◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

12月11日~12月20日

2022-12-12 20:48:55 | Weblog
12月20日(4名)

小口泰與
花札の家族遊びや置炬燵★★★
冬波や一重二重と迫り来る★★★
日向ぼこ亀も甲羅を干しており★★★

多田有花
<たつの市・ヤッホの森三句>
流れゆく雲初雪を運びくる★★★★
散る木の葉日差しは森を包みけり★★★
積む落葉古墳の上の樹を育て★★★

廣田洋一
冬空のジェットコースター闇を抜け★★★
冬天に直立したる大けやき★★★
冬夕焼け富士の山頂尖りをり★★★★

桑本栄太郎
あおぞらの遠き天より風花す★★★★
風花は遠くの山などに降った雪が風で運ばれてくるもの。あおぞらの遠いところからちらちらと舞いくる雪片は美しい。「あおぞら」の平仮名表記は、一音一音にこめられた美しさも見える。(髙橋正子)

あざ嗤うように鴉の冬木かな★★★
ふぞろいの皿にケーキや石鼎忌★★★

12月19日(4名)

小口泰與
冬帽や沼の岸辺に鳥の声★★★
裏庭の枝折戸ぎいと冬籠★★★
外套や沼に浮きたる鳥の数★★★

廣田洋一
教会の入口飾るポインセチア★★★★
冬の川水平らかに流れけり★★★
配られし搗き餅丸め仏前に★★★

多田有花
<たつの市・ヤッホの森三句>
水涸るる隠し田跡に陽の燦燦★★★
枯葉積む石組炭焼窯の跡★★★
冬の海輝くなかに男鹿島★★★

桑本栄太郎
寒風のみずいろ空の彼方より★★★
枯葉舞う朝の静寂や病院へ★★★

診察の窓に山茶花見えて居り★★★★
診察室のガラス窓から山茶花が見えている。医療という場所に冬の花山茶花が見えて、なんとなくほっとするのではないか。(髙橋正子)

12月18日(4名)

小口泰與
寒雀こずえに居りし雨の音(原句)
「居りし」の「し」は、過去の助動詞「き」の連体形です。従って、「雨の音」を修飾します。「こずえに居た雨の音」の意となります。
寒雀こずえに居りぬ雨の音★★★★(正子添削)

冬帽や沼の岸辺の木木の揺れ★★★
群鳥の中に一羽の鴛鴦の居り★★★

廣田洋一
もちつきの音につられて子ら集ふ★★★★
「もち」は、不幸なときも搗かれるが、大方はは楽しそうな、お目出度い印象がある。もちつきの音を聞いて子どもたちは興味津々で集まって来る。大人にも「もちつき」はもちろん楽しいこと。「もちつき」の平仮名は、幼い子をイメージさせて、ほのぼのとする。(髙橋正子)

町内会こぞりて搗きし餅配る★★★
流れ来る木の葉の減りし冬の川★★★

多田有花
冬の雨暖かくして早く寝る★★★
 <たつの市・ヤッホの森二句>
落葉踏み明るき森へ歩みだす★★★★
亀岩を目指して歩く冬の森★★★

桑本栄太郎
木枯やみずいろ空の嶺の奥★★★
チリチリと山膚赤く寒波来る★★★
バス道の銀杏落葉を歩きけり★★★

12月17日(4名)

小口泰與
鴛鴦の羽をひろげし沼真中★★★
次つぎに潜りし鳰や沼の空★★★★
小柄な鳰がつぎつぎ潜ってゆく様子は面白い。何事なのだろうかと。水から浮かび出るところも思いがけないところ。そんな鳰の行動を見守るかのような沼の広い空。もの言わずして景色に語らせた句。(髙橋正子)

冬枯や我が産土は風の里★★★

廣田洋一
枇杷咲くや修理終えたる阿弥陀如来★★★
極月の血液検査改善す★★★
新しき友の笑顔やポインセチア★★★

多田有花
賀状書くこと辞め十年不便なし★★★
むき栗を入れればフレンチ薬喰★★★
雨の午後パネルヒーター設置する★★★

桑本栄太郎
金柑の色づく垣根ありにけり★★★
咲き満てば襤褸となりぬ山茶花よ★★★
枯萩となりて惜しむか残り花★★★

12月16日(5名)

