12月20日(5名)
小口泰與
沼の面へ冬翡翠の鳴きながら★★★
霜の朝松の葉末の青青と★★★★
鳴きながら獲物狙う冬翡翠★★★
多田有花
冬の雲連ね輝き播磨灘★★★★
初雪の舞い散る中を下山する★★★
歩き終え仲間と和食の忘年会★★★
桑本栄太郎
大声の聖歌聞こゆる幼稚園★★★
山膚のチリチリ赤く寒波来る★★★
山陰の空はしぐれや石鼎忌★★★
廣田洋一
冬の霧晴れるを待ちて滑走路★★★★
聖樹の灯鐘の音につれ点滅す★★★
玄関のチャイム新たに年の暮★★★
弓削和人
冬木立みるみる空の澄みにけり★★★
片方の手袋ひらう始業かな★★★
枯葦のほかは満ちたり朝の湖
「・・ほかは満ちたり」が分かりにくいです。(髙橋正子)
12月19日(5名)
小口泰與
山住の裏戸に溜まる落葉かな★★★
ゆっくりと枯葉を掃くや婆と爺★★★
雨の中冬翡翠の捕食かな★★★
多田有花
寒風や池の面に漣絶え間なく★★★
万両赤し里山へ向かう道★★★
花梨の実冬空にひとつ残されて★★★
廣田洋一
障害児の描きしサンタやクリスマス★★★
アランセーター編み手の温み込められて★★★
富士の山見慣れしままに冬の山★★★★
桑本栄太郎
橡の芽のぬめり煌めく冬日かな★★★
冬ざれやガーガービーとM・R・I★★★
西空の冬の茜の入日かな★★★
弓削和人
石段の雪踏み降りて湖底澄み★★★★
「湖底澄み」の「湖底」の使い方、論理的に考えると飛躍がありますが、感覚的に捉えたとみれば、いいと思います。(髙橋正子)
薄き日を運ぶ風なり枯芒★★★★
つかのまの陽を抱きしめて日向ぼこ★★★
12月18日(4名)
小口泰與
洗いあぐ白菜ずしり重きかな★★★★
枯蘆を山風薙ぐや夕まぐれ★★★
薄紙を剥ぐや輝く冬いちご★★★
廣田洋一
崩落の跡を顕はに冬の山★★★
赤き色さっと褪めたり冬夕焼★★★
賀状書く喪中挨拶読み返し★★★
多田有花
神戸牛やわらかく焼け年惜しむ★★★
皮鯨入りの粕汁とろろ飯★★★
寒風にくろがねもちの実の赤し★★★
桑本栄太郎
せせらぎの寒風走る高瀬川★★★
顔見世の南座招き上がりけり★★★
雑踏の川端通り柳枯る★★★
12月17日(5名)
小口泰與
水鳥や泥鰌小魚集いおる★★★
雪山の高らかに宣り寄せ付けず★★★
山の端を素通りせしや冬夕日★★★
廣田洋一
鶏肉を少し加へて根深汁★★★
近在の土の匂ひの根深汁★★★★
地下広場湧き上がりたる聖歌かな★★★
多田有花
はふはふと揚げたて天ぷら年忘れ★★★
数の子のすっと出てくる師走かな★★★
クリームチーズ蕩けるごとし十二月★★★
桑本栄太郎
寒風の四条大橋身構える★★★★
しぐれ雲低く垂れこむ京の街★★★
陸橋の影の色濃く冬日かな★★★
弓削和人
枯芝のうっすら白し薄暮かな★★★
小千鳥の半歩さきより飛び散れり★★★
調度品ちりあくたもて年の末★★★
12月16日(4名)
小口泰與
見晴るかす雪の野末の樫巨木★★★★
冬の朝野路に舞い降る野鳥かな★★★★
我が花壇あさる小鳥と寒雀★★★
多田有花
電飾の師走の街へ繰り出しぬ★★★
極月の街を明るくイルミネーション★★★
家島の刺身味わう忘年会★★★
廣田洋一
地中海の鮪ぶつ切りアルジェリア★★★
きりきりと稜線際立つ冬の山★★★
あたたかき年の暮なり橋の上★★★★
桑本栄太郎
気まぐれと云うは天なり冬ぬくし★★★
