福岡在住の筆者としては、泥酔で追突して被害者の車を海に突き落とし、幼ない兄弟3人を殺した、この事件について一言述べておきたい。
元福岡市職員の今林大被告は、もっと重く罰せられるべきだったと思う。
彼は泥酔の上事故を起した後、救助することもせずに逃げて、
その上、後輩に連絡を取って水を大量に持ってこさせた上に、
後輩に罪を被らせようとさえ画策した。
極めて悪質な飲酒事故であり「危険運転致死傷罪」に問われるのは当然である。
ところが、福岡地裁【川口宰護(しょうご)裁判長】の判決は常識を覆すものであった。
また事前に検察側に「危険運転致死傷罪」以外の罪名を追加するように指導するなど、ある意味で強権的な訴訟指導を行った。
「危険運転致死傷罪」ではなく、「業務上過失致死」に減刑した理由は幾つも述べられているが、マスコミ報道ではこうである。(西日本新聞報道など)
(1) 事故現場まで8分間、住宅街の幅が狭い道路や交差点で接触事故を起こさずに運転した
(2) 事故直前も急ブレーキをかけ、ハンドルを切るなどの衝突回避措置をとった
(3) 事故後、後輩を呼んで水を持ってこさせ、身代わりを依頼するなど、理性的な判断力があった。
(4) 検出されたアルコール濃度は『酒気帯び』程度であった。
この裁判官の社会的常識はどうなっているのだろう。
(1) 接触事故を起さずにとは言っても、それほど極端に狭い道ではないことは
TVのニュースショーで同じ道を通って立証していた。
大体、この論理では、「接触事故を起さずに走れるなら飲酒運転はお構いなし」という論理になる。 本末転倒だ!
(2) これが認められるなら、「危険運転致死傷罪」は、目前に危険が迫っても『急ブレーキをかけ、ハンドルを切るなどの衝突回避措置を』取れないほど完全に酩酊状態で無いと適用されないことになる。
これだは、完全な酩酊状態ではない『飲酒運転』を認めることになってしまう。
(3) こういう、卑劣な行為を『正気の証拠』にされてはたまったものではない。
むしろ刑をより重くするべきであるくらいだ。
(4) 後輩に水を大量に持ってこさせ1リットル以上の水で希釈し、その上アルコールチェックは、事故の1時間以上後だったことを捨象している。
何よりも、この判決が、この間罰則や取締りが厳しくなり、無くならないとは言っても大幅に減少してきた『飲酒運転』と、これを追放する活動や運転者の自粛を嘲笑う結果となったことは、極めて犯罪的である。
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1月9日付 よみうり寸評
2008年1月9日(水)13:56
〈使い勝手が悪い〉などと言えば、いささか表現に穏当を欠くかもしれない。だが、〈危険運転致死傷罪〉は、警察、検察にしてみれば、せっかく重大事故に適用しようと思っても、どうも使い勝手がよろしくはないようだ◆飲酒運転撲滅の新しい武器として登場したが、期待ほどには使われていない。一昨年夏、追突された車が海に落ち、幼児3人が死亡した福岡市の飲酒運転事故の判決が出た◆求刑は危険運転致死傷罪と道交法違反で懲役25年だったが、判決は懲役7年6月。危険運転致死傷罪の成立を認めず、業務上過失致死傷罪を適用したためだ◆刑の重さは天と地ほども開きがある。裁判所の訴訟指揮ぶりから予測はされていたことだが、危険運転致死傷罪成立のハードルの高さを改めて思い知らされた◆酒を飲んでハンドルを握ればそれだけで危険は十分。これが一般の常識だ。が、法の構成要件となると厳密で難しくなる。適用がごくわずかというのは、立法の趣旨から遠く離れたものを作ったことになる◆使い勝手の悪いところは見直す必要もありそうだ。
1月9日付 よみうり寸評(読売新聞) - goo ニュース
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【関連記事】
「量刑の差に不公平感」 「法律をきちんと判断」 3児死亡事故 懲役7年6月判決 「危険運転」見送り賛否(西日本新聞) - goo ニュース
■3児死亡判決骨子
◇被告は事故当時、酩酊(めいてい)状態とはいえず、アルコールの影響で正常な運転が困難な状況にあったとは認められない
◇被害者の車を事故直前まで発見できなかったのは、脇見が原因
◇危険運転致死傷罪は成立せず業務上過失致死傷と酒気帯び運転の罪に当たる
◇結果の重大性、悪質性などから業務上過失致死傷罪の併合罪の最高刑に当たる懲役7年6月の実刑で臨むのが相当
【解説】基準あいまい法整備急務 福岡3児死亡事故(西日本新聞) - goo ニュース
