i氏の海外生活体験記

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地熱開発に反対意見続出

2012-03-02 21:26:20 | 下北の地熱発電
3/2観光経済新聞が伝えています。

-環境省、地熱開発で意見聴取、反対意見続出-

 環境省は2月24日、東京都内で「国立・国定公園内における地熱開発にかかわる意見聴取」を行った。自然環境の保全にかかわる団体の関係者のほか、日本秘湯を守る会などの温泉関係団体の代表らが意見発表者として出席。「十分な議論がなされないまま開発が推進され、拙速すぎる」「開発側も『分からない』と言っているような不確実な技術のまま開発を進めていいのか」などの反対意見が相次いだ。

 意見聴取には、同省の渡邉綱男・自然環境局長はじめ、桂川裕樹・国立公園課長、大庭一夫・自然環境整備担当参事官らが出席。中央温泉研究所、日本秘湯を守る会、福島県旅館ホテル生活衛生同業組合、日本自然保護協会、世界自然保護基金ジャパン(WWF)、日本野鳥の会、猪苗代湖の自然を守る会の各代表が意見を述べた。

 このうち佐藤好億・日本秘湯を守る会会長は「地熱発電のポテンシャル量が地熱開発推進の資料として挙げられているが、これはあくまでも推定に過ぎない」と指摘、「熱水や蒸気は天水由来の長い時間かけて蓄積されたものであり、今生きている世代が使いきっていいというものではない。これからの世代にもかかわる問題だ」と述べ、時間をかけた議論と国の長期的なエネルギー施策に基づく議論の必要性を訴えた。

 また菅野豊・福島県旅組理事長は1月19日に福島県知事に提出した、温泉事業者や地熱開発事業者らによる意見交換の場としての協議会の設置などを求める要望書を読み上げ、さらに「『安全だ』と言われ続け設置された原子力発電所だが、福島はこの通りの状況だ。一方的に安全と言って開発を進めるのはどうなのか。正確な情報の公開が必要だ」と訴えた。

 このほか日本自然保護協会の辻村千尋氏は、地熱発電所内で、配管内のシリカスケールを外すために恒常的に硫酸などが注入されているという情報が最近になって初めて出てきたことを紹介し、「今になって知らない情報が出てきたことで、他にも環境に影響を与えるような事象についての情報が開示されていないのではとの疑念を持たざるを得ない」と指摘。その上で、「合意形成のためには『リスクの共有』が必要だ。開発側がまずはあらゆるリスクとその対策を示すべき」と強調した。

 意見聴取後にあいさつした渡邉局長は「徹底したモニタリングと情報共有のあり方など、今日の内容を踏まえてまとめる。実際に運用する都道府県が使いやすい内容にしていければ」と語った。

 同省では、意見聴取を踏まえた上で、今月中に国立公園内での地熱開発にかかわる新たな通達を出す予定だ。(情報提供:観光経済新聞社)

