3/10毎日新聞で伝えておりました。
-見通し立たぬ原子力「国策への貢献、無視か」-
◇立地自治体に広がる懸念
「直接処分になると再処理は無くなり、フルMOXの大間原発は必要なくなるのではないか」
2月25日の大間町議会。大間原発対策特別委員会の席上、石戸秀雄議長が委員として発言し、事業者のJパワー(電源開発)幹部を問い詰めた。2020年12月完工を目指す大間原発。通常の原発から出る使用済み核燃料を再処理して加工するウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を、全炉心で使う世界初のフルMOX商業炉となる。六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場と並ぶ核燃料サイクルの中核施設だ。
しかし、原子力規制委員会による再処理工場の安全審査は既に遅れがちで、規制委はフルMOX炉の審査にも慎重に臨む。再処理せずに地中に埋める「直接処分」も取りざたされ、焦る町議会の懸念が表面化した。
大間には苦い記憶がある。同町は以前、「新型転換炉」の実証炉の建設予定地だったが、1995年に計画が白紙になった経緯がある。委員会で石戸議長が「国策に貢献している思いだが、全く無視されることになるのが少しずつ見えてきている気がする」と不信感を示すと、Jパワー側は「工事の進捗(しんちょく)率はすでに37・6%。できる限り早く安全な原子炉をつくり、皆様と共存共栄を行っていく」となだめた。
背景には、財政問題もある。Jパワーの当初計画で同原発は昨年11月に稼働予定で、町はこれを前提に年間数十億円の固定資産税収を見込んだ計画を立てた。しかし、稼働遅れで15~18年度の歳入は約100億円減る見通し。築85年の役場の建て替えなどが後回しになった。別の町議は「『原発マネー』に左右されない町のあり方も考える時期なのか」と思案顔だった。
■「自治能力なくした」
町議たちの不安に、あるマグロ漁師は「町を動かす人たちは自治を考える能力を無くし、原発のことしか考えが及ばなくなった」と冷ややかだ。国内有数ブランド「大間マグロ」への風評被害の懸念から、以前から原発に反対の立場だ。
とはいっても、町内で原発工事に関わる住民やその親族は多い。表立って反対の声は上げづらいという。北海道函館市が国を相手に大間原発の建設差し止めを求めた訴訟を挙げ「一人が反対してもどうにもならない。『稼働すれば危険』と言える人に言ってもらうしかない」と諦め気味だ。
■稼働遅れ、人口流出
東通原発に隣接する東通村小田野沢地区の集落は、震災後の衰退が著しい。震災前の10年に962人いた住民は、昨年は888人に減った。小田野沢部落会の二本柳政雄会長は「原発が止まって工事の仕事がなくなり、住民がよそへ出稼ぎしたまま戻ってこない」とこぼす。
東北電の1号機は再稼働のめどが立たず、震災直前の11年1月に着工した東電の1号機も建設再開の道筋が見えない。規制委の審査では、敷地内の断層が活断層かどうかを巡って議論は平行線だ。「外国の第三者の専門家に見てもらえばいい」ともどかしさが募る。
利用者が減ったガソリンスタンドやコンビニもつぶれ、空き家が増えた。二本柳さんは自宅から外を見つめ、「事故はおっかないが、農業も産業も食って消費する人がいてこそ」とつぶやく。
バスや自衛隊ヘリで青森市へ向かう避難訓練にも参加した。「福島の事故があって、事故はもう『万が一』ではない」と危機感も持つ。一方、審査をクリアすれば事故につながらない原発ができるとも信じる。「結局は明日死んでも、きょうは死にたくないってことさ」と息を吐いた。
◇ ◇
震災と東京電力福島第1原発事故から4年がたつ。県内の原子力施設の稼働が見通せない一方、再生可能エネルギー活用の取り組みも目立ち始めた。「5年目」を迎えるにあたり、県内のエネルギーを巡る動きを追った。
-引用終わり-
以前から指摘しておりますが、大間原発は非常に厳しいと思います。住民の気持ちを察すると「声に出せないけど今は反対」という人は結構多いのではないでしょうか。
原発工事で経済も雇用も支えられてきた状況は崩れてしまいました。徐々に再生エネルギーにシフトしていくことが、未来に負の遺産を残さないためにも必要ではないでしょうか。
私はこの再生エネにソフトラウンディングする方法として「大間原発は中間貯蔵施設に変更する」と提唱しています。
