i氏の海外生活体験記

<part1>ジャカルタ滞在記 <part2>ベトナム滞在記 <part3>ネパール滞在記
<part4>しもきた

あらすじ 海峡

2012-03-22 05:18:29 | しもきた
-あらすじ 海峡-

由香里の眼に防寒具に身を固めた夫が下北半島の荒磯に立っている姿が浮かんで來た。

その夫の姿はひどく孤濁であった。何ものをも寄せつけないものを持っていた。


彼一人であった。


その夫の心のどこにも自分は居ないと、由香里は思った。

その心のどこにもはいり込む餘地があろうとは思われなかった。


コクガン、コクガン、黒雁!


由香里は口に出して言ってみた。

現在の庄司の心の中には恐らく黒雁の啼き聲しかはいっていないのであろう。

由香里は黒雁という鳥がいかなる大きさで、いかなる形をしているか、想像することはできなかった。

黒雁というからには黒い色をした雁のような鳥なのであろう。


その黒雁だけがいまの庄司の心を掴み、恐ろしい力で彼を惹き付けているのである。

下北半島という東北の果ての遠い半島の荒磯にいる黒色の鳥が、
東京にいる一人の医師に向かって「おいでおいで」をしている。


そしてその医師は本職の方は心も虚ろに、今にもその鳥のへ歩み寄ろうとしている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ほう、ついにやって來ましたな。東京からずいぶん遠くへ逃げて來たものだ」と言った。

庄司が「逃げる」という言葉をつかったので、杉原はぎょっとして顔を上げた。

「逃げた?どうして逃げて來たんです」

「なんとなく逃げて來たといった気持ちじゃないですか、ここまで來れば追っ手もなかなか探せませんよ。
そんな気持ちじゃありませんか」

「なるほど」


杉原は静かに言った。

そして何から何まで自分と同じような考えを持っては口に出してみせる庄司を、ちょっと不気味に思った。

ここまで來ればもう宏子の幻想は追いかけては來ないだろう。

杉原も自分も亦、宏子の幻想から逃げて、逃げて、ついにここまでやって來た、と思っていた。


~中略~


二人は二階の海の見える部屋へ案内された。

部屋へ荷物を置くと丹前に着替え、二人はすぐ階下にある浴室へ下り行った。

ここは近隣在住の村人の湯治場らしく、明らかに土地の人と思われる客が数人、浴槽の中へ沈んでいた。

喋っている言葉が、二人にはよく判らなかった。

泉質は硫黄泉である。

少しぬるかったが、少しぐらいぬるいことはいまの二人には問題でなかった。

躰の表面から、じわじわと湯が内部に向って浸透して來るように、杉原には感じられた。


ああ、湯が滲みて来る。


本州の、北の果ての海っぱたで、雪降り積もる温泉旅館の浴槽に沈んで、俺はいま硫黄の匂いを嗅いでいる。

なぜこんなところへ來たのだ。

美しい姫の幻影を洗い流すために、俺はやって來たのだ。

杉原は詩人になっていた。


-引用終わり-

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あらすじ 田園に死す

2012-03-22 05:17:20 | しもきた
-あらすじ 田園に死す-

青森県の北端、下北半島・恐山のふもとの寒村。父に早く死なれた少年は、母一人子一人で犬を飼って暮している。隣の家に嫁にきた女が少年の憧れの人である。隣は地主で、姑がすべてを支配しており、女の夫は押花蒐集狂の非力な中年男である。少年の唯一の愉しみは恐山の霊媒に逢いに行き、死んだ父を口寄せしてもらうことだった。

ある日、村にサーカス団がやって来た。人気者の空気女と一寸法師の夫婦は、遠い町のことを色々と少年に話した。今の生活が嫌になっていた少年は、彼らの話に魅かれ、村を出たいと思うようになった。この話を隣の嫁に言うと、嫁は一緒に村を出よう、と言ってくれた。だが、祭りの夜、待ち合わせの納屋には嫁は来なかった。がっかりした少年は、野原に一人で寝てしまった……。

