◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

1月11日~20日

2021-01-15 13:42:01 | Weblog
1月20日(4名)

小口泰與
室咲や祝辞短き程良かれ★★★
冬桜奇岩巨石の妙義山★★★★
固まりし雀黒ぐろ枯桜★★★

廣田洋一
大寒や庭の草々揺れてをり★★★
大寒や空青々と澄みにけり★★★
新築の庭の植木や春隣★★★★

桑本栄太郎
山の端の宵のみずいろ寒雷忌★★★
大寒の天に伸び行く梢かな★★★★
大寒という寒さのなかで、天に伸びる梢が快い。寒さで縮こまりがちな人の背筋も伸びるようだ。(高橋正子)

早梅のうすきピンクや丘公園★★★

古田敬二
大寒や朝の光の色濃くて★★★
大寒の朝くっきりと御嶽山★★★
大寒や御嶽伊吹鈴鹿峰★★★★
大寒の厳しい寒さと対峙するように、御嶽、伊吹、鈴鹿峰の雄峰が聳えている。それらが見える位置に立つという力強さが素晴らしい。(高橋正子)

1月19日(4名)

小口泰與
大利根の古き旅籠や寒蜆★★★★
寒梅や沼に綾なす夕日影★★★
蝋梅や朝日いただく榛名富士★★★

廣田洋一
寒の雨細かき粒の吹かれをり★★★
鯉二匹浮かび来たれる寒の雨★★★
荒畑のしっとり濡れし寒の雨★★★★

多田有花
仕事する行く一月を追いかけて★★★
寒卵茹でてふたつに割りにけり★★★
マフラーのまま朝の車を運転す★★★

桑本栄太郎
吹きすさぶ風に狂いぬ飛雪かな★★★

さざ波に舫うようなり鴨の陣(原句)
さざ波に舫いておりぬ鴨の陣★★★★(正子添削)
鴨が陣を張っている。さざ波に揺れて、波まかせに一陣が揺れている。その一体感は、まるで舟が舫うようである。(高橋正子)

群がりて地を啄むみぬ寒すずめ★★★

1月18日(4名)

廣田洋一
公園の木々のびやかに日脚伸ぶ★★★
いつも通り終えたる散歩日脚伸ぶ★★★
平幕の勝ち進みたり日脚伸ぶ★★★★

小口泰與
日当りに犬眠りけり巴焼★★★
天と地の難事次次虎落笛★★★
湖へ径真直ぐや雪催★★★★
湖へ真っすぐ伸びている径。今にも雪が舞いそうな底冷えの径。径の真っすぐさが、印象に残る。(高橋正子)

桑本栄太郎
寒風の地道にありぬ靴の跡★★★
堰水の七段落つや蘆枯るる★★★
寒晴れやテニスコートの音弾む★★★

古田敬二
子供らの歓声公園の枯れケヤキ★★★
約束のふくらみこぶしの冬花芽★★★

鍬はじめ大根取りて帰りけり★★★★
鍬はじめは、大根を取って帰る。寒いときの大根はありがたいながら普段の野菜。普段の暮らしの中に、畑に旬の大根がある豊かさがいい。(高橋正子)

1月17日(4名)

小口泰與
白鳥の鋭声つづりて翔ちにけり★★★
また一人寒鮒釣に来たりけり★★★
白銀の雪の浅間へ朝日かな★★★

廣田洋一
冷酒を水と間違へ初笑★★★
久しぶり出会ひし人と初笑★★★
小吉の御神籤引きて初笑★★★★

桑本栄太郎
ともし火の「がんばろう」とや阪神忌★★★
散策の出鼻をくじく寒の雨★★★
雪雲の垂れ込め重く蓋いけり★★★

多田有花
寒の水で朝のコーヒーを入れる★★★
寒暁や阪神淡路震災忌★★★★
26年前の1月17日、のちに阪神淡路大震災と呼ばれる大地震が起こった。
そのとき、松山にいた私たちは、高速道路が曲がり、橋からトラックが落ちかかった映像や、刻々増える死者の数に驚いてテレビを見ていた。数日して被害者となっ若い女性の棺が帰った。私にして、そんなことが思い出される「寒暁」だ。(髙橋正子)

