2月20日(5名)
小口泰與
山駅のホーム短し鳥交る★★★
大利根の荒き白波巣立鳥★★★
鶯や背の順に行く登校児★★★
廣田洋一
緑青の屋根に映えたり枝垂梅★★★
鳥居より放物線の枝垂梅★★★
枝先に一輪残る枝垂梅★★★
多田有花
コーヒーを挽く香溢れて余寒なお★★★
残り湯をリサイクルする春の朝★★★
春雨の音にしばし耳を澄ます★★★
桑本栄太郎
陽が差せば騒めき見ゆる銀杏の芽★★★★
白梅の己が明かりを誇りけり★★★
ものの芽の濡れて耀やく日差しかな★★★
Unknown(弓削和人?)
外に出ず雪の名残に雪の舞い★★★
凍て返る夜道はるかや買い出して★★★
紅梅のぽつりぽつりや園の池★★★
2月19日(5名)
弓削和人
始発駅春のわずかに目覚めたり★★★
通い路に子の弾む歩や春来る★★★
梅花を通う人みな麗しき★★★★
小口泰與
あけぼのの白き浅間や揚雲雀★★★
ワイシャツの1日の皴白き梅★★★
風の無き我が産土や百千鳥★★★
廣田洋一
風強く曇り空なる雨水かな★★★
鉢の土入れ替えたるや雨水の日★★★
花咲けと絵馬の飾られ梅の花★★★
桑本栄太郎
春雨のけぶりのやうに視界満つ★★★★
ベランダの鉢の濡れたる雨水かな★★★
枝先の濡れてしずくや木の芽雨★★★
多田有花
鞄より首出す犬や冴返る★★★
春雪や運ばれてゆく競走馬★★★★
湯を取りに戻る朝なり冴返る★★★
2月18日(5名)
小口泰與
まんさくや白き浅間に黒き筋★★★
春浅し利根の川波たつ仔細★★★
噴煙の西か南か春の風★★★
廣田洋一
シャンシャンに別れを告げて春寒し★★★
春の水こんこんと湧く神の池★★★★
桜の芽膨らみたれど色付かず★★★
多田有花
メレンゲをつんと尖らせ冴返る★★★
奥山の姿を隠し春の雪★★★★
車窓よりひとひら舞い込み春の雪★★★
桑本栄太郎
との曇る空に確かに木の芽かな★★★
遅き日や子共ら庭に遊び居り★★★
奔放と云われ子に継ぐかの子の忌★★★
2月17日(名)
小口泰與
きらきらと光る渓流放ち鮎★★★
「放ち鮎」がどうした(どのようだった)のですか。「きらきらと光る渓流鮎放つ」なら、「鮎を放った」ことがわかり、句が生き生きしてきます。「下五は体言止めが効果的」と言う説にとらわれてないでしょうか。(髙橋正子)
畦道やひたと鳴き止む夕蛙★★★
硝子戸へ雀どすんと山笑う★★★
多田有花
沖遥か霞のかかる淡路島★★★
梅が香に触れる位置まで接近す★★★
小さき緋鯉数多わき出て春の池★★★
桑本栄太郎
久方の友と出会いぬ春きざす★★★
山膚にしがみつき居り斑雪(はだれ)かな★★★
遠き日の想い出おもう春の雪★★★
廣田洋一
池の端首筋撫でる柳の芽★★★
青空に彩り添へて河津桜★★★
寄せ太鼓高くひびきて風光る★★★★
2月16日(5名)
小口泰與
この窓に朝日差しけり百千鳥★★★
春雷や九十九折なる山の径★★★
春風や野鳥手に来る森の路★★★
廣田洋一
軒下に野菜並べて春寒し★★★
駅中で大福売られ春寒し★★★
赤飯の横に売られし鶯餅★★★
多田有花
古墳ある春の山道を辿る★★★
風光る重なりあいて島の影★★★★
頂に寝転んで見る春の空★★★
桑本栄太郎
竹林の百幹揺るる余寒かな★★★
