面白いから芭蕉の紀行文を読む
句郎 芭蕉の紀行文を読む目的は何なのか。分からないとTさんが発言していたが、私には明確な目的がある。
華女 あらっ、そうなの。
句郎 うん、芭蕉はどんな人だったのかを紀行文や俳句を読んで知りたいと思って読んでいるんだけれどね。華女さんはどんな目的で芭蕉の紀行文を読んているのかな。
華女 そうね。私は幅広く日本の古典文学というか、文化に興味があるのかな。歎異抄や風姿花伝なんかも読んだ経験があるからね。
句郎 親鸞や世阿弥にも興味をもって勉強したんだ。
華女 市民参加の会に入って読んだだけなんだけどね。もちろん定年退職後のことよ。
句郎 でも、凄いよ。
華女 それから私は俳句に興味があるからね。芭蕉の俳句を読めば上達するかもしれないと思ってね。
句郎 そうなんだ。みなさん、それぞれ目的は違っていいと思うんだ。
華女 確かに私もそう思うわ。ただ、面白くなくちゃ、嫌ね。だって欠伸を我慢して読んでみたって意味ないと思うわ。
句郎 確かに、そうだよね。昔、何回か、この会に参加してくれたYさんという同年代の方がいたんだ。その頃は紀行文の朗読を参加者全員の方々に順々にしていただいてたんだ。学校の授業のようにね。だから勿論、Yさんにも読んでいただいたんだ。その後、飲み会で彼は言っていた。朗読するのは嫌だとね。だからそれからというものは、朗読は私のみがするようにしているんだ。
華女 あらっ、そうだったの。私も確かにちょっといやだったかな。そうでしょ。古文は詠みづらいのよ。普段使っている言葉と違うでしょ。つっかえたりすると恥ずかしいじゃないの。
句郎 そうだよね。だから、私も読む練習をして参加しているんだ。
華女 そうだったの。やっぱりね。誰でも練習しなくちゃね。
句郎 昔、現役の頃、父母の前で生徒の書いた作文を朗読したことがあるんだ。その時、父母の中に有名な放送局のアナウンサー経験者がいたんだ。その方が私の朗読を聞き、後で先生は朗読の訓練をどこかでされたことがあるんですかと、聞かれたんだ。
華女 へぇー、句郎君の朗読が上手だったのかしらね。まぁー、お世辞じゃないかとは思うけれど。
句郎 そうだよね。でもね、お世辞にしても、少し自信を得たような気がしたんだ。
華女 そういうものよ。けなされちゃ誰でもいい気持はしないわ。
句郎 そうでしょ。だからできるものなら、参加者全員の方々が充実した時間を共有できたらいいなぁーと思って読んでいるんだけれどね。でも笑いがあれば、いいのかというとそういうものでもないと思っているんだ。
華女 俳句は笑いだと言うじゃない。だから楽しい会であってほしいと思うわ。
句郎 そう、「笑い」、我々庶民にとって、高齢者といわれる年齢の者にとって笑いは大事だよね。普段の日常生活には笑いはないからね。
華女 夫婦喧嘩はあっても、笑い合う夫婦というのは、少ないのじゃないかと思うわね。