◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/12月1日-10日

2015-12-02 09:52:20 | Weblog

[12月10日]

★ベランダの鉢の葱摘む昼餉かな/桑本栄太郎
ベランダに葱など植えていると必要なときにすぐ摘んで使える。ささやかな昼餉にはそれで十分だ。ベランダ菜園の小さな楽しみでもある。(高橋正子)

[12月9日]

★笹鳴きの声も聞こえて漱石忌/河野啓一
漱石忌は12月9日。暮も次第にあわただしくなってくるが、そんなときに早くも笹鳴きが聞こえて、驚くとともになにか明るい気持ちになる。(高橋正子)

[12月8日]

★降るものの多さや冬の動物園/川名ますみ
動物園の冬は寒々として、動物たちの動きもにぶい。そんな動物園をめぐると、いかに「降るものが多い」かと気づく。「降るもの」には、様々の色や形の木々の葉があるだろう、雨が降っているのかもしれない。
(高橋正子)

[12月7日]

★街路樹の枝の短き冬木かな/桑本栄太郎
街路樹は、管理作業の都合があってか、はやばやと剪定されて枝が短くされる。短くされた枝はそこに力がたまっているようにも思える。こんな冬木の姿もある。(高橋正子)

[12月6日]

★白鳥のために湖開けており/小口泰與
静かに水を湛える湖は、白鳥の飛来を楽しみに待っている。間もなく湖は白鳥たちでにぎわうことであろう。楽しみにしているのは、湖だけではなく人も。(高橋正子)

[12月5日]

★神田まで銀杏黄葉に照らされつつ/川名ますみ
神田と言えば古書街。古書に似合うのは、銀杏黄葉が一番かもしれない。なんの用事か神田までの銀杏黄葉の道が明るい。(高橋正子)

[12月4日]

★しんと冷え空青くして師走かな/河野啓一
師走になれば、一年の締めくくりと、新年を迎える準備などで大方の人は心が落ち着かない。しかし、青空のしんと冷えた静けさに、俗世を離れた作者本来の心境があっていい。(高橋正子)

[12月3日]

★暖冬の丘まろやかや鳥の声/小口泰與
暖かければ、人の気持ちも穏やかに。眺める丘もまろやかに。そして鳥の声が耳をなごます。冬うららかな日の快い気持ちが詠まれている。(高橋正子)

[12月2日]

★猛然と鴎飛込む冬の川/満天星(谷口博望)
餌を見つけた鴎が、どんより曇った冬の川に猛然と飛び込む。その凄まじさは、鴎の野生の本能。それを目の当たりにした驚き。(高橋正子)

[12月1日]

★円陣の雄叫び短かラガー達/小口泰與
最近ラグビーも人気を盛り返してきている。試合が始まる前、円陣を組んで「雄叫び」に気合を入れる。ラガーマンらしく、雄叫びも「短い」。(高橋正子)
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12月1日~10日

2015-12-02 09:51:26 | Weblog

12月10日(4名)

●満天星(谷口望博)
暖冬やうつろう自然あとさきに★★★★
暖冬や錦木いまだ紅ならず★★★
暖冬や馬酔木の花が咲いてゐる★★★

●小口泰與
冬ばらの名残の花を壷に挿し★★★
空風の里は一色群雀★★★★
霜枯や靴先濡れる牧の径★★★

●桑本栄太郎
彼の遠き漢字の国の煙霧来る★★★
<部活の女子中学生の一団>
木枯やファイトフャイトのランニング★★★

ベランダの鉢の葱摘む昼餉かな★★★★
ベランダに葱など植えていると必要なときにすぐ摘んで使える。ささやかな昼餉にはそれで十分だ。ベランダ菜園の小さな楽しみでもある。(高橋正子)

●河野啓一
一樹燃ゆ朝日透かして冬紅葉★★★★
生駒山見れば冬空うす茜★★★
あかつきや金星巡る軌道へと★★★

12月9日(6名)

