◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/4月11日-20日

2015-04-11 12:28:48 | Weblog

[4月19日]
★懐かしやなずな花咲く峠道/迫田和代
なずなの花には、親しさとなつかしさを感じさせる風情がある。峠道では、すくすくとよく伸びて白い花もきれいなまま。思わず、「懐かしや」という声がこぼれる。(高橋正子)

[4月18日]
★花筏散らし別けゆく濠の舟/祝恵子
濠をゆく花見舟。水面に散り敷く花びら散らし、花びらを別けて、頭上に垂れる満開の花に歓声をあげたりしながら、舟で楽しむ趣向もいいものだ。(高橋正子)

★雨上る森の全てが若葉光/古田敬二
雨があがった森の中。若葉の光があふれて、眩しいくらいだ。森の外よりも明るい若葉の季節が快い。(高橋正子)

[4月17日]
★森深き車窓もありぬつつじ燃ゆ/桑本栄太郎
車窓に移り変わる景色は楽しいものだ。深い森の色から、目の覚めるようなつつじに変わると、快活な気持ちになる。深い緑も、明るいつつじも、いいものだ。(高橋正子)

[4月14日]
★仰ぎ見てさみどり眩し銀杏の芽/佃 康水
銀杏の芽を高く仰ぐとさみどりの芽が太陽に透けて眩しい。それが銀杏の木の高さや晴れた日の空をよく表して、人の気持ちを明るくしてくれる。(高橋正子)

[4月13日]
★旅人に花散る哲学の道/多田有花
哲学の道は疎水に沿って、銀閣寺の麓あたりから南禅寺まで歩ける。京都を訪れる旅人たちも、哲学者たちが散策したこの道を楽しむことができる。桜が散るころには桜の散る気分を思索させてくれる。(高橋正子)

[4月12日]
★スキップし先頭ゆく子花万朶/内山富佐子
満開のさくらの中のいい風景だ。「スキップ」、「先頭」、「花万朶」と続く言葉の並びがいい。(高橋信之)

★桜餅配る十指に香の残り/佃 康水
子供たちに、であろうか。大人たちに、であろうか。桜餅を配ったのである。指に残る「香の残り」は、塩漬けで香る「桜の葉」の香であり、「十指」がいい。作者の行為、そして作者の思いがありありと読者に伝わってくる。平易であって佳句。(高橋信之)

[4月11日]
★土手一面菜の花だけが残る夕/上島祥子
夕べの土手、菜の花の鮮やかな黄色が浮かぶように暮れ残っている情景。春の夕べの暖かさも加わり、柔らかな春たけなわの景色に和む。(高橋正子)
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4月11日~20日

2015-04-11 12:28:05 | Weblog
4月20日(4名)

●河野啓一
楠若葉森の頂き高く萌え★★★★
葉桜の繁み透して鳥の声★★★
ふんわりと花吊り下げて八重桜★★★

●小口泰與
花の雲白石川(しらいし)に見て城に見し★★★
蔵王嶺の映る川面や朝桜★★★★
雨脚の太きや桜わなわなと★★★

●桑本栄太郎
<奈良春日大社>
苔青む春日大社の常夜灯★★★
拝殿の朱色丹の色春の日に★★★
藤棚の春日大社につぼみけり★★★★

●佃 康水
せせらぎへ彩増す谷の若楓★★★★ 
谷くだる瀬音に沿いて若楓★★★
牡丹や花びら雨に透き通り★★★

4月19日(5名)

●小口泰與
白石川(しらいし)の逆さ蔵王山(ざおう)と桜かな★★★
蔵王嶺の風やわきかな初桜★★★★
花冷や蔵王山(ざおう)の嶺嶺の彫深し★★★

●迫田和代
懐かしやなずな花咲く峠道★★★★
なずなの花には、親しさとなつかしさを感じさせる風情がある。峠道では、すくすくとよく伸びて白い花もきれいなまま。思わず、「懐かしや」という声がこぼれる。(高橋正子)

誰もない葉桜川面に川流れ★★★
桜色心に残る色残し★★★

●内山富佐子
妙高山(みょうこう)に「はね馬」跳ねて春深む★★★★
吾一人花満開の土手を往く★★★
一山の桜の枝垂れ岨の月★★★

●桑本栄太郎
<奈良公園>
飛火野の群れて走るや春の鹿★★★
<万葉植物園>
麦の穂や万葉園の坪畑に★★★★
大根の花の愁いや万葉園★★★

●福田ひろし
ふらここや鎖をぎゅっと握りし日★★★
道端の土の香のたつ穀雨かな★★★★
踏青や国衆駆けし菊池の野★★★

4月18日(6名)

●小口泰與
陸前のいぶせき空の桜にて★★★
蔵王嶺を被く千本桜かな★★★★
千本の桜わなわな川堤★★★

●上島祥子
蒼天や桜若葉の目指す先★★★
オルガンに泣き声混じり入園児★★★★
ライラックスッキリ立って菜種梅雨★★★

●祝恵子
春寒し城外周のバスの中★★★
花筏散らし別けゆく濠の舟★★★★
濠をゆく花見舟。水面に散り敷く花びら散らし、花びらを別けて、頭上に垂れる満開の花に歓声をあげたりしながら、舟で楽しむ趣向もいいものだ。(高橋正子)

城壁の白さよ枝垂れ花の散る★★★

●古田敬二
ビル街の窓に揺れてる若葉風★★★
雨上る森の全てが若葉光★★★★
雨があがった森の中。若葉の光があふれて、眩しいくらいだ。森の外よりも明るい若葉の季節が快い。(高橋正子)

