JUNSKY blog 2015

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一審 最終弁論要旨

2008-01-26 20:32:51 | 事件・事故
秋田小1児童殺害事件-92
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毎日、藤里町の記事で申し訳ございません。

【秋田魁新報】から、一審・秋田地裁での裁判の
弁護側最終弁論と
検察側論告求刑の
要旨が配信されてきましたので引用して掲載します。

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弁護側最終弁論要旨 藤里連続児童殺害
                  2008/01/26 09:50 更新
URL: http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20080126c
 藤里町連続児童殺害事件・弁護側最終弁論の要旨は次の通り。

 【彩香ちゃん事件】

 誤って橋から落下させたもので殺意はなかった。過失致死罪は成立しても、殺人罪は成立しない。自白調書には任意性、信用性が欠如している。物的証拠はなく、事件を立証するには被告の自白を得るしかない状況だった。

 被告は長時間の過酷な取り調べを2カ月間にわたって受け、心身が休まる時間がなかった。重大事件であるとしても異常で、人間の耐えられる限界を超えていた。被告が休憩を申し入れても一蹴(いっしゅう)され、体調への配慮はほとんどなかった。

 警察官や検察官に殺意自白を誘導され、「今さら否定しても無駄だ」「悪い情状は入れないから」などと言われた。自白調書は任意性に欠け、事実認定から排除すべきだ。不当な誘導によって署名したことがはっきりしている。

 被告は彩香ちゃん事件の後、記憶をなくした。橋から転落したのは予期せぬ出来事で、驚いた。救助しなかったのは記憶を失っていたからだ。転落は不慮の事故と考えるのが最も整合性がある。

 彩香ちゃんを殺害する動機は存在しない。ネグレクト(育児放棄)していたという近くの住民の証言は誇張。ネグレクトとは程遠い。被告の養育状況は平均的な母親より不良ではあったが、暴力を振るったのを見た人物はまったくいない。彩香ちゃんが栄養失調になったこともない。

 養育状況などを振り返ると、死を願っていたとの検察側の主張は根拠を欠いている。彩香ちゃんが橋の上で急に体をひねった際、こわくなって手で反射的に振り払い、落ちてしまったのが真相だ。無意識的な行動によるものであり、殺人罪は成立しない。

 【豪憲君事件】

 被告は彩香ちゃんを亡くして異常な精神状態にあった。犯行は下校時間という周囲の目に付きやすいときに行われた。突発的、衝動的な犯行であり、まったく計画性はなかった。仮に計画性があれば、遺体を発見されやすい場所に遺棄するわけがない。凶器の腰ひもと軍手をそれぞれ別の場所に置いていたのも不自然。検察側は被告が彩香ちゃんの遺品を同級生にあげようと接触したり、誘拐できる子どもを物色していた点を指摘するが、すぐ顔が知れてしまう。彩香ちゃんの死について自分に向けられた疑いをそらすための犯行でもない。

 起訴前の精神鑑定医が指摘するように、被告は犯行時、「精神的視野狭窄(きょうさく)」にあり、自宅前を通りかかった豪憲君を見て突発的に犯行に及んだ。公判と並行して行われた精神鑑定の担当医は「責任能力の減弱は認められない」としたが、(異常な精神状態の下では)被告が行動を制御できたかは分からない。

 【情状】

 豪憲君事件に計画性はなく、凶器も殺傷能力の高い刃物を使ったものではない。被告なりに反省し、公判でも遺族に謝罪している。

 精神鑑定医に提出した日記の中にある遺族への暴言は誠に遺憾だが、鑑定医に何でも書くように言われて書いたもので、一時的に反省心が崩れたものにすぎなない。被告は遺族の心情を聞いて自ら死刑を求め、心の底から反省している。豪憲君事件が起きた背景には、警察の捜査の怠慢もあった。

 被告は幼少期から父の暴力を受け、学校ではいじめにあった。高校卒業後の職場での勤務態度に問題はなく、父の介護をするなど人の役に立つことに喜びを感じる人間だ。反社会的存在ではない。

 精神的な病に慢性的に苦しみ、通院治療を続け、職場をやめてから本件犯行時まで改善しなかった。被告の人格障害と犯行に密接な関係があったことは否定できない。

 被告は「生きている限り償いの方法を考え続ける」と述べており、更生の可能性は決して失われていない。母や弟は被告を監督することを誓っている。被告にとって有利な事情をしん酌し、有期の懲役刑を処するのが相当だ。