●谷口望博(満天星)
しなやかに歩くナースや冬病棟★★★★
寒き中ひそかに咲いて紅冬至★★★
ひつそりと絮となりたる石蕗の花★★★

●小口泰與
吟行の人も見かけし酉の市★★★★
のど飴の回って来たり冬の句座★★★
白波の寄せ来る沼や寒鴉★★★

●祝恵子
冬の畑姉さんかぶりの動きおり★★★★
盲導犬主人に添いて冬電車★★★
冬の路地日の当たりくる猫のくる★★★

●河野啓一
笹鳴きの声も聞こえて漱石忌★★★★
漱石忌は12月9日。暮も次第にあわただしくなってくるが、そんなときに早くも笹鳴きが聞こえて、驚くとともになにか明るい気持ちになる。(高橋正子)

ポインセチア店頭飾るあたたかさ★★★
あかつきの噴射成功冬の空★★★

●桑本栄太郎
錦木の枝に剣刃や冬紅葉★★★
電車来て鳩の飛び退く冬の駅★★★★
けり出され猫の背伸びや漱石忌★★★

●多田有花
大原の大きなおはぎ十二月★★★
山里をたどりて歩く冬紅葉★★★★
川床の名残や冬の貴船川★★★

11月8日(5名)

●小口泰與
息しろし流れ押し来る太郎川★★★★
初霜や今朝の赤城山(あかぎ)は深き彫★★★
落葉掃く手に雨粒の気配かな★★★

●多田有花
返り花に残る昨夜の雨雫★★★★
銀行を出る木枯しに背を押され★★★
師走の夜まだ明けぬうち家を出る★★★

●桑本栄太郎
青空に銀翼光り冬晴るる★★★★
もくれんの冬芽早くも毛羽立てる★★★
灯すかに一本冬の銀杏黄葉★★★

●満天星(谷口望博)
青空や冬バラ一つ寂しそう★★★
好物のロロン南瓜や冬至来る★★★★
鬼ユズはユズはユズでも特大よ★★★

●川名ますみ
冬の雨展示の亀の窓くもる★★★
降るものの多さや冬の動物園★★★★
動物園の冬は寒々として、動物たちの動きもにぶい。そんな動物園をめぐると、いかに「降るものが多い」かと気づく。「降るもの」には、様々の色や形の木々の葉があるだろう、雨が降っているのかもしれない。
(高橋正子)

動物園雨と木の葉の降るばかり★★★

11月7日(2名)

●小口泰與
芝打ちて枯木の一枝落下せり★★★★
着物地のドレスの女(ひと)や冬うらら★★★
アイパッド抱へ立ち読み空っ風★★★

●桑本栄太郎
街路樹の枝の短き冬木かな★★★★
街路樹は、管理作業の都合があってか、はやばやと剪定されて枝が短くされる。短くされた枝はそこに力がたまっているようにも思える。こんな冬木の姿もある。(高橋正子)

鴨川の水面飛来やゆりかもめ★★★
涸川となりてうねりの淀川へ★★★

11月6日(3名)

●満天星(谷口望博)
小春空百合の木の実は花のよう★★★
高台の仏人墓地で日向ぼこ★★★★
赤き実の蔓選り分ける小春かな★★★

●小口泰與
白鳥のために湖開けており★★★★
静かに水を湛える湖は、白鳥の飛来を楽しみに待っている。間もなく湖は白鳥たちでにぎわうことであろう。楽しみにしているのは、湖だけではなく人も。(高橋正子)

此処のみに日矢差す裾野枯木立★★★
熱燗や白波に交じる風の音★★★

●桑本栄太郎
東天のにぶき日差しやしぐれ空★★★
<陸上自衛隊桂駐屯地>
銀杏散る並木の囲む駐屯地★★★★
枯芝の丘のうねりの車窓かな★★★

12月5日(4名)

●小口泰與
冬ばらの開かんとして開かざる★★★
雨粒を振りまく冬の薔薇かな★★★
冬晴れの井戸汲む朝や鳶の笛★★★★

●満天星(谷口望博)
小春空百合の木の実が輝きて★★★
小春日や遙かに光る瀬戸の海★★★★
高台の仏人墓地は日向ぼこ★★★

●桑本栄太郎
整然と冬の木立や駐屯地★★★
乗り換えて女性車輌や朝の冷え★★★
淀川の鉄橋あまたや冬夕映え★★★★

●川名ますみ
神田まで銀杏黄葉に照らされつつ★★★★(正子添削)
神田と言えば古書街。古書に似合うのは、銀杏黄葉が一番かもしれない。なんの用事か神田までの銀杏黄葉の道が明るい。(高橋正子)