業過致死傷で懲役7年6月=元市職員の危険運転認めず-3児死亡事故・福岡地裁 (時事通信) - goo ニュース
3児死亡事故、被告に懲役7年6カ月 危険運転適用せず(朝日新聞) - goo ニュース
元福岡市職員の今林大被告は、もっと重く罰せられるべきだったと思う。
彼は泥酔の上事故を起した後、救助することもせずに逃げて、
その上、後輩に連絡を取って水を大量に持ってこさせた上に、
後輩に罪を被らせようとさえ画策した。
極めて悪質な飲酒事故であり「危険運転致死傷罪」に問われるのは当然である。
ところが、福岡地裁【川口宰護(しょうご)裁判長】の判決は常識を覆すものであった。
また事前に検察側に「危険運転致死傷罪」以外の罪名を追加するように指導するなど、ある意味で強権的な訴訟指導を行った。
「危険運転致死傷罪」ではなく、「業務上過失致死」に減刑した理由は幾つも述べられているが、マスコミ報道ではこうである。(西日本新聞報道など)
(1) 事故現場まで8分間、住宅街の幅が狭い道路や交差点で接触事故を起こさずに運転した
(2) 事故直前も急ブレーキをかけ、ハンドルを切るなどの衝突回避措置をとった
(3) 事故後、後輩を呼んで水を持ってこさせ、身代わりを依頼するなど、理性的な判断力があった。
(4) 検出されたアルコール濃度は『酒気帯び』程度であった。
この裁判官の社会的常識はどうなっているのだろう。
(1) 接触事故を起さずにとは言っても、それほど極端に狭い道ではないことは
TVのニュースショーで同じ道を通って立証していた。
大体、この論理では、「接触事故を起さずに走れるなら飲酒運転はお構いなし」という論理になる。 本末転倒だ!
(2) これが認められるなら、「危険運転致死傷罪」は、目前に危険が迫っても『急ブレーキをかけ、ハンドルを切るなどの衝突回避措置を』取れないほど完全に酩酊状態で無いと適用されないことになる。
これだは、完全な酩酊状態ではない『飲酒運転』を認めることになってしまう。
(3) こういう、卑劣な行為を『正気の証拠』にされてはたまったものではない。
むしろ刑をより重くするべきであるくらいだ。
(4) 後輩に水を大量に持ってこさせ1リットル以上の水で希釈し、その上アルコールチェックは、事故の1時間以上後だったことを捨象している。
何よりも、この判決が、この間罰則や取締りが厳しくなり、無くならないとは言っても大幅に減少してきた『飲酒運転』と、これを追放する活動や運転者の自粛を嘲笑う結果となったことは、極めて犯罪的である。
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1月9日付 よみうり寸評
2008年1月9日(水)13:56
〈使い勝手が悪い〉などと言えば、いささか表現に穏当を欠くかもしれない。だが、〈危険運転致死傷罪〉は、警察、検察にしてみれば、せっかく重大事故に適用しようと思っても、どうも使い勝手がよろしくはないようだ◆飲酒運転撲滅の新しい武器として登場したが、期待ほどには使われていない。一昨年夏、追突された車が海に落ち、幼児3人が死亡した福岡市の飲酒運転事故の判決が出た◆求刑は危険運転致死傷罪と道交法違反で懲役25年だったが、判決は懲役7年6月。危険運転致死傷罪の成立を認めず、業務上過失致死傷罪を適用したためだ◆刑の重さは天と地ほども開きがある。裁判所の訴訟指揮ぶりから予測はされていたことだが、危険運転致死傷罪成立のハードルの高さを改めて思い知らされた◆酒を飲んでハンドルを握ればそれだけで危険は十分。これが一般の常識だ。が、法の構成要件となると厳密で難しくなる。適用がごくわずかというのは、立法の趣旨から遠く離れたものを作ったことになる◆使い勝手の悪いところは見直す必要もありそうだ。
1月9日付 よみうり寸評(読売新聞) - goo ニュース
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■3児死亡判決骨子
◇被告は事故当時、酩酊(めいてい)状態とはいえず、アルコールの影響で正常な運転が困難な状況にあったとは認められない
◇被害者の車を事故直前まで発見できなかったのは、脇見が原因
◇危険運転致死傷罪は成立せず業務上過失致死傷と酒気帯び運転の罪に当たる
◇結果の重大性、悪質性などから業務上過失致死傷罪の併合罪の最高刑に当たる懲役7年6月の実刑で臨むのが相当
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