じゅんなおひと

スポーツジャーナリストもどき

令和元年夏の高校野球全国大会1,2回戦を終えて

2019-08-15 15:35:04 | 高校野球

✳本命

関東一(東東京):戦前の予想通り本命に推すには打力はやや物足りないが、それを補う機動力はオコエを擁した時など同校の特徴と思われ健在。そして何より変わらず本命に推せる理由が背番号10の本格派右腕谷投手の存在。ここまで2試合観る限りでは、出来る限りエースで凌いで谷投手の負担を軽くすることに心を注ぎ、決勝や強敵等肝心要の試合で彼が万全の状態でいけるよう、努めているように見える。次の鶴岡東戦では初戦のように頭はエースでいくも難しければ早めに見切りをつけて谷投手にスイッチという起用が予想される。いずれにしても、今後の谷投手の起用法が初優勝の鍵かと思われ、監督の投手起用を見てると、密かに狙っている様子が窺える。

智弁和歌山(和歌山):戦前の対抗予想から本命に昇格。理由は同校伝統の強打、ではなく本格派右腕池田陽投手の成長。秋は体の開きの早さが気になったが、今はそれが是正され非常にバランスの良いフォームになり、体全体の力をボールに伝えられるようになり、長いイニング強い球を投げ続けられるようになって見えた。加えて2回戦の明徳戦で控えの矢田投手が5回1失点と強敵相手にゲームを作ることが出来たことも大きい。残っている学校の中には同様の投手起用が出来そうな学校もまだまだ残っており、次の星稜戦もそれでくる可能性も十分考えられる。強打の智弁和歌山が投手力で19年ぶりの夏を制する鍵は、今後そういう相手とどれだけ対戦出来るか、なのかも知れませんね。

 

✳対抗

履正社(大阪):投手陣の安定感が全国でも発揮されればと本命に推していたが、そこまでの決め手は持ち合わせていないことが、過去2戦の内容から窺えるため対抗に評価を下げはしたが、対戦相手が想像以上と評した打線の破壊力が大会通して発揮されれば、春夏通して初の全国制覇も、現実味を帯びてくる。ただ、次の相手高岡商業は要注意だ。履正としてはここでエースをリリーフに回したいところかも知れないが、高岡商業は思いの外投打に高いレベルでバランスのとれたチームであり、サイド右腕エース荒井投手は履正打線が苦手とするタイプの投手にも見える。同校の場合、先発はあくまで清水投手、そこから右腕岩崎投手への継投で大会通して戦うことが、寛容なのかも知れませんね

東海大相模(神奈川):戦前の予想から変わらず対抗評価。近江戦では足で圧力をかけ相手の守備の乱れを誘ったが、バッティングそのもので攻略する力という点では、やや物足りなさも残った。揺さぶりに動じぬ守備力を誇る相手への対応が今後鍵になってくるかもですね。次の中京学院中京も投打に高いレベルでバランスがとれており、予断を許さぬ相手かと思われます。

明石商業(兵庫):注目の2年生右腕中森投手のレベルはやはり高い。決め手になるだけの力量はあるかと感じるが、やや整いすぎて見える分、そこまでに至っていないように感じられる。優勝するにはやはり打線がどこまで援護出来るかかと思われます。ここも次の相手には要注意。同校としては、ここで出来れば中森投手をリリーフに回したいところだろうが相手の宇部鴻城はこれまた投打に高いレベルでバランスのとれた好チームであり、そうした投手起用をするのは危険な相手かと思わせる。あくまで頭は中森投手で、展開によって早めに下げて休ませる。打線がそうした展開にもっていくべく援護することが、今後は必要不可欠かと思われます。

敦賀気比(福井):戦前は投手力は高いものがありそうなもののノーマークにしていたが、蓋を開けると思いの外打力も高く投打に高いレベルでバランスがとれており、尚且つ力強さも十分に感じられ、優勝争いに割って入る存在と見て良いであろう。2回戦では早々に大差がついたこともあり、控え投手をいろいろ試すことが出来た。その時の継投を観る限りでは、ここもまた、監督は密かに夏の全国制覇を狙っているように見えた。その中には強敵相手に先発させても面白そうな投手もいたが、次の相手仙台育英は打線の破壊力は屈指のものがあるだけに、エース右腕笠島投手を休ませるには危険な相手である。今後エースをリリーフに回せる相手に出会えるかどうかが、鍵となってくるのかも知れませんね。

 

✳星稜(石川)はやはりジョーカー

戦前の予想として同校の場合、本命とも対抗ともダークホースとも形容し難い優勝候補として、ジョーカー、扱いとしたが、2戦終えてその印象は変わらない。本命に推すにはやはり昨年と比べて得点力が落ちる。だが屈指の本格派右腕奥川投手はやはり決め手になるに十分な力量があり、間違いなく今大会no1の投手であろう。2回戦ではその奥川投手の稼働を最小限にとどめる事に成功した。次の智弁和歌山戦はそうはいかないだろうが、今後いかに奥川投手を休ませられる相手と戦えるかが、悲願の初優勝への鍵かもしれませんね。

 

✳鶴岡東(山形)は当初打力のチームかと思われたが蓋を開けると投手陣も思いの外良く残った学校の中ではダークホース的な存在。岡山学芸館(岡山)ー作新学院(栃木)は岡山学芸館打線を作新ディフェンスがいかに封じるか。学芸館のエースが初戦のアクシデントから復帰出来るかも鍵。八戸学院大光星(青森)ー海星(長崎)は光星打線を海星投手陣が封じることが出来るかが焦点かと思われます。残った学校の選手の中学時代と高校での立ち位置を考えると、敦賀気比、鶴岡東、八戸学院大光星の打力は全国でも屈指のレベルで、それでもって一気に突っ走る。ということもあるかと思われます。