いつしかに団地の庭の冬木かな★★★
冬菊の日当たりながら垣根ぎわ★★★★
12月15日(4名)
小口泰與
沼の朝冬翡翠の躍動す★★★
冬沼ののこんの鳥や空に鷹★★★
浅間のみ雪を被りし上州路★★★
多田有花
冬晴の城見つつ食べる料理かな★★★
盛り付けも器も楽しみ年忘れ★★★
年忘れ締めは限定スイーツで★★★
廣田洋一
寒空に駆け廻りたる園児達★★★
雨空に冬芽立ちたる楸邨墓★★★
中トロと赤身並べて鮪寿司★★★
桑本栄太郎
マルチ取り日差し明るき冬菜畑★★★★
彩となる落葉踏み行く散歩かな★★★
まんさくの萎む枯葉に日差しけり★★★
12月14日(5名)
小口泰與
雪だけを望む村営スキー場★★★
眼間に夕日輝く雪浅間★★★
上州は風の国原麦芽ぐむ★★★
廣田洋一
年用意床屋の予約取りにけり★★★
乾きたる畑を黒く冬の雨★★★
冬の雨二人で入る喫茶店★★★
桑本栄太郎
いつしかに冬木なりしか庭の木々★★★
日を惜しみ箱根卯木の帰り花★★★
あおぞらに銀杏冬木の凛と立つ★★★
多田有花
山茶花の備えしつぼみ続々と★★★★
涸川に流れるものは陽の光★★★
散り敷いて銀杏落葉の座敷かな★★★
弓削和人
にぎやかになりておでんの汁濃ゆし★★★
冬帽子加える音のヘッドフォン
「加える」は何をくわえるのでしょうか。(髙橋正子)
小春凪高き声飛ぶ人家かな ★★★
12月13日(4名)
小口泰與
冬鳥の雑魚目掛けて一直線★★★
沼の朝冬翡翠のホバリング★★★
浅間のみ雪に輝く朝かな★★★★
多田有花
年忘れ今日も明日も続きけり★★★
見上げるは青空のみか枯芒★★★
パンジーへ冬の陽まっすぐ差しにけり★★★
廣田洋一
ロボットの鐘の音鳴らす聖樹かな★★★
マンションの窓に点れる聖樹の灯★★★★
大トロの一つ入りし鮪寿司★★★
桑本栄太郎
生垣の白山茶花の咲き満てり★★★
谷あいのいまだ赤きや山眠る★★★
しぐれ雲途切れあおぞら現るる★★★
12月12日(5名)
小口泰與
次次に餌台に来る寒雀★★★
暮早しのうれん急ぎ出しにけり★★★
早朝の冬翡翠の嘴に魚★★★
多田有花
待降節わが待ち望むものは何★★★
葉は枯れて冬菊の花美しき★★★
冬の午後明るく咲きぬ金魚草★★★
廣田洋一
急造の現場事務所や隙間風★★★
海べりの木々に咲きたる波の花★★★★
煤払神社清めるAIも★★★
桑本栄太郎
<故郷鳥取の追憶より>
大山のいただき白く雪しぐれ★★★
大荒れの白浪はしる冬の海★★★
雪起しなるやもしれず夜の雷★★★
弓削和人
日の暮れしまぎわに農婦夕焚火★★★★
湯豆腐の昆布に中年箸をつけ★★★★
雪囲いまかいまかと構えけり★★★
12月11日(4句)
小口泰與
一合の酒と共寝や根深汁★★★
赤城より山風吹きし寒雀(原句)
「吹きし」は「寒雀」にかかるので、意味としてはどうでしょうか。(髙橋正子)
赤城より山風受けて寒雀(正子添削)
餌台に争う雀冬の暮★★★
廣田洋一
赤蕪や掘り出せしまま置かれをり★★★★
水の無き湧水池や冬ざるる★★★
枯れてなほ白き艶あり尾花かな★★★
多田有花
尾花枯れ枯れゆくほどに明るくて★★★★
冬の夜やホルンの音に耳を澄ます★★★
短日の午後の陽惜しみ歩きけり★★★
桑本栄太郎
忘れもの多くなりたる師走かな★★★
橙のたわわに枝の傾ぎけり★★★
寒風の田面抜け行く野を歩む★★★