◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

12月11日~12月20日

2024-12-12 00:45:07 | Weblog
12月20日(5名)

小口泰與
指先に痛さ募りし冬の朝★★★
氷柱より落つる水滴池の端★★★
目裏に沼の氷柱を仕舞いけり★★★

多田有花
ここからはまた蘇り明日冬至★★★
雲晴れて初雪輝く北の峰★★★
疼痛に冬という字のありにけり★★★

桑本栄太郎
白き実の揺れるばかりの冬木かな★★★
大ぶりなポプラ落葉を踏み行けり★★★
宍道湖に水鳥来たる石鼎忌★★★

廣田洋一
湧水の音絶え間なく年迫る★★★★
地蔵堂慈悲の祈りを冬空に★★★
積もりたる銀杏落葉の光りおり★★★

弓削和人
岩ぶろに雪深深(しんしん)と隣客★★★
白樺の群落吹雪に抗しけり★★★
新雪の古雪に陸ぶ銀世界
「陸ぶ」はよく使いますか(髙橋正子)

12月19日(3名)

小口泰與
鳥も来て冬芽萌え出づ朝まだき★★★
園児らの髪の毛乱る虎落笛★★★
銀杏降る赤き鳥居の周りにも★★★

多田有花
風呂上がり皹の踵にクリームを★★★
パネルヒーターに膝入れて極楽に★★★
昼前の運動も兼ね日向ぼこ★★★

桑本栄太郎
寒風のあおぞら見上げ歩き行く★★★
冬菊の金網塀をこぼれ咲く★★★
満天星つつじの燃える如くや冬紅葉★★★


12月18日(4名)

小口泰與
赤城より誘いに来たる虎落笛★★★
鳥の来て冬芽つんつん朝まだき(原句)
朝まだき冬芽をつつく鳥の来て(正子添削)

蜜柑もぐ悪餓鬼どもの集う間に★★★

土橋みよ
用水路辿れぬ先の落ち葉かな(原句)
用水路先の辿れぬ落葉かな(正子添削)

冬ぬくし贈られし手に脳パズル(原句)
修飾語の「贈られし」は、「脳パズル」にかかるので、なるべき近く(すぐ前)に置くと意味がはっきりします。(髙橋正子)

冬ぬくし手に贈られし脳パズル(正子添削)

多田有花
霜の田のまだ陽を浴びず眠りおり★★★
大霜や車の列が橋渡る★★★
手袋をつけて打ちけるキーボード★★★

桑本栄太郎
踏みしだき路の片方に落葉かな(原句)
落葉から見れば、「踏みしだかれ」の受身形になります。「落葉が踏みしだく」わけではありませんから。(髙橋正子)
踏みしだかれ路の片方に落葉かな(正子添削)

冬日背に歩みつづける遊歩道★★★
柚子の黄の冬日占め居り庭の隅(原句)
「冬日占め居り」の意味がよくわからないのですが、添削すると以下のような意味ですか。(髙橋正子)
柚子の黄の日向占め居り庭の隅(正子添削)

12月17日(5名)

小口泰與
背中にも懐炉を貼れり旅の朝★★★
枝垂れ木にこぶの如きや寒雀★★★
羽ばたきし鴛鴦の雄見事なり★★★

多田有花
しみじみと師走も半ば訃報知る★★★
極月の月を見上げて夜の散歩★★★
白金懐炉布団に入れて眠りけり★★★

桑本栄太郎
裸木のなりて雄々しき銀杏かな(原句)
裸木なりて雄々しき銀杏かな(正子添削)

ひと風に吹き寄せらるる枯葉かな★★★
ゑのころの枯れて彷徨う風の向き★★★

廣田洋一
公園のラジオ体操息白し★★★
ビル谷間透き通りたり冬の月★★★★
逝きし人の面影浮かべ冬の月★★★

弓削和人
息白し眼鏡の玻璃の照るかな(原句)
息白し眼鏡の玻璃の照れるかな(正子添削)

冬駅の汽笛は線路を走りけり
「冬駅」は言葉として、普通に、馴染んでいないので、「冬の駅」とします。
冬の駅/汽笛は線路を走りけり(正子添削)

