NHK-教育テレビ
ETV特集で2007年2月10日(土)
「焼け跡から生まれた憲法草案」 が放送された。
内容的には、これまで当ブログで紹介してきた内容をトレースしたようなものであり、当ブログにとっては新鮮な内容という訳ではなかったが、NHKが自民党や右翼勢力などの「憲法押し付け論」を明確に否定する「日本国憲法」成立過程を紹介したことは画期的である。
前回紹介した「日中戦争」と伴に、NHK労働者のジャーナリスト精神を発揮した頑張りの成果と言えるだろう。
この成立過程を解り易く解説した講談社現代新書『憲法「押し付け」論の幻』を書いた小西豊治氏が前面に出てくるかと思ったが、本の一瞬の出演であった。彼にとっては不本意なことであっただろう。
要約すれば、「マッカーサー書簡によりアメリカより押し付けられた」とされる憲法原案の元になったものが、鈴木安蔵ら7名が早くも敗戦後2ヶ月で発足させた「憲法研究会」での緊迫した論議により作成された「憲法草案」であるということである。
さらにその草案を起草した鈴木安蔵は、植木枝盛の憲法草案を研究して、国民主権、国民の民主的権利、地方自治など現憲法の主要事項をほとんど網羅したものとしたということである。
占領軍民生局が付け加えたのは、「憲法の最高法規制」「違憲立法審査権」「地方政府主要幹部の公選」などだけであったということである。
占領軍民生局も憲法研究会の案を、新しい憲法として充分満足するものであると報告している。
さらに、当時の政府が発足させた「松本委員会」は、大日本帝国憲法の改正を目的としたものではなく、問題があるかどうかを調査させるだけの範囲のものであり、その調査結果も「天皇大権」を含め「国体」をなんら変更する必要は無いとの結論を出したというものであり、悲惨な戦争に導いた政治体制になんら反省の無いものであったことも紹介された。
こういう、旧態依然たる政府の憲法に対する認識に痛撃を与えるために、民生局は「憲法研究会」の案を大幅に取り入れた「改正方針」を示したという訳であり、これは、日本人自らが明治自由民権運動の歴史的資産から生み出されたものであることが各種資料により示されるのである。
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この件の当ブログの連載「日本国憲法は先人の智慧の結晶」
第1回へのリンクはここをクリック ここから順次連載をみることができます。
これを扱ったブログ【9条の会を応援する有志のブログ】連載
「日本国憲法は押し付けられたか?」第1回へのリンクは
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NHK「焼け跡から生まれた憲法草案」はここをクリック
番組解説は下記
【日本国憲法が施行されて60年になる。その誕生に新たな光を投げかける資料が最近、関心を集めている。終戦直後、日本人が構想したさまざまな憲法草案である。政府やGHQとは別に民間の憲法草案が作られていたのだ。
中でも注目されているのが、在野の学者やジャーナリストが党派を超えて集まった「憲法研究会」。 1945年12月に発表された「憲法草案要綱」は、国民主権と人権尊重の原理を掲げ、「日本国ノ統治権ハ国民ヨリ発ス」とし、天皇の役割は儀礼的なものに制限。象徴天皇制の原型とも言えるものだった。 GHQの民政局はこの草案に着目。法律の下の平等や、拷問の禁止など、基本的人権の規定には、GHQの草案を通して現在の憲法にそのまま取り入れられた条文もある。
GHQが瞠目した画期的な草案は、どうやって生まれたのか。中心メンバーだった鈴木安蔵が書き残した記録からは国民主権に基づく新たな憲法を生み出そうと、議論を重ねていった様子が浮かび上がってきた。
番組では、敗戦直後の近衛文麿や政府の草案作りや自由党、社会党など政党の憲法案も紹介。焼け跡で、新しい憲法を構想した戦後日本人の姿を浮かび上がらせていく。 】
ETV特集で2007年2月10日(土)
「焼け跡から生まれた憲法草案」 が放送された。
内容的には、これまで当ブログで紹介してきた内容をトレースしたようなものであり、当ブログにとっては新鮮な内容という訳ではなかったが、NHKが自民党や右翼勢力などの「憲法押し付け論」を明確に否定する「日本国憲法」成立過程を紹介したことは画期的である。
前回紹介した「日中戦争」と伴に、NHK労働者のジャーナリスト精神を発揮した頑張りの成果と言えるだろう。
この成立過程を解り易く解説した講談社現代新書『憲法「押し付け」論の幻』を書いた小西豊治氏が前面に出てくるかと思ったが、本の一瞬の出演であった。彼にとっては不本意なことであっただろう。
要約すれば、「マッカーサー書簡によりアメリカより押し付けられた」とされる憲法原案の元になったものが、鈴木安蔵ら7名が早くも敗戦後2ヶ月で発足させた「憲法研究会」での緊迫した論議により作成された「憲法草案」であるということである。
さらにその草案を起草した鈴木安蔵は、植木枝盛の憲法草案を研究して、国民主権、国民の民主的権利、地方自治など現憲法の主要事項をほとんど網羅したものとしたということである。
占領軍民生局が付け加えたのは、「憲法の最高法規制」「違憲立法審査権」「地方政府主要幹部の公選」などだけであったということである。
占領軍民生局も憲法研究会の案を、新しい憲法として充分満足するものであると報告している。
さらに、当時の政府が発足させた「松本委員会」は、大日本帝国憲法の改正を目的としたものではなく、問題があるかどうかを調査させるだけの範囲のものであり、その調査結果も「天皇大権」を含め「国体」をなんら変更する必要は無いとの結論を出したというものであり、悲惨な戦争に導いた政治体制になんら反省の無いものであったことも紹介された。
こういう、旧態依然たる政府の憲法に対する認識に痛撃を与えるために、民生局は「憲法研究会」の案を大幅に取り入れた「改正方針」を示したという訳であり、これは、日本人自らが明治自由民権運動の歴史的資産から生み出されたものであることが各種資料により示されるのである。
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番組解説は下記
【日本国憲法が施行されて60年になる。その誕生に新たな光を投げかける資料が最近、関心を集めている。終戦直後、日本人が構想したさまざまな憲法草案である。政府やGHQとは別に民間の憲法草案が作られていたのだ。
中でも注目されているのが、在野の学者やジャーナリストが党派を超えて集まった「憲法研究会」。 1945年12月に発表された「憲法草案要綱」は、国民主権と人権尊重の原理を掲げ、「日本国ノ統治権ハ国民ヨリ発ス」とし、天皇の役割は儀礼的なものに制限。象徴天皇制の原型とも言えるものだった。 GHQの民政局はこの草案に着目。法律の下の平等や、拷問の禁止など、基本的人権の規定には、GHQの草案を通して現在の憲法にそのまま取り入れられた条文もある。
GHQが瞠目した画期的な草案は、どうやって生まれたのか。中心メンバーだった鈴木安蔵が書き残した記録からは国民主権に基づく新たな憲法を生み出そうと、議論を重ねていった様子が浮かび上がってきた。
番組では、敗戦直後の近衛文麿や政府の草案作りや自由党、社会党など政党の憲法案も紹介。焼け跡で、新しい憲法を構想した戦後日本人の姿を浮かび上がらせていく。 】