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検察側論告求刑要旨 藤里連続児童殺害
                  2008/01/26 09:42 更新
URL: http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20080126b
 秋田地裁で25日開かれた藤里町の連続児童殺害事件公判で、検察官が読み上げた畠山鈴香被告(34)に対する論告要旨は次の通り。

 【犯行の全体像】

 本件は、自己中心的で攻撃的な性格傾向の被告が、実子の彩香ちゃんに対し根深い嫌悪感を抱き続けた中で、自分の性格に起因する人間関係の破たんなどから募らせた不満を振り向け、彩香ちゃんへのいらだちや嫌悪の念を極限まで募らせて殺害。隠ぺい工作のため、自分が殺害していないかのように装い警察やマスコミ、住民などに事件性を訴えたが、周囲は期待した通りの好意的な対応をしなかった。八つ当たり的な怒りや憎悪を募らせた上、自分に捜査が及ぶのではないかとの危ぐ感も持ったため、社会に小児殺人の脅威を与えて復讐(ふくしゅう)心を満たし、彩香ちゃん殺害の疑いをそらそうと考え豪憲君を殺害、遺体を遺棄した。

 身勝手な犯行を繰り返した動機に酌量の余地はなく、冷酷非道で残虐。確定的殺意を持って2人の小学生を殺害したのは鬼畜の所業だ。特に豪憲君殺害については、か弱い存在であれば誰でもよかったという凶悪な殺人だ。

 結果は重大、悲惨で、2人の被害者は何の落ち度もないのに貴い命を奪われた。遺族の処罰感情は厳しく、極刑を望んでいる。

 被告は各犯行後も、積極的に罪証隠滅工作を重ねている上、現在も彩香ちゃん殺害については否認し、豪憲君についても計画性などを否認。反省はみられない。

 犯行は被告の異常ともいえる反社会的な人格性向に根ざしており、真摯(しんし)な反省は期待できず、矯正は不可能と言わざるを得ない。

 【彩香ちゃん殺害】

 被告が意識下に常に抱き続けていた殺意が顕在化したにすぎず、突発的、偶発的犯行ではない。酌むべき事情は認められない。

 彩香ちゃんの心情を思いはかると、突然に鬼のようになった被告に恐れおののき、命令に従って橋の欄干に登り、それでも被告を信じて助けを求めてすがりつこうとしたにもかかわらず、その期待を裏切られた。哀れというほかない。

 被告は犯行後に彩香ちゃんを助けようとせず直ちにその場を立ち去り、彩香ちゃんを捜していたかのように装うなど、巧妙で卑劣な隠ぺい工作をしている。冷酷な人間性の発露で、極めて劣悪だ。

 【豪憲君殺害】

 被告は小児殺人の脅威を与えることで社会に対する復讐心を満たし、彩香ちゃん殺害について向けられた疑いの目をそらそうとの意図から豪憲君を殺害し、遺体を遺棄した。自己保身のためには他人の生命など顧みない身勝手極まる動機は、人間とは思われず、酌量の余地は皆無だ。

 被告はたまたま1人で帰宅する豪憲君を選び自宅に誘い入れると、用意周到に軍手をはめ、あらかじめ準備していた腰ひもを首に巻きつけ、満身の力で左右に引くなど冷静に犯行を敢行した。殺意は極めて強固で冷酷無比だ。

 豪憲君は遊び友達の母親である被告から突然に首を絞められ、恐怖と苦しみの中で七歳の短い生涯を終えさせられた。結果は重大だ。

 遺族の悲しみ、苦しみ、激しい怒りの心情は誰もが共感することができる。この被害感情こそ、量刑を決める上で重要視すべきものだ。

 【反省の態度】

 被告は捜査、公判を通じ公訴事実を否認し、不自然で不合理な弁解を重ねている。彩香ちゃん殺害についての自責の念や反省心がないことは、犯行後の隠ぺい工作からも明らか。豪憲君についても遺族に対し悔やみの手紙を渡すなどしているのは、遺族を愚弄(ぐろう)し心情を踏みにじる態度で、極めて悪質だ。

 被告の日記には「(豪憲君の両親が)何でそんなに怒っているのか分からない。まだ2人も子どもがいるじゃない」などと心無い言葉が記されており、反省がみられないことは明らかだ。