各停のまくら木昏き枯葎
「各停のまくら木」は飛躍しすぎです。状況をもう少し整理するといいと思います。(髙橋正子)

12月16日(4名)

小口泰與
背中にも懐炉を貼るや旅の朝★★★
枝垂れ木にこぶの如きや寒雀★★★
羽ばたきし鴛鴦の雄見事なり★★★

多田有花
朝快晴なれど寒気の雲の午後★★★
水仕事にお湯は使わず真冬にも★★★
短日の入日が窓を輝かす★★★★

桑本栄太郎
せせらぎの底に落葉や高瀬川★★★
南座にまねき上がりぬ酢茎買う★★★
渋滞の川端通りの冬木かな★★★

廣田洋一
何事か声かけながら木の葉散る★★★
吹かれきし木の葉も共に掃きにけり★★★★
回転寿司まず取りたるは鮪鮨★★★

12月15日(3名)

小口泰與
沼の面に夕日まだある冬の風★★★
夕暮れの髪膚に浴びし空っ風★★★

友と居て言葉飛び去る空っ風(原句)
空っ風友の言葉を奪い去る(正子添削)

廣田洋一
マンションの二階の窓や聖樹の灯★★★
てっぺんに金星光る大聖樹★★★
電飾のトナカイ走るクリスマス★★★

多田有花
捨てるべきものは捨て去り日短か★★★
口中に溶ける冷たきチョコレート★★★
スーパーに車びっしり年の暮★★★

12月14日(4名)

小口泰與
外套のまま召し上がれ中華そば(原句)
外套のままに立ち食う中華そば(正子添削例)
原句は、面白い視点で詠んでいると思います。「召し上がれ」が惜しいです。(髙橋正子)

冬翡翠の目もあやに岩の上★★★
赤城より強き打球や空っ風★★★

多田有花
賀状書くことの絶えたり幾年ぞ★★★
陽を浴びる落葉を踏みて歩く道★★★
聖樹立つひと年長くも短くも★★★

桑本栄太郎
木枯やみずいろ宙のどこまでも★★★
あおぞらに点すようなり木守柿★★★
寒波来る朝の夢見のつづきけり★★★

廣田洋一
マフラーを二重に巻きて外出す★★★
寿司折りの鮪一貫際立てり★★★
生垣の山茶花映える大手門★★★

12月13日(4名)

小口泰與
冬霧の湧き出で谷間桃源郷★★★
妻目ざとく冬翡翠を見つけたり★★★
群竹を縦横無尽に空っ風★★★★

多田有花
退任の人に花束忘年会★★★
冬晴れに窓開け放ち掃除する★★★
稜線の日ごとに透けて冬なかば★★★

廣田洋一
古釘を少し磨きて注連飾る★★★★
神棚の榊取替え注連飾る★★★
日めくりの暦売りたる古本屋 ★★★

桑本栄太郎
厨より水音聞こゆ花八つ手★★★
想い出の遠くなり居り冬かすみ★★★
敷き詰める銀杏落葉の芝生かな ★★★

12月12日(5名)

小口泰與
丘の沼雪にまみゆる事も無し★★★
あけぼのの枯葉ににじむ朝日かな★★★★
この朝の深山はかぶる雪帽子★★★

廣田洋一
バスを待つ人の行列息白し★★★
両隣クリスマスリース飾られし★★★
AIの鳴らす鐘の音クリスマス★★★

小口泰與
冬波の大化けに化く岩畳★★★
焚火せる老いの二人の夕間暮れ★★★
旋回の鳶の光れる沼の上★★★

多田有花
青空や間もなく裸木となれり★★★
十二月の枝に吊られしポットハンガー★★★
ジャングルジムの中より見上げ冬の空★★★★

桑本栄太郎
道の辺に踏みしだかるる落葉かな★★★
嶺の端の茫洋たりぬ冬かすみ★★★★
跳びながら飛び去りゆけり冬の鵯★★★

弓削和人
焼芋を持ちたる指の甘きかな★★★
山眠る湖底のウグイもこんこんと★★★★
水抜を怠るなかれ冬籠 ★★★

12月11日(4名)