一月の仕事はポモドーロテクニック★★★

1月16日(5名)

古田敬二
メジロ来る自慢の胸を反らせて来る★★★★
飛騨川の瀬高変らず初山河★★★
綿虫と遊び一日早く閉じ★★★

廣田洋一
畝一つ取り残されて葱太し★★★
小さき庭並び立ちたる葱五本★★★
大根の首をさらせる日向畑★★★★

小口泰與
白鳥の水脈の綾なす夕日影★★★★
争うや脚を狙いて小白鳥★★★
白鳥へひと筋の日矢羽ばたけり★★★

桑本栄太郎
探梅の寺苑に来たる大原野(原句)
探梅の寺苑に来たり大原野★★★★(正子添削)
京都大原野には、桜や梅の名所といわれなくても、花のある寺もが多くあることだろう。探梅で歩くうちに寺苑に来た。梅だけでない、寺苑の良さにも魅了されたことだろう。(高橋正子)

せつかちは吾の家系や梅探る★★★
新月のとがりて在りぬ寒の暮れ★★★

多田有花
窓からの風に春の遠からじ★★★
音もなく降り始めたり寒の雨★★★
三日月へ寒中の花火あがりけり★★★★
寒中の花火。厳しくも澄み切った空気に、打ち上げられた花火が印象強く目に入る。三日月も鋭さを増して寒中の厳しさを見せている。寒中の花火の良さ。(高橋正子)

1月15日(3名)

小口泰與
あけぼのの赤城榛名の吹雪けり★★★★
赤城山、榛名山、どちらを見ても吹雪いている。あけぼの雄大な景色がいい。(高橋正子)

ひと筋の夕日の綺羅やかいつぶり★★★
濃紺の榛名九嶺寒紅梅★★★

廣田洋一
テレビ寄席名人芸に初笑★★★
整然と畝の並びし葱畑★★★★
引き売りの主より買ひし葱一把★★★

桑本栄太郎
連れもつて妻の出掛けや女正月★★★

どんど火の社に高く大原野★★★★
どんど焼き、地方では、多く、河原や田んぼなど広い場所で行われるが、この句では、紫式部が氏神と崇めた大原野神社のどんど焼きのようだ。境内が広くどんどの火も社に高く上がったのである。高く上がれば願いが叶うという話もある。「社に高く大原野」で終止したのがいい。(髙橋正子)

山際の黒きうねりや寒夕焼け★★★

1月14日(4名)

古田敬二
青空へクロガネモチの実の赤し★★★

竜の玉探して上る寺の坂★★★★
寺の坂は日差して暖かい。坂の縁には龍のひげが植えられているので、坂を上りながら、青く光る実、龍の玉を探しながら上った。子供のころの遊びに、龍の玉を麦藁の先を開いてのせ、息を吹いて躍らせるものがあった。遊び心がたのしい。(高橋正子)

コロナ禍や余白の多き新暦★★★

小口泰與
浅間越え赤城越え来る鴨の陣★★★
風花や木へかたまりし群雀★★★★
餌まくや真鴨大鷭翔けにける★★★

廣田洋一
夢に見し蛇のご利益竜の玉★★★
一茎に三輪開き水仙花★★★
浮氷日を返しつつ動きをり★★★★

桑本栄太郎
老犬と老婆連れ行く寒ゆるむ★★★
さざ波の寄するばかりや冬の池★★★
曲がり根の浮かび地割れや冬ざるる★★★

1月13日(4名)

