だったかと言えば、決まりご事が多くて、得意なプレーがカットされていたわけてです。それをカットせずに済む環境になれば、50%だったパフォーマンスが100%に近いプレーになっていきます。だから新たなエッセンスはいりません。何かを加えるというよりも、狭過ぎた川幅を広げてあげれば、本来の力を出せる選手がもっと増えてくる。そういう感覚だと思います。」
(中略)
---西野監督が挙げていた「選手の化学反応」というキーワードがありました。橋本選手の言葉が、その答えに近い気がしました。---
「ですから、プレーのイニシアチブを、ある程度は選手たちに渡していく可能性もあると思います。ただ、(西野監督)は全員のもつべきマインドや川幅は決めますよ。自由に解き放って、選手に『どうぞ、好きにやってください』ではありません。『こういうプレーをして欲しい』と言うでしょう。」
「でも、今まで1本のライン上でしかプレーしてはいけない制限があったところに、幅ができるわけです。そこで選手が感じる開放感は、ものすごいと思いますよ。その環境がプラスに働く選手が多ければ多いほど、これまで閉塞感のあったマインドかポジティブな方向に向かうと思います。」
(中略)
---お話を聞く限り、非常に個人戦術が問われるチーム作りになりますね---
「指示を待つような選手は、うまくプレーできないかもしれません。1本のライン上で戦うことしかしてこなかった選手は、幅ができたことで逆に何をしていいのか分からない状態に陥ってしまうかもしれません。」
「そこはしっかりと見極めて人選していると思います。個人戦術があり、自分でプレーを作っていけるメンバーだと思います」
ここまでが、橋本選手インタビューの抜粋です。
いかがでしたか? 途中、ずいぶん(中略)も入れましたし、まだまだインタビューは長いのですが、何か「目からうろこ」のような気がしませんでしたか?
もう1本、線を引いて川幅にしてあげるだけでいい、その川幅という自由度が与えられれば選手は、開放感に満ち溢れて持てる力を存分に発揮できるはず。
橋本選手は、まるで西野監督の有能な報道官のようです。これほどわかりやすくブリーフィングしてもらえると、一気に西野ジャパンの戦い方というものに対する期待感が出てきます。
なぜなら、選ばれた選手たちは、みな百戦錬磨、自由度さえ与えてくれれば結果は出しますヨ、と顔に書いてありそうな選手ばかりですから。
いいタイミングで、いいものを読ませていただきました。ありがとうございます。橋本英郎選手、ありがとう「エル・ゴラッソ」さん。
では、また。
同紙編集部は、かつてG大阪と神戸、2クラブにわたって西野監督のもとでプレーした橋本英郎選手に白羽の矢を立て、インタビューを試みたのです。
これは出色の企画だと思います。その橋本選手が「川幅の自由」というキーワードを使って実に上手に西野サッカーの特徴を語ってくれたからです。
そのエッセンスの部分をぜひご紹介したいと思います。ずいぶん抜粋する形になりますが、おわかりいただけるといいのですが。
「(西野監督が大切にしているのは)細かい戦い方の指示ではありません。チームがするべき攻撃マインドやプレーの意識のラインを定めると言えばいいでしょうか。」
「川で例えると、ある程度、川幅のラインを設定して、そこを選手が流れていきます。そして選手がその川幅を外れるようなことが起きたときに、監督が出てきて川の流れに戻します。川幅の中で流れているうちは、監督は選手に言ってきません。だから川幅のライン間でのプレーの自由度があるわけです」
「分かりやすく言えば、ハリルさんが『固定したチーム戦術』という1本のラインしか作らなかったとすれば、西野さんは、幅をとらせるもう1本のラインを設定します。その2本間のスペースで、選手本来の力を発揮させるためです。」
「僕ら(G大阪時代)の場合、"アクション、攻撃的"というラインの川幅で流れていく上では何も言われませんでした。後ろ向きなプレー、チームが定めるマインドと違う方向に行こうとすれば、具体的な戦術指示で注意されました。『不必要にバックパスをするな!』とかですね。」
(中略)
「サッカーではよく『規律の中での自由』という言葉が使われますよね。西野さんは、その規律のラインと幅を設定する感じです。」
「きっと細かい監督はいろいろな指示を出して、大事な要素を箇条書きで並べるようなことをすると思いますが、西野さんはアクションが規律です。だから、アクションに付随するようなプレーや表現であれば、選手の自由な発想でプレーさせてくれるのです」
「代表でも川幅を作ると思います。そして、これまでハリルさんが1本の線の上でやろうとしていた中で選手が右に左にバラバラになっていたところを、その川幅の中に入れていくと思います。」
「選手の本来の能力を100%に近い形で発揮させるような幅と環境を作るのではないでしょうか。それさえできれば、日本代表もいいプレーができると思います。」
(中略)
---では、どんなエッセンスを加えて川幅を作っていくと思いますか?---
「"エッセンスを加える"という発想ではないと思います。例えば、これまで100%の力を発揮できる形だったかと言えば、決まりご事が多くて、得意なプレーがカットされていたわけてです。それをカットせずに済む環境になれば、50%だったパフォーマンスが100%に近いプレーになっていきます。だから新たなエッセンスはいりません。何かを加えるというよりも、狭過ぎた川幅を広げてあげれば、本来の力を出せる選手がもっと増えてくる。そういう感覚だと思います。」
(中略)
---西野監督が挙げていた「選手の化学反応」というキーワードがありました。橋本選手の言葉が、その答えに近い気がしました。---
「ですから、プレーのイニシアチブを、ある程度は選手たちに渡していく可能性もあると思います。ただ、(西野監督)は全員のもつべきマインドや川幅は決めますよ。自由に解き放って、選手に『どうぞ、好きにやってください』ではありません。『こういうプレーをして欲しい』と言うでしょう。」
「でも、今まで1本のライン上でしかプレーしてはいけない制限があったところに、幅ができるわけです。そこで選手が感じる開放感は、ものすごいと思いますよ。その環境がプラスに働く選手が多ければ多いほど、これまで閉塞感のあったマインドかポジティブな方向に向かうと思います。」
(中略)
---お話を聞く限り、非常に個人戦術が問われるチーム作りになりますね---
「指示を待つような選手は、うまくプレーできないかもしれません。1本のライン上で戦うことしかしてこなかった選手は、幅ができたことで逆に何をしていいのか分からない状態に陥ってしまうかもしれません。」
「そこはしっかりと見極めて人選していると思います。個人戦術があり、自分でプレーを作っていけるメンバーだと思います」
ここまでが、橋本選手インタビューの抜粋です。
いかがでしたか? 途中、ずいぶん(中略)も入れましたし、まだまだインタビューは長いのですが、何か「目からうろこ」のような気がしませんでしたか?
もう1本、線を引いて川幅にしてあげるだけでいい、その川幅という自由度が与えられれば選手は、開放感に満ち溢れて持てる力を存分に発揮できるはず。
橋本選手は、まるで西野監督の有能な報道官のようです。これほどわかりやすくブリーフィングしてもらえると、一気に西野ジャパンの戦い方というものに対する期待感が出てきます。
なぜなら、選ばれた選手たちは、みな百戦錬磨、自由度さえ与えてくれれば結果は出しますヨ、と顔に書いてありそうな選手ばかりですから。
いいタイミングで、いいものを読ませていただきました。ありがとうございます。橋本英郎選手、ありがとう「エル・ゴラッソ」さん。
では、また。
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