-引用終わり-

ま、良く話し合う事ですね。


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環境アセスの義務化

2012-03-02 16:38:45 | しもきたインフラ
3/1のデーリー東北が伝えています。

-(5)環境アセス義務化 -

 廃棄物再生利用のコンサルタント業務などを手掛けるエドヴィック(六ケ所村、岡山信弘社長)は、上北地区の3町村で計67基、総発電容量計13万4千キロワットの大規模な風力発電施設の建設構想を描く。
 2015年6月の運転開始を目指す六ケ所村での5基を皮切りに順次、発電設備を増やす計画。残る62基は用地の確保や電力系統への連系など課題は残るものの、岡山社長は「青森は日本一の風力発電基地だが、施設の多くは県外資本。地元資本が参入することで地域に利益を還元したい」と語る。
 気掛かりなのは、今年10月から始まる風力発電所の環境影響評価(環境アセスメント)義務化だ。「環境に配慮するのは事業者として当然だが、時間と費用がかかりすぎる」と、新たな負担に戸惑いを隠さない。
  ◇    ◇
 環境アセスの対象になったのは、総出力1万キロワット以上の風力発電。環境省は「騒音や低周波による健康被害の苦情が寄せられていたほか、絶滅危惧種を含む鳥が風車にぶつかる事故が起きているため」と説明する。
 福島第1原発事故の前から国内で普及が進んできた風力発電は、ほかの再生可能エネルギーに比べ発電容量が大きく、有望な電源の一つだ。同省も「最も潜在能力が高い」と認め、「適切な環境アセスの実施で風力のイメージアップにつながる」と強調する。
 これまでも発電事業者は自主的に環境アセスを行っていたが、10月以降に発電所を新設する場合、環境に与える影響について調査や予測、評価を行い、環境保全対策の検討を行わなければならない。
 こうした手続きには一般的に2年半程度の時間と、数千万円に上る費用が掛かるとされる。義務化をめぐっては環境への配慮で良とする意見の一方、「参入を検討する事業者の足かせになる」との指摘もある。
  ◇    ◇
 7月から始まる再生可能エネルギー固定価格買い取り制度で、利幅の大きい〝プレミアム価格〟が設定されるのは最初の3年間だけ。「もし環境アセス実施後に参入する場合、採算がとれるだけの十分な価格が設定されていないのでは」と懸念する事業者は少なくない。
 さらに、青森県はこれまで優良農地への風力発電施設の建設を認めてきたものの、農林水産省から農地法の厳格な運用を指導され、今年1月から建設できなくなり、複数の発電事業者の計画が事実上、白紙となった。
 原子力の代替電源として期待される再生可能エネルギー。国は盛んに旗を振るものの、実際は制度上の障壁が数多く存在し、民間の参入を妨げている。(第2部終わり)

-引用終わり-

もちろん環境、生態系には最大限配慮すべきですが、1万kw超えない規模であちこち作る、という手もあります。地熱も同様です。自治体ごとに地産地消するには良い規模でしょう。
ここで風力について誤解があるといけないので書いておきます。設備利用率です。1基2,000kwの大型風車も風が吹かなければ発電しません。風力発電の利用率は一般に20%程度と言われています。太陽光は12%です。地熱は70%です。原発も70%です。総出力の大きさだけで判断すると間違ってしまいます。

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原発私論

2012-03-02 13:25:23 | 大間原発の中間貯蔵化
3/2朝日新聞で日本総合研究所寺島氏がコラムの中で述べています。一部抜粋です。 

<フランス型国営体制で「開かれた原子力」を目指せ>

 最後に、エネルギー問題について、私論を述べておきたい。結論から言えば、原発は国家がより責任を持った体制でなければ持続できないと私は考えている。つまり現在のような国策民営体制ではなく、フランスのような国営企業による原発維持体制だ。

 今回の福島原発事故以降、一部には賠償リスクも補償リスクも何もかも東電に覆いかぶせてしまおうという議論があるが、そんなことをすれば、永遠に社員の給与をカットし、役員賞与を支払わず、ただ賠償のためだけに会社を存続させていくことになる。それで、社員一人ひとりの現場力は維持できるのか。そのような企業に原発を任せていくことができるだろうか。

 ならば、原子力をやめてしまえという声もあるかもしれない。確かに、生態系のシステムから生まれた化石燃料とは違い、原子力は「神をも恐れぬ技」かもしれない。手を引くべきだと主張している人を一方的に間違っているとは言い切れない。

 ただ、いったん手を出してしまった以上、現実問題として、途中で放り出すことは容易ではない。そもそも日本が手を引いたところで、世界、特にアジアは原発が林立する時代を迎えようとしている。日本人は、このようなときだからこそ、自分の国が原子力の歴史の中でいかに特殊な立場にあるのかを考えるべきだ。