廣田洋一
水仙や並びて門を向きてをり★★★
先っぽの少し色付く冬芽かな★★★

冬芽立つ桜の枝を愛しめり★★★★
俳人にとって、桜の楽しみは花の開花だけではない。冬芽が立つと喜び、芽が膨らみ、蕾が膨らみ、蕾の先に色を見ては喜ぶ。今は冬芽が立った桜の枝がなんとも愛しいのだ。(高橋正子)

小口泰與
見張りせる上枝の二羽の寒雀★★★
山風の秀づ上州麦芽ぐむ★★★
笹鳴や下校の子らの家遠し(原句)
笹鳴や下校の子らに家遠し★★★★(正子添削)

桑本栄太郎
クレーン車に乗りて作業や寒晴るる★★★
きらきらと光る梢や枯銀杏★★★
冬耕の畝の乾びて日差しけり★★★

多田有花
大霜やフロントガラスにぬるま湯を★★★
夕映えの白鷺城や日脚伸ぶ★★★
日脚伸ぶ幼子ジャンプを繰り返す★★★

1月12日(5名)

小口泰與
風つのる牡丹冬芽へ朝日かな(原句)
風つのり牡丹冬芽へ朝日かな★★★★(正子添削)

リズム打つ霰や森の丸太小屋★★★★
燃えさかる紅蓮の炎どんどかな★★★

廣田洋一
草の影光あふるる竜の玉★★★★
草の葉のしずく溜め込み竜の玉★★★
散歩道流れる川や竜の玉★★★

古田敬二
水痩せて見下ろす冬の飛騨の川★★★
落ち葉降る寺迄緩き坂上る★★★
枯葉坂いつも離れて妻が来る★★★★
枯葉の降り積もった坂道を妻と上っている。今日に限らずなのだが、妻はいつも少し離れて来る。妻には妻の見るところがあるのか、歩幅が違ってそうなるのか。付きすぎるわけでも、離れすぎるわけでもない距離。枯葉坂のこの距離感の淡さがいい。(高橋正子)

桑本栄太郎
登校の一列つづく雪の朝★★★★
朝からの雪がみぞれに枝の先★★★
雪雲の峡にとどまる日暮れかな★★★

多田有花
明け遅し雪しんしんと降る朝は★★★★
関西や日本海沿岸に大雪が降った朝なのか。雪はしんしんと降り、そんな朝は、明けるのが遅い。白とうすねず色の雪の朝が日本画のように美しい。(高橋正子)

瀬戸内の雪は優しきままに溶け★★★
ゆったりと流れるピアノ日脚伸ぶ★★★

1月11日(4名)

小口泰與
夕映えの沼を綾なす小白鳥★★★★
夕映えの沼に小白鳥が群れをなして浮かんでいる。小白鳥によって、夕映えの沼に綾が生まれる。その時を逃さず句にした。(高橋正子)

風垣やチワワ二匹の大鼾★★★
冬雲雀赤城のすそ野眼間に★★★

廣田洋一
乳母車赤児の声に初笑★★★
茜空狭まり行きぬ寒夕焼★★★
寒夕焼浅瀬の波をきらめかせ★★★

スカイプの孫とつなぎ居る鏡割★★★
山の端のうすき茜や寒夕焼け★★★
赤き実を食べ過ぎたのね雪うさぎ★★★
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自由な投句箱/1月1日~10日(2021年)

2021-01-03 13:46:08 | Weblog
※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

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今日の秀句/1月1日~10日(2021年)

2021-01-03 13:44:33 | Weblog
1月8日(1句)

★青空や風ごうごうと寒波急/多田有花
寒波が急に訪れ、今回は北陸や秋田は大雪となった。雪が来なくても、青空に風がごうごうと鳴る。急に来襲した寒波のすざましさ。(高橋正子)

1月7日(1句)

★山風を含む松取る夕べかな/小口泰與
門松や松飾を取る夕べ。7日に取るところもあれば、14日に取るところもある。松は、そこにあるままに、山風に吹かれているが、それを下す。松過ぎの一抹のさびしさが伝わる。(高橋正子)