ここまでが私の少年時代の自伝的な映画の前半である。二、三人のスタッフ、批評家と試写室で観ていた私は、「うまくまとまっている」とか「抒情的だね」などと、まわりに言われる。フィルムは再び、荒涼とした北国の風景を写し出す。母親が途方にくれて少年を捜している……。その時、試写室のドアが開き、少年(二十年前の私)が入って来て、この映画は過去を美化した作り物だ、と言って真実を語り始める。

空気女は男好きで、一寸法師はいつも嫉妬に狂っていた。母は犬憑きで、地蔵講の老婆たちに犬落しをしてもらい飼犬を殺す。駈け落ちの夜、少年は、隣の嫁と嵐という男の交わりを見た。そして少年は「はじめから相手にしていなかった」と冷たく嫁に言われる。母一人子一人の生活に戻った少年は、相変らず家出を夢見ている。

ある日、麦畑でばったりと現在の私と出会う。二十年をはさんだ少年と私とは母について、死について、相談して母を捨てようとする。私が準備して待っていると、少年は途中で東京帰りの出戻りの女に、なかば犯されるようにして童貞を失う。少年は東京へ行きたい、と思い、雑踏の中で途方にくれている隣の嫁のことが思いうかび、矢も楯もたまらなく汽車に飛び乗る。現在の私だけが田園に取り残され、少年の帰りを待っている。

やがて、冬が来て雪が降り始める。隣の嫁はどこにいるのだろうか。東京へ出ていった少年からは、今日になってもまだ便りがなく、私と二十年前の母とは、向きあって飯を食いながら、風の音を聞いているのである……。


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-引用終わり-

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あらすじ 魚影の群れ

2012-03-22 05:16:09 | しもきた
-あらすじ 魚影の群れ-

小浜房次郎は、娘トキ子が結婚したいという、町で喫茶店をやっている青年・依田俊一に会った。彼は養子に来て漁師になっても良いと言う。マグロ漁に命賭けで取り組んできた房次郎は、簡単に漁師になると言われて無性に腹だたしく感じた。店をたたみ大間に引越してきた俊一は、毎朝、房次郎の持ち船(第三登喜丸)の前で待ち受け、マグロ漁を教えて欲しいと頼む。十日以上も俊一を無視し続けた房次郎が、一緒に船に乗り込むのを許したのはエイスケの忠告に従ったからだった。エイスケに指摘されたとおり、房次郎はトキ子が、家出した妻アヤのように自分を捨てて出て行くのではないかとおびえていた。

数日間不漁の日が続き、連日船酔いと戦っていた俊一がようやくそれに打ち勝ったある日、遂にマグロの群れにぶつかった。そして、餌がほうりこまれた瞬間、絶叫がおきた。マグロが食いつき凄い勢いで引張られる釣糸が俊一の頭に巻きついたのである。またたく間に血だらけになり俊一は助けを求めるが、房次郎はマグロとの死闘に夢中だ。一時間後、マグロをようやく仕留めた房次郎の見たのは俊一の憎悪の目だった。数ヵ月後に退院した俊一はトキ子と一緒に町を出ていった。

一年後、北海道の伊布港に上陸した房次郎は二十年振りにアヤに再会する。壊しさと二十年の歳月が二人のわだかまりを溶かすが、アヤを迎えに来たヒモの新一にからまれた房次郎は、徹底的に痛めつけ、とめに入ったアヤまで殴りつけた。翌日伊布沖でマグロと格闘していた房次郎は、生まれて初めて釣糸を切られ、ショックを受ける。