-見通し立たぬ原子力「国策への貢献、無視か」-
◇立地自治体に広がる懸念
「直接処分になると再処理は無くなり、フルMOXの大間原発は必要なくなるのではないか」
2月25日の大間町議会。大間原発対策特別委員会の席上、石戸秀雄議長が委員として発言し、事業者のJパワー(電源開発)幹部を問い詰めた。2020年12月完工を目指す大間原発。通常の原発から出る使用済み核燃料を再処理して加工するウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を、全炉心で使う世界初のフルMOX商業炉となる。六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場と並ぶ核燃料サイクルの中核施設だ。
しかし、原子力規制委員会による再処理工場の安全審査は既に遅れがちで、規制委はフルMOX炉の審査にも慎重に臨む。再処理せずに地中に埋める「直接処分」も取りざたされ、焦る町議会の懸念が表面化した。
大間には苦い記憶がある。同町は以前、「新型転換炉」の実証炉の建設予定地だったが、1995年に計画が白紙になった経緯がある。委員会で石戸議長が「国策に貢献している思いだが、全く無視されることになるのが少しずつ見えてきている気がする」と不信感を示すと、Jパワー側は「工事の進捗(しんちょく)率はすでに37・6%。できる限り早く安全な原子炉をつくり、皆様と共存共栄を行っていく」となだめた。
背景には、財政問題もある。Jパワーの当初計画で同原発は昨年11月に稼働予定で、町はこれを前提に年間数十億円の固定資産税収を見込んだ計画を立てた。しかし、稼働遅れで15~18年度の歳入は約100億円減る見通し。築85年の役場の建て替えなどが後回しになった。別の町議は「『原発マネー』に左右されない町のあり方も考える時期なのか」と思案顔だった。
■「自治能力なくした」
町議たちの不安に、あるマグロ漁師は「町を動かす人たちは自治を考える能力を無くし、原発のことしか考えが及ばなくなった」と冷ややかだ。国内有数ブランド「大間マグロ」への風評被害の懸念から、以前から原発に反対の立場だ。
とはいっても、町内で原発工事に関わる住民やその親族は多い。表立って反対の声は上げづらいという。北海道函館市が国を相手に大間原発の建設差し止めを求めた訴訟を挙げ「一人が反対してもどうにもならない。『稼働すれば危険』と言える人に言ってもらうしかない」と諦め気味だ。
■稼働遅れ、人口流出
東通原発に隣接する東通村小田野沢地区の集落は、震災後の衰退が著しい。震災前の10年に962人いた住民は、昨年は888人に減った。小田野沢部落会の二本柳政雄会長は「原発が止まって工事の仕事がなくなり、住民がよそへ出稼ぎしたまま戻ってこない」とこぼす。
東北電の1号機は再稼働のめどが立たず、震災直前の11年1月に着工した東電の1号機も建設再開の道筋が見えない。規制委の審査では、敷地内の断層が活断層かどうかを巡って議論は平行線だ。「外国の第三者の専門家に見てもらえばいい」ともどかしさが募る。
利用者が減ったガソリンスタンドやコンビニもつぶれ、空き家が増えた。二本柳さんは自宅から外を見つめ、「事故はおっかないが、農業も産業も食って消費する人がいてこそ」とつぶやく。
バスや自衛隊ヘリで青森市へ向かう避難訓練にも参加した。「福島の事故があって、事故はもう『万が一』ではない」と危機感も持つ。一方、審査をクリアすれば事故につながらない原発ができるとも信じる。「結局は明日死んでも、きょうは死にたくないってことさ」と息を吐いた。
◇ ◇
震災と東京電力福島第1原発事故から4年がたつ。県内の原子力施設の稼働が見通せない一方、再生可能エネルギー活用の取り組みも目立ち始めた。「5年目」を迎えるにあたり、県内のエネルギーを巡る動きを追った。
-引用終わり-
以前から指摘しておりますが、大間原発は非常に厳しいと思います。住民の気持ちを察すると「声に出せないけど今は反対」という人は結構多いのではないでしょうか。
原発工事で経済も雇用も支えられてきた状況は崩れてしまいました。徐々に再生エネルギーにシフトしていくことが、未来に負の遺産を残さないためにも必要ではないでしょうか。
私はこの再生エネにソフトラウンディングする方法として「大間原発は中間貯蔵施設に変更する」と提唱しています。