1月6日(1句)

★干上がりし畔川の底笹子鳴く/小口泰與
畔川も干上がって、冬ざれの景色を目の当たりにするようになった。そんな冬ざれのなかにもチャッチャッと、笹子の鳴く声が聞こえる。鴬がそばにいるのは、嬉しい。(高橋正子)

1月5日(3句)

★大利根の流れ清かや福寿草/小口泰與
大利根川の流れに沿うところの自生する福寿草か。寒さに耐え、かたまって、日に向くように花を開く様子は、見る人をあたたかい思いにさせてくれる。(高橋正子)

★凧揚がり糸巻きを子に渡しけり/廣田洋一
凧をめったに上げない最近の子供たち。なかなかうまく風を捕まえられないので凧が揚がらない。代わって凧揚げに。凧があがったところで、凧の糸巻きを子に返してやる。子ども時代に帰ったような愉快なひとときと、人柄のやさしさ。(高橋正子)

★小寒の街を小径を自転車で/多田有花
いよいよ寒くなった街。自転車で、街を走る。小径をちょこちょこと走る。いろんな景色、いろんな人、いろんなものを見て、変わって楽しいもの。(高橋正子)

1月4日(1句)

★トラックの変哲も無き初荷かな/小口泰與
昨今の初荷は、特に飾り立てることもないが、新年初めて送り出し、また、受け入れる荷は、初荷に違いない。変哲もない初荷に、心のうちでは、しっかりと今年の幸先よいことを願っている。(高橋正子)

1月3日(1句)

★一斉に草木の息吹く初明り
初明かりが差すと、一斉に息吹く草木に、年の改まったことを思う。草木に息吹を感じたのは、新年のはつらつとした作者の精神そのもの。すがすがしい句。(高橋正子)

1月2日(1句)

★福寿草今年は子らの帰省せぬ/小口泰與
今年は新型コロナウィルスの感染拡大で、年末年始を静かに過ごすよう、政府や知事から要請されている。帰省を控えた人たちも多い。子や孫たちが正月に帰省しないのは、さびしいが、時が時だけに止むを得ない。そんな中この句の「福寿草」は、しずかな豊かさを象徴しているようで、心に沁みてくる。(高橋正子)

1月1日(2句)
★初御空富士の真白さ際立てり/廣田洋一
作者の住まうところからは、冠雪の富士が望める。初空に真っ白な富士の嶺を眺め、年の新しさにめでたくも、粛然とした気持ちになられたことだろう。(高橋正子)

★「紅白」を終えて峰より除夜の鐘/桑本栄太郎
NHKの「紅白歌合戦」は、大晦日の恒例番組となって久しい。「紅白」と省略して呼ばれたりしている。その「紅白」が終わると峰から除夜の鐘が聞こえて来る。京都嵯峨にお住いの作者ならではの、峰よりの除夜の鐘の響きに古都のゆかしさが忍ばれる。(高橋正子)
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1月1日~10日(2021年)

2021-01-03 13:13:57 | Weblog
1月9日(4名)

小口泰與
山風に声かすれたる達磨市★★★星
米撒くや我の先へと寒雀★★★
悪声を投げかく朝の寒鴉★★★

廣田洋一
書初の墨痕淋漓万葉歌★★★★
書初や希望を込めて収束と★★★
寒鯉の口を開けども波立たず★★★

桑本栄太郎
暁闇の早起き妻のなずな粥★★★
夕暮れの群青空や寒波来る★★★
ふるさとの夜は長きや雪の雷★★★★

多田有花
厳寒の朝厳かに明けてくる★★★★
風荒れて光明るし寒四郎★★★
寝る前の布団へ白金懐炉かな★★★

1月8日(3名)