小口泰與
枯蘆や瀬尻の音と風の音★★★
冬日向無口になりし老二人★★★
音のして風の落せる枯葉かな★★★

多田有花
歳末に成すべきひとつ歯科健診★★★
掛け替えて反故紙となりぬ古暦★★★
北風に青空明るき日なりけり★★★★
北風が吹くけれど、青空は底知れず明るい。瀬戸内の冬には、こんな日がある。(髙橋正子)

桑本栄太郎
いそいそと妻の化粧や年忘れ★★★
ふるさとの初雪報らすラインかな★★★
山茶花の蕾あまたや咲き乱る★★★

廣田洋一
冬紅葉日当たりの良き場所を占め★★★
冬の川中洲の石の光りをり★★★
餅つきは機械に任せ女所帯★★★

弓削和人箱
はるかなる秋田の空や荷を造り★★★
駅頭の待合室に雪の音★★★
「雪の音」は「雪の降る音」でしょうか。もう少しはっきりするといいです。(髙橋正子)
田沢湖や遥かにつづく瑠璃の玻璃★★★
「玻璃」は、どこにある玻璃でしょうか。(髙橋正子)

12月15日(3名)

小口泰與
目で追うや冬蝶はやも葉隠れへ★★★
魚釣りの股に火鉢や山上湖★★★
山風に揺られゆられる蜜柑園★★★

多田有花
みちのくは嵐なるかな青邨忌★★★
ヘッドライト点けて出勤朝時雨★★★★
出勤のために車のヘッドライトをつけると、朝の時雨が降りかかる。暗がりのなかのヘッドライトと朝時雨が、映像としてきれいに浮かび上がる。(髙橋正子)

白金懐炉布団に入れて眠りけり★★★

桑本栄太郎
年金の支給日今朝の寒波かな★★★
寒風の日当たり選び歩きけり★★★
背ナに日を背負い歩むや冬うらら★★★

12月14日(3名)

小口泰與
餌を追う三羽の鴨や波高し★★★
白鳥の群に日矢さす没日かな★★★
先頭の鴨の鋭声や青き空★★★★

多田有花
歳暮提げ母のホームを訪ねけり★★★
寒波来る予報のスマホアプリかな★★★
受診終え出れば夕闇日短か★★★

桑本栄太郎
「戦」とうことしの漢字寒波来る★★★
ふるさとの初雪報らすライン来る★★★★
今は手軽にラインで情報を交換できる。ふるさとの初雪の便りも、すぐ近くにいるかのように届いてくる。(髙橋正子)

青空の嶺の彼方にしぐれ降る★★★

12月13日(5名)

小口泰與
木守や暁の鴉の声高き★★★
焼芋や灰をたっぷり被りける★★★
夕暮の小雨の中や寒雀★★★

多田有花
山の影山に重なり十二月★★★★
一つの山に別の山の影が重なって、黒々として、押し詰まった十二月の感じが
出ている。(髙橋正子)
膝掛をして早朝のパソコンに★★★
冬ぬくし一枚脱いで豆を煮る★★★

廣田洋一
湯豆腐や食欲そそる音を立て★★★
山茶花の白が残れる垣根かな★★★
鯛焼きの袋を抱え塾帰り★★★

桑本栄太郎
雨上がり更に艶めく冬もみじ★★★
枯葉散り白き実晒す日差しかな★★★
八つ手咲くそり跡青き修行僧★★★

弓削和人
冬鳥の群れて並ぶや夕電線★★★
「夕電線」が気になります。

外套を掛けたるままに電車過ぐ(原句)
情景が分かりにくいです。
外套を掛けしが窓に電車過ぐ★★★★(正子添削)
(外套を掛けたのが窓に(見えて)/電車が過ぎる)
目の付け所が面白いと思います。(髙橋正子)

ももいろの夕空に染む冬の鳥★★★

12月12日(4名)

小口泰與
葱置いて寄らで立ち去る夕間暮れ★★★
おのずから酔余の校歌忘年会★★★
夕映えに紅まさりけり冬の薔薇★★★

廣田洋一
子供らの夢を見守る枇杷の花★★★
極月のトナカイ光るビルの壁★★★
短日やすぐに色醒め夕茜★★★

多田有花
夜に入り初凩の気配かな★★★
凩の音は今宵の子守歌★★★

凩のやんできりりと晴れし朝★★★★
夜の凩が塵を吹き飛ばしたかのような朝。寒気できりりと引き締まった朝は人の心身もきりりとして来る。(髙橋正子)