白きもの混り風吹く冴返る★★★
山膚にしろきもの見ゆ春の山★★★
弓削和人
講演を待ちて静まり桃の花★★★★
新幹線星の過ぎゆく余寒かな★★★★
春花の楚々と揺れたり蒸汽船★★★
2月15日(5名)
小口泰與
全容の火の山忽と霞みけり★★★★
端正の雛に座したる吾子の顔★★★
春雪や悉く木の花とせる★★★
弓削和人
朝海にわずかな春や照る山辺★★★★
春の海滞船わずか揺らぎけり★★★★
つづきたる足跡はるか春の海★★★
廣田洋一
飛沫上げ雪を投げ込む雪解川★★★
雪解水流れ早める街の中★★★★
どこまでも二匹並びて猫の恋★★★★
多田有花
高木の伐られ広々春の空★★★
切株に坐し梅林を眺めおり★★★
播磨灘望む梅林となれり★★★★
桑本栄太郎
淡雪の陽射しの中を舞いにけり★★★
降ればすぐ歩道吸い込む春の雪★★★
ふるさとを遠くに想う名残り雪★★★★
2月14日(3名)
小口泰與
庭隅の椿へ翔る野鳥かな★★★
風光る湖まんまんと水湛え★★★★
種の違う鳥の争う春の枝★★★
多田有花
藪つばきつやつやと葉を従えて★★★★
つやつやとした葉に藪つばきの花がくっきりと見える句。花をそれほど言っていないのに、花の印象が強い。(髙橋正子)
早春の日差し明るき森をゆく★★★
紅梅咲く花びらを陽に透かせつつ★★★
廣田洋一
看護師に貰ひしチーズケーキバレンタインデー★★★
バレンタインのチョコ菓子作る女の子★★★
春苺きらきら光放ちをり★★★
2月13日(4名)
小口泰與
揚雲雀聲騒がしや野犬居り★★★
いぬふぐり湖畔のボート綱とかれ★★★
山風を身に孕ませて蓬摘む★★★★
廣田洋一
縁側に並ぶ雛菊鮮やかに★★★
三色菫揃ひてこちら向きてをり★★★★
薔薇の芽や棘より小さくふふみたる★★★
多田有花
恋猫の長き夜あるいは短き夜★★★★
すべきこと最小限に二月早や★★★
咲き初めし紅梅の下とらつぐみ★★★
桑本栄太郎
ものの芽のしつとり青に春の雨★★★★
雨降れば午後より寒く冴え返る★★★
<2月12日近鉄小坂駅>
駅前に鉢植えならべ菜の花忌★★★
2月12日(4名)
小口泰與
喧騒と言うほかは無し猫の恋★★★
春風に大利根の瀞目覚めける★★★★
大沼の梢の小鳥風光る★★★
多田有花
春ぐもりペンキ塗りたての香る★★★★
コンバーターにインク吸い上げ春はじめ★★★
丘の家へ春の朝日の差しにけり★★★
廣田洋一
斜張橋白くそびえて風光る★★★★
列なして紫光る菫かな★★★
若草や駆け回りたる子らの声★★★
桑本栄太郎
山里の甍まぶしき春日かな★★★★
溝川の春の小川となりにけり★★★
足下の花びら震え犬ふぐり★★★
2月11日(4名)
小口泰與
春雪の静寂に忽と猫の声★★★
春雪の刹那背の順登校児★★★
春雪や雁字搦めの裏の門★★★★
廣田洋一
雪止みて空晴れ渡る建国の日★★★
駅前に国旗はためく紀元節★★★
畑横切る犬の足跡春浅し★★★
多田有花
雨上がり朝日まぶしき建国日★★★
早春にふんわりと焼くパンケーキ★★★
犬連れる人の遊べる春の午後★★★
桑本栄太郎
佇みて色めく余寒さくら芽木★★★
へんぽんと旗ひるがえる建国日★★★
さざ波のわらわら走り風光る★★★