小口泰與
白鳥の水脈の文様夕日影★★★★
ひと筋の没日の沼や小白鳥★★★
町医者の待合室の隙間風★★★

廣田洋一
輪飾りを次々取りて廻りけり★★★
動かざる寒鯉に日の差しにけり★★★
寒鯉に御神酒含ませ厄払い★★★

多田有花
青空や風ごうごうと寒波急★★★★
寒波が急に訪れ、今回は北陸や秋田は大雪となった。雪が来なくても、青空に風がごうごうと鳴る。急に来襲した寒波のすざましさ。(高橋正子)

雲なき夜明けベランダの蛇口凍て★★★
着膨れてやじろべえを真似てみる★★★

1月7日(3名)

小口泰與
達磨市赤城は風を放ちけり★★★
風も無き赤城榛名や薺打★★★
山風を含む松取る夕べかな★★★★
門松や松飾を取る夕べ。7日に取るところもあれば、14日に取るところもある。松は、そこにあるままに、山風に吹かれているが、それを下す。松過ぎの一抹のさびしさが伝わる。(高橋正子)

廣田洋一
宝船風運ぶ帆も装へり★★★★
たまたまに齧れる俳句嫁が君★★★
戯れに神棚に乗る嫁が君★★★

多田有花
昼は背に夜は布団に懐炉あり★★★
ほこほこと日差しの中に山眠る★★★★
顔の横冷たき耳がついている★★★

1月6日(3名)

小口泰與
冬鷺の田へ目を向け動かざる★★★
干上がりし畔川の底笹子鳴く★★★★
畔川も干上がって、冬ざれの景色を目の当たりにするようになった。そんな冬ざれのなかにもチャッチャッと、笹子の鳴く声が聞こえる。鴬がそばにいるのは、嬉しい。(高橋正子)

赤城晴風に包まる寒雀★★★

廣田洋一
水仙の揃ひて日差し浴びてをり★★★★
4日の投句の「水仙の揃ひて日を浴びてをり」の方が、字足らずですが、いいです。この句の字足らずは、課題としておいてください。

寒鯉の二匹寄り添ひ動かざる★★★
寒鯉の身を潜めたる岩の影★★★

多田有花
手袋外すタッチパネルに触れるため★★★
松の内午後から風の少し出る★★★★
寒晴れや川波きらきらと光る★★★

1月5日(3名)

小口泰與
夕影の沼へひと筋初写真★★★
大利根の流れ清かや福寿草★★★★
大利根川の流れに沿うところの自生する福寿草か。寒さに耐え、かたまって、日に向くように花を開く様子は、見る人をあたたかい思いにさせてくれる。(高橋正子)

裏白や妻とそろいの服装に★★★

廣田洋一
乾杯を省きし仕事始めかな★★★
凧揚げる風柔らかく子らの声★★★
凧揚がり糸巻きを子に渡しけり★★★★
凧をめったに上げない最近の子供たち。なかなかうまく風を捕まえられないので凧が揚がらない。代わって凧揚げに。凧があがったところで、凧の糸巻きを子に返してやる。子ども時代に帰ったような愉快なひとときと、人柄のやさしさ。(高橋正子)

多田有花
小寒や兵庫はかまぼこ発祥地★★★

小寒の街を小径自転車で(原句)
小寒の街を小径を自転車で★★★★
いよいよ寒くなった街。自転車で、街を走る。小径をちょこちょこと走る。いろんな景色、いろんな人、いろんなものを見て、変わって楽しいもの。(高橋正子)

通院も一年を超ゆ寒の入★★★

1月4日(3名)

小口泰與
乗初や山の社の静寂なる★★★
トラックの変哲も無き初荷かな★★★★
昨今の初荷は、特に飾り立てることもないが、新年初めて送り出し、また、受け入れる荷は、初荷に違いない。変哲もない初荷に、心のうちでは、しっかりと今年の幸先よいことを願っている。(高橋正子)