神田行く銀杏黄葉の照る路を★★★
記憶にはただ碧空と銀杏黄葉★★★

12月4日(5名)

●小口泰與
静電気忽と来たりて息白し★★★
暖冬やそよ風に乗る鳶の笛★★★
短夜のランプの宿や鹿の肉★★★★

●満天星(谷口博望)
飛び入のCOP21へ龍田姫★★★
暖冬や桜おちこち咲いており★★★★
暖冬や水仙既に咲いてをり★★★

●河野啓一
石蕗の花通路に傾ぎ一,二本★★★
しんと冷え空青くして師走かな★★★★
師走になれば、一年の締めくくりと、新年を迎える準備などで大方の人は心が落ち着かない。しかし、青空のしんと冷えた静けさに、俗世を離れた作者本来の心境があっていい。(高橋正子)

人の世も極まる心地師走くる★★★

●桑本栄太郎
涸川のうねりに沿いぬ流れ石★★★
芦屋なる煉瓦造りや冬紅葉★★★★
冬日さす松のあまたの芦屋かな★★★

●福田ひろし
時雨るや武蔵の塚と向かい合う★★★
寒椿ガラシャの廟に置かれけり★★★★
着ぶくれて城を見上ぐる異国びと★★★

12月3日(5名)

●満天星(谷口博望)
小春空フェニックスの実輝ける★★★★
冬咲きの柊南天立上がる★★★
沖縄の肩を持ちたし海桐の実★★★

●小口泰與
暖冬の丘まろやかや鳥の声★★★★
暖かければ、人の気持ちも穏やかに。眺める丘もまろやかに。そして鳥の声が耳をなごます。冬うららかな日の快い気持ちが詠まれている。(高橋正子)

冬紅葉序破急のまま風に飛ぶ★★★
蒸しパンは小春の味のしたりけり★★★

●多田有花
立ちこぎの青年木枯しに向かう★★★★
冬山に響くサックスの音色★★★
師走なれば洋酒入りのチョコレート★★★

●桑本栄太郎
わらわらと下枝に残る冬紅葉★★★
風止めばしばし眩しき冬日かな★★★★
冬天の夕日茜や飛機の雲★★★

●河野啓一
木枯らしや河内平野を吹き抜ける★★★
空晴れて病院を出る冬麗★★★★
クリスマス近く灯ともすデコレーション★★★

12月2日(3名)

●満天星(谷口博望)
裸木にかかる半月朝ぼらけ★★★
猛然と鴎飛込む冬の川★★★★
餌を見つけた鴎が、どんより曇った冬の川に猛然と飛び込む。その凄まじさは、鴎の野生の本能。それを目の当たりにした驚き。(高橋正子)

オリーブの実を食べてゐる鳩の群★★★

●小口泰與
枯尾花輝く雨の上りける★★★
夕映えの石仏あらわ冬田かな★★★★
雀らの庭に集いて冬ぬくし★★★

●桑本栄太郎
<故郷の日本海>
ふるさとの沖の白波松葉蟹★★★
海鳴りの返す石鳴り冬の海★★★
焚き木積み北窓塞ぐ海の音★★★★

12月1日(3名)

●小口泰與
雄叫びの円陣みじかラガー達
(添削)円陣の雄叫び短かラガー達★★★★
最近ラグビーも人気を盛り返してきている。試合が始まる前、円陣を組んで「雄叫び」に気合を入れる。ラガーマンらしく、雄叫びも「短い」。(高橋正子)

霜月や高嶺に光るひとつ星★★★
逆光をとらえ岸辺の枯尾花★★★

●河野啓一
大き柿咥え飛び去る冬鴉★★★
かいつぶり木の葉の影に顔を出し★★★
遍路道沿いに讃岐の刈田かな★★★★

●桑本栄太郎
顔見世の東西共演南座に★★★
格子戸に日射す祇園の小春かな★★★★
中洲なる荒野となりぬ枯尾花★★★
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