小口泰與
夕日射す小枝に溢る寒雀★★★★
枯薄風に背筋をぴんとせり★★★
あけぼのの冬の小沼に鳥の声★★★

多田有花
教会の前庭にクリスマス飾り★★★
葉も少し赤さ加えて実南天★★★★
銀の馬車道赤さを増しぬ実南天★★★

廣田洋一
寒禽や時に河原に降り立ちぬ★★★★
友二人鮪づくしの昼餉かな★★★
香に惹かれ寄り道をする枇杷の花★★★

桑本栄太郎
溝川のこぼこぼ落つる冬田べり★★★★
黄明りの日蔭なればや石蕗の花★★★
冬うららゆるび流るる飛機の雲★★★


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自由な投句箱/12月1日~12月10日

2024-12-02 08:08:31 | Weblog
※当季雑詠3句(冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。 

       🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄
      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
  名前の右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
     名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句

12月10
★大根を包む新聞濡らしけり       堀 佐夜子(ほり さよこ)🌸
12月9
★生牡蠣の胸を落ちゆくさみしさ堪ふ   西垣 脩(にしがき しゅう)🍁
12月8日
★髪洗う耳に木枯し届きけり       多田 有花(ただ ゆか)🌸
12月7日
★鴨とほく泛(う)けり睫毛に風おぼゆ   西垣 脩 (にしがき しゅう)🍁
12月6日
★冬の水一枝の影も欺かず      中村 草田男(なかむら くさたお)
12月5日
★霜の墓抱き起こされしとき見たり  石田 波郷(いしだ はきょう)
12月4日
初雪を大きく受けて芭蕉佇つ     安丸 てつじ(やすまる てつじ)🌸
12月3日
大佛の冬日は山へ移りけり      星野 立子(ほしの たつこ)
12月2日
★大根を手に余らせてすりおろす   高橋 秀之(たかはし ひでゆき)🌸
12月1日
★水漬きつつ木賊(とくさ)は青し冬の雨  中村 汀女(なかむら ていじょ)
コメント (43)
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今日の秀句/12月1日~12月10日

2024-12-02 08:07:16 | Weblog
12月10日(1句)

★配達夫来て去りしずか雪の軒/弓削和人
雪の積もった日の生活の静けさが詠まれている。配達夫が来て、配達が済むと去っていく。当たり前のことが、暖かく思われる雪の日である。(髙橋正子)

12月9日(1句)

★集落と枯田の中を川流る/多田有花
人の住む、コミュニティのある集落と、収穫が終わり枯れ色を深めた田、その中を時が流れるかのように流れる川。この景色に、人々の営みの遥けさと寂しさを思う。(髙橋正子)

12月8日(1句)

★寒菊を風の中にて切りにける/小口泰與
冬のきびしい寒さのなかで咲く菊には凛としたたたずまいがある。寒風のなかで人の手により、あっけなく切り取られる。ただそれを言っただけの句。読後の思いはさまざまであろう。(髙橋正子)

12月7日(3句)

★師走の空へ薔薇色の薔薇咲きぬ/多田有花
薔薇の色と言えば、すぐ思い浮かぶ色を薔薇色という。年の終わりの師走の空と薔薇色の薔薇の詩情が日常にある喜び。(髙橋正子)

★年忘れ締めは真白き握飯/廣田洋一
年忘れにふさわしく、余計なもののない、「真白き握飯」によって、さっぱりと年が越せそうだ。(髙橋正子)

★水鏡して水仙の今朝の色/小口泰與
水に映った端正な水仙の姿。それがまた今朝は「今朝の色」となっている。(髙橋正子)

12月6日(1句)

★冬菊へ小さき虫の寄り止まる/多田有花
冬菊は寒さのなかに咲き続けている。生き生きとしている。小さい虫が寄り集まっている。本当に小さい光景だが、みんな生きているんだと言う思いがする。(髙橋正子)

12月5日(1句)

★木の葉髪たった一人の批評受け/弓削和人
たった一人からの批評は、貴重であるが、一人だけからと言う寂しさもある。その真偽が本当のところよくわからないと言う不安もある。そんな気持ちが「木の葉髪」と言う季語に重ねられている。(髙橋正子)

12月4日(1句)