大間港に、すっかり逞しくなった俊一がトキ子と帰って来た。ある日、俊一の第一登喜丸の無線が途絶えた。一晩経っても消息はつかめず、トキ子は房次郎に頭を下げて捜索を依頼する。房次郎は、長年培った勘を頼りに第一登喜丸を発見。俊一は房次郎の読みのとおり、三百キロ近い大物と格闘中であった。重傷を負っているのを見た房次郎は釣糸を切ろうとするが、「切らねでけろ。俺も大間の漁師だから」という俊一の言葉にマグロとの闘いを開始する。二日間にわたる死闘の末、大物は仕留められた。しかし、帰港の途中、来年の春にトキ子が母親になる、生まれた子が男の子だったら漁師にしたいと告げて、俊一は房次郎の腕の中で息を引き取った。


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-引用終わり-

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情報公開の比較記事

2012-03-22 04:45:33 | しもきた
3/21ネット選挙ドットコムが自主調査ということで伝えていました。

-注目の1位はむつ市【自治体別、「選挙」と「議会」の情報公開診断 vol.7】  2012年3月21日 12:00- 

議会事務局と選挙管理委員会を比較する
毎週恒例の自治体の議会事務局や選挙管理委員会の情報公開を調査する「自治体別、「選挙」と「議会」の情報公開診断」シリーズの第7弾。

今回の記事では、昨年の10月から12月の間に市議会選挙が行われたむつ市(青森県)、朝霞市(埼玉県)、ひたちなか市(茨城県)の議会事務局と選挙管理委員会の取り組みを客観的に評価するためにチェックリストを用い得点をつけて比較する。

有権者にとって候補者に投票する上で必要な情報を議会事務局と選挙管理委員会は、どの程度公開しているのかを「情報に対するアクセスの容易さ」「議会の活動」「選挙の告知」「結果広報」「お金周り」などの項目を利用し計50点満点で評価した。

比較の結果は以下の通り
1位 むつ市(約6.3万人)【青森県】25点
2位 ひたちなか市(約16万人)【茨城県】24点
3位 朝霞市(約13万人)【埼玉県】18点

各議員のプロフィール公開が充実しているむつ市が1位
昨年の10月2日にむつ市議会選挙が行われたむつ市(青森県)が、25点を獲得し1位となった。議会事務局において「各議員のプロフィール」を唯一「基本情報(顔写真/名前/所属会派/所属委員会) 当選回数/期数」という形で詳細に公開している。また、各議員の「住所と電話番号」を公開している点も高く評価可能。

選挙管理委員会について「確定投票数」を公開している点は、有権者への選挙関連の情報提供において優れている。しかし、「今後の選挙日程」が公開されていないため、有権者は「今後、どのような選挙が行われるか」を把握することが不可。また、「過去の選挙との比較」も公開されていないことで、「前回の選挙結果」を容易に把握することができない。この点は、早急に改善する必要がある。

議長経費を唯一公開しているひたちなか市が2位
昨年の10月23日にひたちなか市議会選挙が行われたひたちなか市(茨城県)が24点を獲得し2位となった。議会事務局について「議長経費」を唯一公開していることは、「議長が、いつ、何に、お金を使ったのか」を把握できるため、高い評価ができる。

しかし、選挙管理委員会についてグーグルで「自治体名+選挙管理委員会」を検索した際に、「3位以下」に検索結果が表示される。有権者のためにも、SEO対策などを含めて早急に改善する必要がある。また、「議員のプロフィール」が「顔写真」のみ掲載されており、有権者にとって「議員名簿」から得られる情報があまりにも少ない。

議会のスケジュールを公開していない朝霞市が3位
昨年の12月4日に朝霞市議会選挙が行われた朝霞市(埼玉県)が18点を獲得した3位となった。しかし、議会事務局において「議会のスケジュール」を唯一公開していないため、有権者は「次に、どんな選挙がおこなわれるのか」を把握することができない。この点は、早急に改善する必要がある。

また、選挙管理委員会において「RSS」や「メルマガ」などの「受け身で情報を受け取れる手段」が公開されていないため、有権者は気軽に選挙関連の情報を入手することが不可。今後、積極的な情報配信が一層求められる。

累積の順位、累積のデータ(上位10位まで、過去7回の調査)

