7月20日(4名)
多田有花
白シャツや土用太郎の風はらむ★★★★
電線へ等間隔に夏つばめ★★★
ヘッドフォン越しに聞こえし蝉の声★★★
小口泰與
山道の石清水にて口濯ぐ★★★
夏桑や日の出と共に摘みにける★★★
この川の鮎をみざるや口惜しき★★★
廣田洋一
うなぎ屋のうの字のはねて土用かな★★★
熱きコーヒーゆっくりと飲む土用入★★★
自転車の補助輪取れて夕晩夏★★★
桑本栄太郎
茅舎忌の明の東雲うすあかね★★★
風あれど溽暑の午後となりにけり★★★
かなかなや赤く染まりし西の天★★★
7月19日(5名)
小口泰與
燕の子赤城の風に口を開け★★★
ばら咲くや黄色の葉っぱ風の中★★★
蝦蟇ふた声鳴いてそれっきり★★★
多田有花
涼しさや風通る部屋で書き物を★★★
夏鶯盛んに鳴ける日の出かな★★★★
土用入真昼の街路を救急車★★★
廣田洋一
鷺草のなおつつましく法の池★★★
土用の入り風心地良き法の庭★★★
山門を潜りて拭う玉の汗★★★
桑本栄太郎
暁闇にかなかな鳴きて目覚めけり★★★★
じわじわと日毎姦し蝉しぐれ★★★
夏草や廃墟の庭にいきおいて★★★
弓削和人
大西日犬にホースの水しぶき★★★★
夏のごみ朝一番の清掃車★★★
ブルーベリー青藍色に口を染め★★★
7月18日(3名)
小口泰與
八十年浅間を仰ぎ竹落葉★★★★
山風にくつがえりたる青葉かな★★★
くちなはに子ら集まりて囃しける★★★
多田有花
捨てるべきものを捨てたり梅雨晴間★★★
押し入れを吹き抜けてゆく夏の風★★★
熱中症アラート放送土用前★★★
桑本栄太郎
山鉾のごつとん揺るる辻回し★★★
さらさらとお歯黒蜻蛉苔上に★★★
黒蟻の直ぐ歩み居り雨上がり ★★★
7月17日(3名)
小口泰與
百本の薔薇に夕日のさしにけり★★★
三山の横たう里や麦の秋★★★
弓なりに草を弾ます川蜻蛉★★★★
多田有花
たっぷりのもぎたてトマトをいただきぬ★★★
汗ぬぐいつつすっきりと片付ける★★★
南北の窓吹き抜ける夏の風★★★
桑本栄太郎
バスの行く並木通りや青葉闇★★★
山鉾の巡行日和や雨上がる★★★
バス道の分離帯とや草茂る★★★
7月16日(3名)
多田有花
夏暖簾揺れる古民家ステーキ屋★★★
生ハムに千切りキャベツ添えらるる★★★
海の日の海は雨なりステーキ食ぶ★★★
弓削和人
てんとむし壁に並びて飛びいづる★★★
親つばめ開けたる嘴を探し分け★★★
蟻の道夏の匂いを辿りけり★★★
桑本栄太郎
緑蔭の窓辺に座して推敲す★★★★
古すだれ越しの戸外の青葉かな★★★
梅雨闇や窓より風の通りゆく★★★
7月15日(3名)
小口泰與
朝日差す合歓咲く木木を紅に染め★★★
朝日差し合歓咲く木木をあかあかと(正子添削例)
「紅に染め」を感じた「感覚」を大切して詠むと、読む人に共感してもらいやすくなります。(髙橋正子)
ぽこぽこと芝生に落し杏子かな★★★
翡翠のしかと授かる沼の魚★★★
多田有花
入れ替わり首を出しおり燕の子★★★
ほととぎす細かき雨の降る夜明け★★★★
梅雨深し耳になじみし雨の音★★★
桑本栄太郎
朝方の家事手伝いの溽暑かな★★★
じゅりじゅりと子燕鳴きぬ嬉しさに ★★★
宵山の四条通の小雨かな★★★★
7月14日(2名)
小口泰與
くちなしを見しよりしばし足止まり
「くちなし」は、「くちなわ」の間違いですか。(髙橋正子)
青空をくつかえりつつ夏燕★★★
あけぼのの沼を震わす蝦蟇の声★★★
桑本栄太郎
駅中のホームに祇園囃子かな★★★
梅雨荒れやはるか鞍馬の雲の中(原句)
一読して、「の」より「は」のほうが分かりやすのでは、と思います。(髙橋正子)
梅雨荒れやはるか鞍馬は雲の中(正子添削)
鴨川の濁る早瀬や梅雨深し★★★
7月13日(4名)
桑本栄太郎
街中を歩み行くほど蝉しぐれ★★★
塊りの撓り揺れ居りさるすべり★★★★
吾が足の丈に長きや半ズボン★★★
小口泰與
歳時記の夏のくだりや不如帰★★★
鮎釣りの懸命に行く上流へ★★★★
忽然と水輪を残す蝦蟇二匹★★★
多田有花
青鷺の静かに佇む夕の川★★★
「暑いですね」あいさつ交わし別れおり★★★
青あらし川面を白く波立たす★★★
廣田洋一
草を食む羊散らばる夏野かな★★★
草刈るや地肌の見ゆる野原かな★★★
夕焼けや野の中天赤く染め ★★★
7月12日(3名)
小口泰與
大空を映す大沼おおでまり★★★
利根川の径くさぐさや山女釣★★★
老翁のくさぎる畑や夏の鴨★★★
多田有花
七月の淀川河口を渡りおり★★★
坂上り青蔦豊かな病院へ★★★
ナイターに行く人数多阪神電車★★★★
桑本栄太郎
ベランダの手すりの滴梅雨荒るる★★★
初蝉の三日前のみそれつきり★★★
”えっちらこ”とみみずを運ぶ蟻の列★★★
7月11日(3名)
小口泰與
ギヤマンの桶に揺らゆら夏の夜★★★
ぎいぎいと湖畔の木木や夏の雲★★★
忽然と雨にみまわる夏の鳥★★★
多田有花
ため池を囲み揺れおり青田波★★★
海峡と大橋望み夾竹桃★★★★
大橋を抜ければ梅雨の大阪湾★★★
桑本栄太郎
驟雨来る音に目覚むや朝まだき★★★
子烏の居付きというは愛しけり(原句)
子烏の居付きというは愛しかり(正子添削)
「愛し」は形容詞です。また「けり」は連用形に接続します。
したがって「けり」を使うなら「愛しかりけり」となります。
※「愛し」は古文では、いわゆる「カリ活用」をします。現代語では「シク活用」です。以下の活用表をご覧ください。(髙橋正子)
活用形 | 語幹 | 活用語尾(ク) | 活用語尾(カリ) | 識別方法 |
未然形 | 寒 | く | から | ずを付ける |
連用形 | 寒 | く | かり | てを付ける |
終止形 | 寒 | し | ーーー | 。を付ける |
連体形 | 寒 | き | かる | 物を付ける |
已然形 | 寒 | ーーー | けれ | ばを付ける |
命令形 | 寒 | ーーー | かれ | !を付ける |
サングラス取れば優しきパパの顔★★★