桑本栄太郎
浮かぶ瀬の何処にありや鳰かづく★★★
女子会の妻ばかりなる年わすれ★★★
山すその風の蔭なり返り花★★★

12月11日(5名)

小口泰與
白鳥の嘴に捕らわる鳥の首★★★
木の影の冬日に縮む寺の庭★★★
山風を遊ばす川やかいつぶり★★★

弓削和人
落葉摘み籠に入れしやまた戻し
「落葉摘み」とは?
ぬかるみの影に枯蓮影重ね★★★
寒菊の黄を挿したる備前焼★★★

桑本栄太郎
満天星の冬の紅葉や日に映えて★★★
玄関に聖樹の飾らる幼稚園★★★
ご無沙汰の出だしばかりや賀状書く★★★

廣田洋一
スーパーの入口広げ飾売★★★★
12月になるとスーパーはにわかに正月の物を売り始める。入口の目立つところに注連飾りや鏡餅など売り場を広げて商われる。年用意も楽しいことである。(髙橋正子)
襟巻きを真知子巻なる有楽町★★★
冬の鯉群れたるままに動かざる★★★

多田有花
<姫路城ライトアップ「鏡花水月」>
極月の光を纏う姫路城★★★★
反省と抱負を語り忘年会★★★
押入れを片付けることも年用意★★★
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自由な投句箱/12月1日~12月10日

2022-12-02 11:39:20 | Weblog
※当季雑詠3句(冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

コメント (51)
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今日の秀句/12月1日~12月10日

2022-12-02 11:38:03 | Weblog
12月10日(1句)

★八つ手咲く厨の外に水の音/桑本栄太郎
八つ手は日向の植物ながら、植えられているのは、厨の前など。厨から流している水の音が聞こえる。「水の音」に八つ手の白い花に通じる清潔感がある。(髙橋正子)

12月9日(2句)

★まんまるの冬日浅間へ沈みけり/小口泰與
浅間へ沈む夕日をただ「まんまる」と表現して、冬の夕日のたっぷりとした赤色が美しい。心を点すようだ。(髙橋正子)

★花器に差す水仙すくと立ちにけり/弓削和人
花器に水仙が差されているのをよく見かけるが、水仙の姿を大切にして、立ち姿が美しいように活けられている。「すくと立ちにけり」は素直な描写。(髙橋正子)


12月8日(1句)

★仏前に冬菊手向け開戦日/桑本栄太郎
12月8日が第二次世界大戦の開戦日だと、気づく人も少なくなったが、私が子供のころは、戦後まもなくだったので、戦死者のある家にいくと写真が飾られ、なまなましい悲しみがあった。仏前に静かに冬菊を手向けて霊を慰めたい開戦日である。(髙橋正子)

12月7日(1句)

★冬の雨暖色増える花売場/廣田洋一
冷たい冬の雨が降るなか、花売り場にはクリスマスや正月へ向けて明るい花が増えていく。なかでも赤やピンクの暖色系の花は心を華やがせてくれるのはうれしい。(髙橋正子)

12月6日(1句)

★冬晴を見渡すガラスの展望台/多田有花
ガラスの展望台がいい。冬晴れの景色を曇りなくそのままに、晴れやかにみせてくれる。そんな景色を見渡すと心も晴れ晴れする。(髙橋正子)

12月5日(1句)

★冬帽に風音かむる日暮れかな/弓削和人
日が暮れきて、寒そうに吹く風の音が帽子をかむっている頭を通り過ぎる。帽子の上からまた風の音をかむっているような感じだ。目のつけどころが面白い。(髙橋正子)

12月4日(1句)

★鳥の声障子を開けて確かめぬ/廣田洋一
静かな障子のうちにいると鳥の鳴き声が聞こえてくる。すぐ飛立つ鳥のこと、障子を開けて鳥の姿を確かめたくなる。鳥への親しみの心がいい。(髙橋正子)

12月3日
該当句無し

12月2日(1句)

★新しき友と吟行年の暮/廣田洋一
年の暮の押し詰まった時に、新しい句友ができて一緒に吟行できる幸福感がいい。新しい句友は、何もが新鮮で楽しいだろうし、読み手は先輩の余裕もあって、充実したものになられたことと思う。(髙橋正子)