1位 大阪市(約270万人)【大阪府】 38点
1位 埼玉県(約720万人)【埼玉県】 38点
3位 仙台市(約100万人)【宮城県】 36点
4位 高知県(約77万人)【高知県】 34点
5位 米沢市(約7万人)【山形県】 33点
5位 豊川市(約18万人)【愛知県】 33点
5位 所沢市(約34万人)【埼玉県】 33点
5位 亀岡市(約9万人)【京都府】 33点
5位 大牟田市(約12.5万人)【福岡県】33点
6位 海老名市(約13万人)【神奈川県】 33点

調査を終えて一言
今回は、昨年の10月から12月に市議会選挙が行われた地方自治体の議会事務局と選挙管理委員会を調査した。特に、「各議員のプロフィール」を詳細に公開しているむつ市と「議長経費」を唯一公開しているひたちなか市は、非常に高い評価ができる。

しかし、3つの地方自治体において「今後の選挙日程」と「過去の選挙との比較」が全く公開されていない。これでは、選挙管理委員会による有権者への情報提供という役割が機能していないと謂わざるを得ない。早急に改善する必要があると感じた。

さらに、ひたちなか市について「議員のプロフィール」が「顔写真」のみ掲載されており、顔写真以外に「各議員がどのような人物なのか」を知るすべがない。有権者が投票する際に参考可能な情報を示すために、せめて「基本情報(名前/所属会派/所属委員会/顔写真)」は公開するべきである。

-引用終わり-

情報公開の調査結果もエクセルでありました。

今回抽出された3市の中では高得点でしたが、50点満点での25点です。各議員のプロフィール公開を評価して戴いておりますが、HPやmailが少ない点が気に掛かります。民意を集約する手段をどうしているのでしょう。

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地熱、直掘り候補地

2012-03-22 00:25:22 | 下北の地熱発電
3/21毎日新聞で伝えております。

-<地熱発電>国立・国定公園内での設置基準緩和…環境省-

 環境省は21日、国立・国定公園内での地熱発電の設置基準を緩和することを決めた。これまで開発規制区域の外から斜めに掘る「傾斜掘削」のみを容認する方針を示していたが、自然環境への影響を最小限にとどめるなどの条件付きで、区域内で掘る「垂直掘削」も認めるとした。新基準は3月中に都道府県などに通知する。 

 国立・国定公園は自然景観や生物多様性の度合いで、特別保護地区、第1~3種特別地域などに分けて管理されている。このうち垂直掘削が容認されるのは規制が比較的緩い第2、3種特別地域。

 条件として、関係者間の合意形成▽環境影響を最小限にとどめる技術の導入▽周辺の荒廃地の緑化や温泉事業者への熱水供給など地域貢献▽長期モニタリングと情報の開示--を挙げた。

 日本には世界有数の潜在的地熱発電能力があるが、開発候補地の約8割は公園内にあって開発が遅れてきた。そこで、環境省は2月、特別地域外からの傾斜掘削による地熱資源利用に限り認める方針を示したが、環境影響の大きい垂直掘削は今後の検討課題としていた。

 規制緩和の理由について、環境省は「エネルギー供給状況の変化から、地熱資源利用に道を開くことを決断せざるを得なかった」と説明した。

 経済産業省は候補地として、阿寒国立公園阿寒地域(北海道)、大雪山国立公園白水沢地域(同)、十和田八幡平国立公園菰(こも)ノ森地域(秋田県)、栗駒国定公園木地山・下の岱(たい)地域(同)、同公園小安地域(同)、磐梯朝日国立公園磐梯地域(福島県)の6地域を挙げている。

-引用終わり-

下北地区は特にありませんが、きっと大丈夫です。規制区域外で出来ると信じています。

それより条件が面白いですね。「周辺の荒廃地の緑化や温泉事業者への熱水供給など地域貢献」少し表現に気を付けないと温泉地がダダをこねているように捉えられますよ。

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