
早朝の空は、ドンヨリとしていた。
沖波止を出るときに、寄せてくる波が気になった。
案の定、大島の北側を通るときには、北東の風が強く吹いていた。
「風があるな…」
やっぱり、一緒かとの思いだった。
北東の風に押されて白波が立ち、船が激しく上下動を繰り返す波になっていた。
沖には出られず、そのまま引き返す。
「内場に行きましょう」
蔵屋さんも状況は分かっているので、そのまま内場を目指す。
後から来ていた、大磯先輩も内場に急ぐ。
内場には既に、5,6隻の船が来ている。
野瀬の方に固まっているので、私は、大島寄りのポイントに入る。
当然のことだが、ここも北東の風が強い。
ウネリも高い。

高いウネリの中、蔵屋さんにアタリが来るが、途中で外れてしまう。
諦めずに攻めていると、アタリが来た。

「走らないので、鰺かと思った」
良型の鯖なのだが、余り走らなかったようだ。

写真ではなかなか分かり難いのだが、益々風が強くなってきた。
少しでも、風が避けられるところを流す。
すると、蔵屋さんに強いアタリが来た。
最初のアタリは、強い引きを味わった。

上がってきたのは、1.5キロのオオモンハタ。
「久し振りのハタや」
蔵屋さんも嬉しそうだ。
少しコースを替えて流すと、いきなりラインが走りドラッグ音が鳴った。
「来た、来ましたよ」
竿先を叩く感じからして、真鯛の期待が高まる。
しかし、途中からアタリが消えた。
ハリスが切れていた。
風が強く、厳しい状況ではあるが、悔しいハリス切れだ。
その後、アタリはポツポツと出る。

タチウオも来たが、指2本位なので直ぐに海に帰す。
昼近くになると、雨雲が増え始め沖合には、雨の柱も見え始めた。
「今日は引き上げましょうか」
昼前に帰港した。