鳩山総務大臣が事実上首を切られた。
形式的には、辞任したということになっているが、郵政民営化の是非を巡っての問題が糸を引いている麻生内閣の混乱の責任を押し付けられた更迭であると言うのが真相である。
辞めさせられた鳩山氏は、明治6年の政変(いわゆる大久保利通による「征韓論」クーデター)で政権を去った西郷隆盛に自らを喩えているようであるが、それはちょっと自画自賛が過ぎると言わなければならない。
鳩山総務相が辞任 郵政社長人事めぐり引責
朝日新聞 2009年6月12日14時34分
麻生首相に辞表を提出後、記者団の質問に答える鳩山総務相=12日午後2時8分、首相官邸、河合博司撮影
鳩山総務相は12日午後、日本郵政社長人事をめぐる混乱の責任をとって、麻生首相に辞表を提出した。鳩山氏は同日午前、首相官邸で首相と会談した際、西川善文社長の続投を条件付きで認めるように説得を受けていた。首相による事実上の更迭とみられる。衆院解散・総選挙を前に、首相が指導力を発揮できず問題が長期化したことで、今後の首相の政権運営に大きな打撃となるのは避けられない。
後任は、佐藤勉国家公安委員長が兼務することが固まった。
鳩山氏は辞表提出後、「今の政治は正しいことを言っても認められないことがある。仲間と相談して潔く去るのはいいのではないかという意見があった。一時は辞任はしないと言っていたが、いずれ歴史が私の正しさを証明してくれる」などと述べた。
鳩山氏は午前中の首相との会談後、「いろいろ(話した)としか言えない。私は自分の信念を申し上げた。総理からも、いろいろ質問があった」と語った。その後、いったん総務省に戻った後、再度官邸に行き、辞表を提出した。
鳩山氏は、首相との会談前の閣議後の記者会見で「(首相と自分の)結論が違えば、(自分は)罷免、もしくは辞任ということになるだろう」と述べ、首相が西川氏続投を決断すれば、総務相を辞める考えを示していた。鳩山氏は、同日朝には東京都内で記者団に「西川さん続投という条件の上で物事を考えて調整されても、そういう調整は調整ではない」と強調した。
政府内の大勢は、日本郵政の指名委員会の決定通り西川氏の続投を容認する方向だった。首相側は、西川氏の謝罪や総務省の業務改善命令に対して日本郵政が提出する改善計画の徹底などを条件に西川氏続投を認め、鳩山氏にも受け入れるよう求めていた。
この問題をめぐっては、総務相と人事を協議する河村官房長官、29日の株主総会で議決権を行使する与謝野財務相の2人が中心になって、鳩山氏側と調整を続けてきたが、鳩山氏が西川氏更迭を求める姿勢を変えないため長期化。首相の決断を求める声が与党からも強まっていた。
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2009年6月12日(金)18:03
鳩山邦夫総務相が12日午後、麻生太郎首相に辞表を提出後、首相官邸で記者団に語った内容は次の通り。
今、辞表を提出してきた。(首相からは)本当に残念だがやむを得ないと(言われた)。一番厳しいときの(自民党総裁選の)選対本部長を何度も務めてもらった関係でもあるだけに悲しく残念だと言っていた。(辞表が受理されたのは)もちろんだ。(首相は)悲しいと。しかし(首相が)決断しないとか、調整しないとか、いろんな批判もあり、やむを得ないと(言っていた)。
世の中、正しいことが通らないときがある。今はそういう思いだ。私がどんなに(かんぽの宿を)不透明で悪事を働いているかを世の中に説明してきても、今の政治は正しいことを言っても認められないことがある。
西郷隆盛が征韓論の時だが、ずっともめ続けて最後に「岩倉公、あやまてり」と叫ぶ。それで政府を去る。西郷隆盛も信念の人だから、自分が正しいと思ったことが通用しなかったので潔く去ったわけで、私も政府、内閣を去ることはちゅうちょしなかった。潔さが大事だ。正しいことが通用しないと思ったら潔く去るのが良い。
(自民党を離党するかどうかは)さまざまな仲間たちからいろんな激励を受けている。仲間たちと相談する。
(辞任を決意した理由は)罷免待ちだったが、仲間たちと相談して、潔く去るのがいいのではないかという若手議員が大勢いたので、そうだなと思ってそういう道を選んだ。いずれ歴史が私の正しさを証明してくれる。歴史と言っても50年、100年先ではなく、1年以内にも証明される。
なお、当ブログは西川氏こそ罷免するべきだと考えるが、一方で鳩山(前)総務大臣を全面支持する訳ではない。