 被告に反省を期待することはできないし、矯正が可能とは思われない。むしろ、再び弱者を対象とした八つ当たり的な凶悪犯罪を繰り返す恐れは極めて大きい。

 【地域・社会へ与えた影響】

 地域住民の多くが不安障害などを抱えカウンセリングを受けるなどしている。子どもたちの多くは、1人でトイレや風呂に行くことができない。さらに、逮捕前から被告が連日マスコミに登場し注目を集め、不安をあおった。地域社会を震え上がらせたばかりでなく、日本社会全体にも深刻な不安を与えた。

 【求刑】

 被告は冷酷な方法で彩香ちゃんを殺害し、隠ぺい工作をする中で、たまたま通り掛かっただけの豪憲君を殺害した。犯行は悪質で、結果も極めて重大だ。幼い命を相次いで奪った犯行は、冷酷、残虐で非人間的所業といわざるを得ない。被告に有利な諸情状をみても、極刑をもって臨む以外にない。


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秋田小1児童殺害事件-92

【連載第1回目から読む】 「“任意”で16時間の取調べで“自供”?」    
    第91回へ     第93回へ 

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【関連記事】 河北新報より



殺意の立証疑問視 弁護側、検察に反論
畠山被告「申し訳ない」
畠山被告に死刑求刑 公判の争点

     

「極刑」微動だにせず 畠山被告、殺意指摘にぶぜん




長時間取り調べ改善早急に

2008-01-26 00:06:53 | 事件・事故
秋田小1児童殺害事件-91
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 志布志事件や富山・婦女暴行事件での“冤罪”捜査が、社会的問題と成ったのを受けて、警察庁はようやく重い腰を挙げ、指針を作成した。

 この「指針」と比べても、畠山鈴香さんへの取調べは、「違法性」が濃いものと言わなければならないが、警察庁は、この指針によって再捜査するつもりはないらしい。

 既に冤罪事件が明らかになった、上記二つの事件以外の「冤罪」を疑われる事件には適用しないつもりらしい。
これでは、この「指針」なるものは、社会的な批判を一時かわすための目暗まし・建て前・カモフラージュに過ぎず、これからも同じような冤罪を防ぐための「防波堤」には、なりそうもない。

 時事通信社によれば、
【泉信也国家公安委員長は「監督者と捜査担当者の間の緊張感や捜査指揮に関する教養(指導・教育)の徹底などが重要。人員、予算も絡むが、できるだけ早く、着実に取り組むよう警察庁に指示した」と述べた。】と言う。

 指針によると、
*警察本部や警察署は総務、警務部門に監督担当課や監督担当者を置き、
*容疑者逮捕前の任意捜査段階から 状況を確認。
  午後10時から午前5時の間や一日8時間以上の取り調べをする際は、本部長や署長の事前承認が必要 となる。

 監督対象は、
(1)身体への接触
(2)尊厳を害する言動
(3)(机をけるなど)直接、間接的な有形力行使
(4)ことさら不安を覚えさせる言動
(5)一定動作の要求
(6)便宜供与・約束
(7)事前承認のない深夜、長時間の取り調べ。

これらの殆どが畠山鈴香さんの取調べにも該当する。 

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秋田小1児童殺害事件-91

【連載第1回目から読む】 「“任意”で16時間の取調べで“自供”?」
 
      第90回へ    第92回へ  


取り調べ問題行為7分類=「監督課」でチェック-適正化指針決定・警察庁 (時事通信) - goo ニュース

長時間取り調べ改善早急に 刑事部長会議で警察庁長官
          共同通信  2008年1月25日(金)16:23

 警察庁は25日、都内で全国刑事部長会議を開き、鹿児島県の選挙違反無罪判決などを受けてまとめた「取り調べ適正化指針」を現場に徹底させ、長時間や深夜の取り調べを避けるなど時間管理に早急に取り組むよう指示した。吉村博人長官は「国民からの批判は依然として厳しく、警察捜査に対する信頼を確かなものにするために、早急に諸対策に取り組まなければならない」と述べた。

長時間取り調べ改善早急に 刑事部長会議で警察庁長官(共同通信) - goo ニュース

的確な捜査指揮を=取り調べ適正化指針決定で-警察庁長官・刑事部長会議 (時事通信) - goo ニュース

取り調べ適正化、警察庁長官が「指針徹底を」指示(読売新聞) - goo ニュース

適正化策の着実な運用を=取り調べ指針で国家公安委員長 (時事通信) - goo ニュース

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警察庁取り調べ適正化指針
  1日原則8時間/部屋には透視鏡/監督部門を新設