晴着着てお酌の妻のかいがいし★★★

廣田洋一
文机また散らばりぬ三が日★★★★
水仙の揃ひて日を浴びてをり★★★★
中七の字足らずが気になります。いい句だけに惜しいです。

水仙の蕾ふくらみ丈比べ★★★

多田有花
よく冷えて穏やかに過ぎ三が日(原句)
冷え込んで穏やかに過ぎ三が日★★★★(正子添削①)
三が日よく冷え穏やかに過ぎぬ(正子添削②)
「よく晴れて」の場合なら、すぐ天候のこととわかるのですが、「よく冷えて」で、天候以外のことがまず、浮かんできます。

日常へ人みな戻る四日かな★★★
新しき塵を吸い取り初掃除★★★

1月3日(3名)

小口泰與
輪飾りの揺れし床の間小犬かな★★★
静かなる夫婦と犬や鏡餅★★★
行きかわすプールの中の年賀かな★★★★

廣田洋一
一斉に草木の息吹く初明り★★★★
初明かりが差すと、一斉に息吹く草木に、年の改まったことを思う。草木に息吹を感じたのは、新年のはつらつとした作者の精神そのもの。すがすがしい句。(高橋正子)

福寿草盃のごと黄金色★★★
いつもより人出少なき初詣★★★

多田有花
帰省子と卓を囲める二日かな★★★
洗濯機回す三日の清々し★★★
初暦スマホアプリをクリックす★★★★

1月2日(3名)

小口泰與
福寿草今年は子らの帰省せぬ★★★★
今年は新型コロナウィルスの感染拡大で、年末年始を静かに過ごすよう、政府や知事から要請されている。帰省を控えた人たちも多い。子や孫たちが正月に帰省しないのは、さびしいが、時が時だけに止むを得ない。そんな中この句の「福寿草」は、しずかな豊かさを象徴しているようで、心に沁みてくる。(高橋正子)

日を受けし雪の浅間の淑気かな★★★★
日本酒も餡子も好きやお正月★★★

廣田洋一
月皓皓初日の前の一時を★★★★
数へ年八十路となりぬ初明り★★★
図らずも手を合わせたり初明り★★★★

多田有花
新年の挨拶すべてSNS★★★
穏やかに二日の光さしにけり★★★
パソコンで写真見ている二日かな★★★

※桑本栄太郎さんは、パソコンの不調で投句できないとのことです。Faxでのご投句をお勧めしています。(高橋正子)

1月1日(4名)

小口泰與
初浅間坂東太郎滔滔と★★★
赤赤と白き浅間へ朝日かな(原句)
赤々と雪の浅間へ朝日かな★★★★(正子添削)
青空へ長きすそ野や初景色★★★

廣田洋一
雑煮椀先ずは遺影に供へけり★★★
ひたすらに青く光れる初御空★★★
初御空富士の白さの際立てり(原句)
初御空富士の真白さ際立てり★★★★(正子添削)
作者の住まうところからは、冠雪の富士が望める。初空に真っ白な富士の嶺を眺め、年の新しさにめでたくも、粛然とした気持ちになられたことだろう。(高橋正子)

多田有花
元日の未明の空に月残り★★★
沈みゆく月に差したり初日影★★★
明けの空鳴きかわしつつ初鴉★★★★

桑本栄太郎
紅白の終えて峰より除夜の鐘(原句)
「紅白」を終えて峰より除夜の鐘★★★★(正子添削)
NHKの「紅白歌合戦」は、大晦日の恒例番組となって久しい。「紅白」と省略して呼ばれたりしている。その「紅白」が終わると峰から除夜の鐘が聞こえて来る。京都嵯峨にお住いの作者ならではの、峰よりの除夜の鐘の響きに古都のゆかしさが忍ばれる。(高橋正子)

一天の曇りのなきや年明くる★★★
あたらしき物を身につけ年迎ふ★★★
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