12月1日(1句)

★水脈にみお重ね進みぬつがい鴨/桑本栄太郎
つがいの鴨が水脈を引いて泳いでいる。先をゆく一羽に、少し後をゆく一羽が水脈を引いて泳いでいる。自然、水脈が重なりあって、広がり、見て飽きぬ光景となっている。(髙橋正子)
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12月1日~12月10日

2022-12-02 11:18:57 | Weblog
12月10日(4名)

小口泰與
柊の香や遠き日の終電車★★★
侘助や重き枝折戸ぎーと鳴る★★★
忽然と鋭声の鴨や泳ぎゆく★★★

廣田洋一
子沢山の家主の庭や枇杷の花★★★
物掴む形のままに置き手袋★★★★
青空の色取り込みて冬の草★★★

多田有花
十二月のイルミネーション商店街★★★
<姫路城ライトアップ「鏡花水月」二句>
冬のひかり城とお堀を煌めかせ★★★
冬の夜の城を映せる水鏡★★★

桑本栄太郎
八つ手咲く厨の外に水の音★★★★
八つ手は日向の植物ながら、植えられているのは、厨の前など。厨から流している水の音が聞こえる。「水の音」に八つ手の白い花に通じる清潔感がある。(髙橋正子)

綿虫や想い出だすこと二つ三つ★★★
落葉踏み散策したる詩人かな★★★

12月9日(5名)

小口泰與
風呂吹や雨戸かたかた鳴りける★★★
まんまるの冬日浅間へ沈みけり★★★★
浅間へ沈む夕日をただ「まんまる」と表現して、冬の夕日のたっぷりとした赤色が美しい。心を点すようだ。(髙橋正子)

雲間より白き浅間へ冬落暉★★★

廣田洋一
買ひ替へしゴム手袋やトイレ掃除★★
園児らの通る垣根の片手袋★★★
川べりを青く染めたる葱畑★★★★

多田有花
忘年会締めは抹茶モンブラン★★★
北寄りの山に沈みぬ冬満月★★★★
歳末の挨拶交わし別れけり★★★

桑本栄太郎
露凝るや田道の草のきらめける★★★★
冬ぬくし辻看板の南茶屋★★★
我が名まだ猫のままとう漱石忌★★★

弓削和人
昼餐の騒つきおさめる水仙花★★★
水仙や花器より茎を伸ばしけり★★★
花器に差す水仙すくと立ちにけり★★★★
花器に水仙が差されているのをよく見かけるが、水仙の姿を大切にして、立ち姿が美しいように活けられている。「すくと立ちにけり」は素直な描写。(髙橋正子)

12月8日(5名)

小口泰與
山茶花や欄間の木目磨き上げ★★★
石蕗咲くや躙り口より和服の子★★★
茶の花や長き垣根の庄屋址★★★

廣田洋一
極月の血液検査癌マーカー★★★
飾売娘が一人加はりて★★★★
サッカーの試合の続く開戦日★★★

多田有花
CIDPスノーブーツを部屋で履く★★★
地に戦火絶えることなし開戦日★★★
綿あめを載せし和牛の雲海すき焼き★★★

桑本栄太郎
仏前に冬菊手向け開戦日★★★★
12月8日が第二次世界大戦の開戦日だと、気づく人も少なくなったが、私が子供のころは、戦後まもなくだったので、戦死者のある家にいくと写真が飾られ、なまなましい悲しみがあった。仏前に静かに冬菊を手向けて霊を慰めたい開戦日である。(髙橋正子)

綿虫の記憶のように浮き出でる★★★
あおぞらに残る紅葉や一二枚★★★

弓削和人
道しるべ右も左も散紅葉★★★
街灯の泳ぐ夜路や冬ざるる★★★
飛び石をかくす落葉の下り坂★★★

12月7日(5名)

小口泰與
抱えきし泥大根の三和土へと(原句)
抱えきし泥大根を三和土へと★★★(正子添削)

身を反らし二羽の白鳥着水す★★★
鷹舞うや奇岩巨石の妙義山★★★

廣田洋一
厨房の煙り流れる枇杷の花★★★
冬の雨暖色増える花売場★★★
冷たい冬の雨が降るなか、花売り場にはクリスマスや正月へ向けて明るい花が増えていく。なかでも赤やピンクの暖色系の花は心を華やがせてくれるのはうれしい。(髙橋正子)