              産経新聞  2008年1月25日(金)03:43

 調書への署名強要など、不適切な取り調べが批判された富山県の婦女暴行事件と、鹿児島県の選挙違反事件について、警察庁は24日、問題点の検証結果を公表し、再発防止のため、取り調べを監督する部門の創設や、1日の取り調べ時間を原則8時間以内にすることなどを柱とする「取り調べ適正化指針」を決定した。警察庁が個別事件について捜査の問題点を検証して結果を公表し、捜査上の制度に反映させるのは初めてという。

 検証では、鹿児島事件の取り調べについて、任意捜査の段階で、最長で1日13時間40分にも及ぶケースがあった▽簡易ベッドに横にさせて長時間、両手を机に乗せた姿勢で行った▽「(容疑を)認めないと地獄に行くぞ」など、圧迫するような発言で供述を引き出そうとした-などの点を供述の任意性を揺るがす「不適切な言動」と判断。


 こうした問題のある取り調べを反省し、再発防止のため警察庁は指針に、(1)警察本部と警察署に取り調べを監督する担当部門と担当者を置く(2)すべての取調室に透視鏡を設置する(3)長時間の取り調べを原則的に回避し、午後10時から翌日午前5時までの取り調べや1日8時間を超える場合には、事前に所属長の承認を求める-などの点を盛り込み、国家公安委員会規則や犯罪捜査規範に定めた。


 取り調べ中の問題行為の防止は、個々の取調官の資質や認識に負うところが大きいとして、監督部門が問題を確認した場合、懲戒処分や業務指導を実施。取り調べから排除する一方、優秀者は表彰し、昇任や処遇に反映させる仕組みも取り入れる。


 警察の取り調べをめぐっては、鹿児島事件の公判で被告全員が無罪となった昨年2月以降、不十分な捜査や自白の強要に対する批判が相次ぎ、警察庁は「警察の捜査に対する国民の信頼が揺らぎかねない」として全国の警察本部に対し、緻密(ちみつ)・適正な捜査の徹底を指示。一方で、有識者懇談会や現場からの意見聴取などを通じ、再発防止策を検討してきた。


                   ◇


 ■誇り持てる教育徹底を


 平成11年の警察不祥事の際、警察刷新会議のメンバーとして提言づくりに携わった評論家、大宅映子さんの話「富山や鹿児島の問題は大昔のオイコラ警察を思い起こさせ、社会生活の常識からかけ離れた事件で、あきれてしまった。問題の検証は詳細だが、それでもなお、原因が見えてこない。一方、取り調べの適正化ということで管理を強化するが、警察には既に監察制度があり、屋上屋を架すかのような印象を受ける。不祥事のたびに改められる制度や法律は、それを作った心、精神が入らなければ無意味だ。警察官個々の資質を高めてもらうしかない。今の警察官には、自らの命をかけても国民の安全を守る崇高な職業なのに、誇りがない。誇りが持てないから尊敬もされない。警察官に対し、責任や自覚、誇りを持たせる教育を徹底する必要があるだろう」


 そのうえで、取り調べを監視するという今回の仕組みが作られることで警察が萎縮し、犯罪捜査に消極的になることがあってはならない。警察は心を入れ直して堂々と、地道な仕事を続けて信頼を取り戻すしかない」


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【用語解説】富山県の婦女暴行事件


 富山県氷見市で平成14年1、3月に起きた事件で強姦(ごうかん)と同未遂の容疑者として、タクシー運転手の男性が逮捕、起訴され、懲役3年の実刑判決を受け服役。仮出所後の18年11月、別の事件で逮捕された男が2件の犯行を自供したため、男性の誤認逮捕が判明。昨年10月、再審公判で無罪が確定した。


【用語解説】鹿児島県の選挙違反事件


 15年4月の県議選で、県議らが選挙前の同年2月から3月にかけて支援者集会を開き、11人に現金計191万円を渡して投票を依頼したとして県議や住民ら13人(公判中に1人死亡)が公選法違反の罪で起訴された。鹿児島地裁は昨年2月、被告全員に無罪を言い渡した。

警察庁取り調べ適正化指針 1日原則8時間/部屋には透視鏡/監督部門を新設(産経新聞) - goo ニュース