やわらかき風の音して蕊の降る★★★

●桑本栄太郎
<奈良公園を春日大社へ>
ミューミューと餌求め居り孕鹿★★★
参道の木洩れ日深き春落葉★★★
桜蘂降るを乗せ居り八一歌碑★★★★

●河野啓一
春雨の中に愉しきいとこ会★★★
若葉してとき移り行く人の世に★★★
やわらかに狭庭の朝日柿若葉★★★★

4月17日(3名)

●小口泰與
遠山の未だ白きや夕桜★★★★
百千鳥湖は白波立てており★★★
花吹雪夕日弱まる風の中★★★

●桑本栄太郎0
<奈良行き近鉄特急より>
芥子菜や田面きらめく水田べり★★★
夫に添い姉さ被りや畦青む★★★

森深き車窓もありぬつつじ燃ゆ★★★★
車窓に移り変わる景色は楽しいものだ。深い森の色から、目の覚めるようなつつじに変わると、快活な気持ちになる。深い緑も、明るいつつじも、いいものだ。(高橋正子)

●古田敬二
<岐阜にて兄弟姉妹会>
喜寿傘寿卆寿緩歩す春の街★★★
青春の想い出の町里桜★★★
春の陽を天地返しの土塊に★★★★

4月14日(2名)

●小口泰與
みちのくの一目千本桜かな★★★
手をそえて見よや名代の八重桜★★★
八重桜そっと手そえ眼間に★★★★

●佃 康水
早蕨の灰汁抜く水や翡翠色★★★
仰ぎ見てさみどり眩し銀杏の芽★★★★
銀杏の芽を高く仰ぐとさみどりの芽が太陽に透けて眩しい。それが銀杏の木の高さや晴れた日の空をよく表して、人の気持ちを明るくしてくれる。(高橋正子)

白無垢に出会う回廊風光る★★★

4月13日(4名)

●多田有花
大文字火床より見る春の京★★★
旅人に花散る哲学の道★★★★
哲学の道は疎水に沿って、銀閣寺の麓あたりから南禅寺まで歩ける。京都を訪れる旅人たちも、哲学者たちが散策したこの道を楽しむことができる。桜が散るころには桜の散る気分を思索させてくれる。(高橋正子)

花びらを浮かべる流れに沿いてゆく★★★

●小口泰與
たらの芽の毛鉤まといし風の中★★★
雉鳴くや毛の国の山彫り深し★★★★
蜆汁毎日飲むと言う人よ★★★

●桑本栄太郎
鴨川の堰水光り風ひかる★★★★
外つ人の舞子姿や春の京★★★
燕来る夕暮れどきや雨催い★★★

●高橋信之
裏山の菫すみれ色の濃し★★★
満開の花の喜び誕生仏★★★
花まつり花のトンネル抜け寺へ★★★★

4月12日(8名)

●内山富佐子
手を繋ぎ父と娘の花見かな★★★
夜桜や枝垂れしだれて水面へと★★★
スキップし先頭ゆく子花万朶★★★★
満開のさくらの中のいい風景だ。「スキップ」、「先頭」、「花万朶」と続く言葉の並びがいい。(高橋信之)

●小口泰與
いと遅し谷川岳の雪解かな★★★
木蓮に遅速のありし湖畔かな★★★★
花の雲煙り荒ぶる昼の火事★★★

●迫田和代
いっぱいに暖かい風受け散歩中★★★★
ベランダの隅に植えたい山椒苗★★★
糸のごと降るか降らぬか春の雨★★★

●河野啓一
長岡の筍飯とて娘の来る★★★★
ムスカリの頬ずりし合う淡き色★★★
曇天に小さき葉躍るや柿若葉★★★

●桑本栄太郎
鴨川の残花歩める川辺かな★★★
咲き分けの源平桃や京町家★★★
雨雲の峰の晴れれば花の雲★★★★

●小西 宏 
鶯の朗々と谷踏み易し★★★
木々に芽の伸びゆく空の瑞々し★★★
桜蕊降る日曜の親子連れ★★★★

●佃 康水
ゆさゆさと山路に溢る花馬酔木★★★
桜餅配る十指に香の残り★★★★
子供たちに、であろうか。大人たちに、であろうか。桜餅を配ったのである。指に残る「香の残り」は、塩漬けで香る「桜の葉」の香であり、「十指」がいい。作者の行為、そして作者の思いがありありと読者に伝わってくる。平易であって佳句。(高橋信之)

藤棚に蔓撥ね房の薄みどりし★★★

●多田有花
人の背の高さに咲けるつつじかな★★★
鳥の影動く満開の花の中★★★★
桜蘂降る日はいつも雨模様★★★

4月11日(4名)

●小口泰與
あけぼのの畷を駆ける雉子かな★★★★
榛名山(はるな)へといざよう雲や雪柳★★★
老いの身を勇み立たせし桜にて★★★

●桑本栄太郎
花屑の大学構内被いけり★★★
菜園の青きバケツや菜種梅雨★★★★
乙訓の風吹き花菜明かりかな★★★

●上島祥子
桜しべ段ボール積む花見後★★★
土手一面菜の花だけが残る夕★★★★
夕べの土手、菜の花の鮮やかな黄色が浮かぶように暮れ残っている情景。春の夕べの暖かさも加わり、柔らかな春たけなわの景色に和む。(高橋正子)

芝桜光集めて雨上がる★★★

●小西 宏
長雨の丘に蕊濃き桜影★★★
花楓葉にやわらかな池のひかり★★★
タンポポの揺れて過ぎゆく選挙カー★★★★
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