華やぎてミルクは要らぬ冬苺★★★

多田有花
冬晴や三か月ぶりの受診なり★★★
受診終えればはや夕暮れに日短か★★★
冬雲へ高く伸びたるクレーンかな★★★

桑本栄太郎
大雪の今朝の散歩や花八手★★★
あおぞらに銀杏冬木の凛と立つ★★★
一二枚葉のしがみつく冬木かな★★★

弓削和人
暮れなずむ山路につづく冬の羊歯★★★
下校する生徒かたまり枯木立★★★
枯枝や街頭の灯のあたたかし★★★

12月6日(5名)

小口泰與
寒犬を連れてくるぶし二つ行く★★★
鴛鴦の一羽屯の鴨の中★★★
綿虫や田川越え行く夕間暮れ★★★★

廣田洋一
電飾の灯かり絡まる冬木立★★★★
葉の一つ風を待ちたる冬木かな★★★
六年生未来を見つめ紙を漉く★★★

多田有花
冬晴を見渡すガラスの展望台★★★★
ガラスの展望台がいい。冬晴れの景色を曇りなくそのままに、晴れやかにみせてくれる。そんな景色を見渡すと心も晴れ晴れする。(髙橋正子)
嘴広鴨弥生遺跡の池に来る★★★
落葉する朝日夕陽を受けながら★★★

桑本栄太郎
寒風のたちまち入りぬ自動ドア★★★★
寒風にビルの尖りぬ青き空★★★
ふしぶしの骨の痛みや寒波来る★★★

弓削和人
終電車寒気と共に待ちわびぬ★★★
暖房や降車忘るる靴の底★★★

濡れそぼつ土に軽しや朴落葉(原句)
濡れそぼつ土に軽がる朴落葉★★★★(正子添削)
「軽がる」としたことで、朴落葉に動きが出たと思いますが、どうでしょうか。(髙橋正子)

12月5日(5名)

小口泰與
夕暮の波の騒めく冬の利根★★★

冬紅葉/蒼天に見ゆ/白き山(原句)
いわゆる三段切れになって、意味がきれぎれです。三段切れを直すには添削のようにします。「見ゆ」は終止形。「見ゆる」は連体形で「白き山」にかかります。(髙橋正子)
冬紅葉/蒼天に見ゆる白き山★★★(正子添削)

山風に抗う蘆の枯葉かな★★★

廣田洋一
冬木立鳥の姿のくっきりと★★★★
オーバーの襟を立てたる夜の街★★★
襟巻をもっこり見せて女学生★★★

多田有花
遺跡復元銀杏落葉散るなかで★★★★
冬の沖なだらかにあり淡路島★★★
冬陽燦燦家並みと工場と★★★

桑本栄太郎
想い出を促すように雪ばんば★★★★
白き実の南京櫨や寒波来る★★★
自動ドア開いて忽ち寒波入る(原句)
自動ドア開いて忽ち寒気入る★★★(正子添削)

「寒波」は、「その地域の平均的な気温に比べて著しく低温な気塊が波のように押し寄せてくる現象のこと 」と説明されます。「寒波」と言いたい気持ちはわかりますが、「寒波(現象)が入る」には無理を感じます。(髙橋正子)

弓削和人
小雨降る襟巻き直す夜半かな(原句)
襟巻を直す夜半や小雨降る★★★(正子添削)

冬帽に風の音かむる日暮れかな(原句)
冬帽に風音かむる日暮れかな★★★★(正子添削)
日が暮れきて、寒そうに吹く風の音が帽子をかむっている頭を通り過ぎる。帽子の上からまた風の音をかむっているような感じだ。目のつけどころが面白い。(髙橋正子)

冬海の雲段段や波の花(原句)
「冬海の」の「の」の意味が分かりにくいです。(髙橋正子)
冬海に雲段段や波の花★★★★(正子添削)
(冬海に対して雲が段段であるという意味。)

12月4日(5名)