 日本を除く原発推進国は、すべて軍事核を持ち、同時に平和利用を進めている。日本だけが非核国として平和利用に徹しつつ原子力技術を維持してきた。今放り出してしまうことは、国際社会において、平和利用だけの観点からこの分野で発言できる国が消えることを意味する。エネルギーは甘い世界ではなく、技術を放棄した国に発言力はない。日本はむしろ今まで築いた原子力関連の技術蓄積を維持し、かつ原発事故を通じて得た教訓をきちんと知識化し、世界に生かしてもらう方向を歩むべきなのではないか。

 国営原発運営会社の経営陣には、国際原子力機関(IAEA)やフランスの原子力大手アレバの元トップを招へいするのも一案だろう。「開かれた原子力」こそ、日本が原子力の技術蓄積と人材育成を続ける唯一の道である。

 (3月1日 ロイター)

 *本コラムは、個人的見解に基づいています。

-引用終わり-

日本の置かれた立場、特にアジアにおける日本の役割について述べておられます。部分的な落ち込みは確かにありますが、世界から円がこれだけ買われている理由は、日本の基本的技術の力を評価している、という考えです。

地震国日本で新規の原発はもうありえませんが、現存する原発の点検・管理・廃炉などの技術的蓄積、事故対応のあり方などを踏まえ、アジア諸国に生かす方向に私も賛成です。

例えばもし北朝鮮が雪解けした場合、国づくりのパートナーと成り得るのは日本ではないか、と思ったりします。原発対応の技術が生かせます。

カトマンズの喜び組の店で食事をしながらこんな事を考えていました。

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コスト比較は片手落ち

2012-03-02 01:43:21 | しもきたインフラ
3/9号の週刊ポストの記事ということでありました。

-原子力、火力、水力、地熱等エネルギー別発電コスト試算一覧-

 昨年の原発事故以来、様々な自然エネルギーへの転換が叫ばれ続けているが、果たして代替エネルギーはどの程度コストがかかるのだろうか? そこで、「内閣官房国家戦略会議コスト等検証委員会」がまとめた試算に基づき、設備建設費、燃料費、維持費、人件費、稼働率、稼働年数などをもとに100万kWhにかかる発電コスト試算した。

■100万kW(=原発一基)発電するための規模とコスト

原子力
【規模】約0.3ha(原発1 基)
【発電コスト】890万円
※柏崎刈羽原子力発電所6号機(定格出力135.6万kW)、稼働率70%を想定。

火力(ガス)
【規模】約15ha(火力発電機2.5基に相当)
【発電コスト】1070万円
※富津火力発電所4―1号(定格出力50.7万kW)、稼働率80%を想定。

水力
【規模】約2245ha(水力発電所6.6基に相当)
【発電コスト】1060万円
※黒部川第四発電所(定格出力33.5万kW)、稼働率45%を想定。

太陽光
【規模】約5600ha(山手線の内側に相当)
【発電コスト】3010万円~4580万円
※1平方メートルあたり定格出力0.15kW、稼働率12%を想定。

風力
【規模】直線で約177km(風車1770基に相当)
【発電コスト】990万円~1730万円
※風車1基あたり定格出力2000kW、稼働率24%を想定。

地熱
【規模】約2211ha(タービン22.7基に相当)
【発電コスト】920万円~2200万円
※八丁原地熱発電所2号機(定格出力5.5万kW)、稼働率80%を想定。

※週刊ポスト2012年3月9日号

-引用終わり-

また、ナンセンスな記事の繰り返しですね。そもそも事故処理も補償も最終処分場どころか除染もままならないというのに・・・。
そういう基本的条件、安全性などが担保できていないので、原発はコスト比較の土台に乗らないと思います。

一般に道路事業を進める時でさえ便益評価します。車両燃料費、短縮時間費用、交通事故費用をコスト化しますよ。

原発は住民説明、建設時間、廃炉費用、事故処理費用(死傷、医療費、除染費、補償費含む)などのコストさえ考慮されていませんよね。地震・津波対策、避難路、大型護岸なども必要でしょう。

この記事のマジックは「総コスト」ではなく「発電コスト」としていることですね。

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