小口泰與
有明の風に騒めく枯野かな★★★
頂上の空蒼あおと冬の鳶★★★
群鴨の中に一羽の鴛鴦よ★★★

廣田洋一
冬の雨並木の枝の雫かな★★★

鳥の声障子を開けて確かめぬ★★★★
静かな障子のうちにいると鳥の鳴き声が聞こえてくる。すぐ飛立つ鳥のこと、障子を開けて鳥の姿を確かめたくなる。鳥への親しみの心がいい。(髙橋正子)

道草庵寄る人の無き漱石忌★★★

多田有花
花八手子を遊ばせる父と母★★★
皇帝ダリア小春日和に高し★★★
冬陽浴び遠くで光る播磨灘★★★

桑本栄太郎
踏みしだく落葉片へに散歩かな★★★
歩みゆく銀杏並木や枯木立★★★
冬夕焼け早やも暮れ行く午後の四時★★★

弓削和人
涸溪の巌幾重に積みにけり★★★
電柱の灯りあわしや空っ風★★★
日没にかわりて鐘の凍てにけり★★★

12月3日(5名)

小口泰與
山風や畑を耕す頬被り★★★
大利根の巌の狭間や冬の鳶★★★
浅間へと紅蓮の没日寒雀★★★

廣田洋一
花模様透かして浮かぶ障子かな★★★
冬の雨訃報の続くクラス会★★★
冬の雨人を吸ひ込む新酒場★★★

多田有花
茶室には人影は無し冬ぬくし★★★
冬はじめくるり旋回池の鯉★★★
見上げゆく冬の紅葉の濃淡を★★★

桑本栄太郎
みどり子の生誕待たる十二月★★★
日蔭行く今朝の散歩や息白し★★★
山茶花の一木白くあおぞらに★★★

弓削和人
焼芋屋引いて売りたる夕の苑★★★
冬浜の遠くの釣り人かすみたり★★★
岸壁に打ちて返すや冴ゆる波★★★

12月2日(5名)

小口泰與
冬鷺の岸辺に立ちて動かざる★★★
奥利根の尖りし波や冬の蝶★★★
大根を抜きたる畑の荒涼と★★★

廣田洋一
子の誕生街中祝ふ年の暮★★★
整理中の紙で指切り年の暮★★★
新しき友と吟行年の暮★★★★
年の暮の押し詰まった時に、新しい句友ができて一緒に吟行できる幸福感がいい。新しい句友は、何もが新鮮で楽しいだろうし、読み手は先輩の余裕もあって、充実したものになられたことと思う。(髙橋正子)

多田有花
紅葉散る廃線跡の遊歩道★★★★
やまざくらかえでけやきの冬紅葉★★★
鉄筋の五重塔や小春空★★★

桑本栄太郎
<団地の給水塔外壁工事>
あおぞらの高き足場や寒波来る★★★★
初雪の報せテレビに寒波来る★★★
寒風の下枝にすがり葉の一枚★★★

弓削和人
空に浮くついばまれたる冬の柿★★★
寄り合うて悴む手と手忘れおく★★★
枯原や誰も通らぬ道をゆく★★★
下五の「道をゆく」に工夫(道の様子を述べる、自分の気持ちを述べるなど)があればさらに良い句になり惜しいところです。(髙橋正子)

12月1日(5名)

小口泰與
空風やこのまま籠る事とせむ★★★
白鳥の鳥を咥えて離さざる★★★
これやこの切岸襲う霜柱★★★

多田有花
<播磨町・大中遺跡公園三句>
冬ぬくし楠の木陰に住居跡★★★
廃線の軽便鉄道小六月★★★
埴輪焼く人と歓談小春日に★★★

廣田洋一
白き紙高々掲げ冬の街★★★
紙切れの落葉に紛れ舞ひにけり★★★
思ひ出す子の生まれたる年の暮★★★

桑本栄太郎
嶺上の雲間あおぞら時雨れ来る★★★

水脈にみお重ね進みぬつがい鴨★★★★
つがいの鴨が水脈を引いて泳いでいる。先をゆく一羽に、少し後をゆく一羽が水脈を引いて泳いでいる。自然、水脈が重なりあって、広がり、見て飽きぬ光景となっている。(髙橋正子)

枝垂れても青空向きぬ冬木の芽★★★

弓削和人
庇より枯れたる蔓や雲幾重★★★
橋下をのぞく人あり枯真菰★★★
消灯の窓外ひっそり枯葎★★★
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