★綿虫の想い出すかに浮かびけり/桑本栄太郎
「綿虫」は、アブラムシの仲間で5ミリほどの虫。綿にくるまれたようにふわふわと空中を浮遊し、物にあたるとくっ付く。晩秋や初冬の頃、また初雪のこと現れるので雪虫とも呼ばれている。
「想い出すかに浮かぶ」は綿虫の様子でもあり、作者の想い出の心象でもある。(髙橋正子)

12月3日(1句)

★裸木のさくら枝垂るる威厳かな/桑本栄太郎
花の季節は満開の花枝が枝垂れ優美であったろうに、裸木となっては、威厳のある姿を見せている。(髙橋正子)

12月2日
該当句無し

12月1日(1句)

★樫の木の稀に斜めや雪の郷/小口泰與
樫の木の姿をまず目に浮かべると、堂々とまっすぐに立っている。作者が目にしたのは、雪国の幹が斜めになった樫。きびしい雪国の風雪に幹が斜めになったのであろう。それを思いみている。(髙橋正子)

コメント (7)
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12月1日~12月10日

2024-12-02 08:04:50 | Weblog
12月10日(4名)

小口泰與
鴨の居て沼の静けさ日曜日★★★
水底へ日の射しにけり冬の沼★★★
手袋の人差し指に穴のあり★★★

廣田洋一
枇杷の花残れる虫を惹きよせて★★★★
蕩けさうな鮪の刺身酒を酌む★★★
朝な夕な木の葉掃きたる両隣★★★

多田有花
山降り来りなば傍らに万両★★★★
冬菊の咲く道をゆく女子高生★★★
誕生日祝うおでんを囲みつつ★★★

桑本栄太郎
ワクチンの七回目とや冬ざるる★★★
松山のことは想い出漱石忌★★★
冬うらら背ナに日差しの昼餉かな★★★

弓削和人
雪嶺のかなたの里に灯しあり★★★
配達夫来て去りしづか雪の軒★★★★
遅番の吾を待ちたる雪明り★★★★

12月9日(4名)

小口泰與
身づくろいしたる浅間や雪化粧★★★
水底に沈みし冬の山の峰★★★★
みずみずし庭の蜜柑をもぎ取りし★★★

桑本栄太郎
河に沿いさくら冬木の坂くだる★★★
うずくまる猫に日差しや漱石忌★★★
こつ然とつむじ巻きたる冬の風★★★

多田有花
陽を透かし冬の紅葉の輝けり★★★
集落と枯田の中を川流る★★★★
枯山の頂に坐し昼ごはん★★★

弓削和人
長靴や雪踏む一歩の弾む声★★★
母は娘の部屋をととのえ冬の草
母は娘の部屋をととのえ」と「冬の草」はどんな関係ですか。(髙橋正子)

雪まろげじっとせずいる秋田犬★★★

12月8日(3名)

小口泰與
水鳥や鯉の尾びれの揺れにける★★★
寒鮒の光る鱗や岩の間に★★★
寒菊を風の中にて切りにける★★★★

多田有花
快晴に残る紅葉を映す池★★★
キャンプ場にテントいくつも冬紅葉★★★
大雪や彩り残る道をゆく★★★

桑本栄太郎
青空にすでに冬木の銀杏かな★★★
補助輪のコキコキ行くや冬うらら★★★
山膚の未だ真つ赤ぞ冬の嶺★★★

12月7日(4名)

多田有花
師走の空へ薔薇色の薔薇咲きぬ★★★★
降誕祭待つや銀杏は黄金色★★★
手洗いに小さき聖樹飾られて★★★

廣田洋一
予報通り寒気覆いし東京ぞ★★★
年用意予定と予算立てにけり★★★
年忘れ締めは真白き握飯★★★★

小口泰與
上空を微塵の如き寒烏★★★
水鏡して水仙の今朝の色★★★★
見つけたる長きすそ野の冬赤城★★★

桑本栄太郎
見下ろせば眼下真つ赤ぞ冬紅葉★★★
大雪や風に転がるポプラの葉★★★
ひと風に舞いあがりたる木の葉かな★★★

12月6日(3名)

小口泰與
道の辺の沼へ枯葉の数多なる★★★
丸き輪を嘴よりはきし冬翡翠★★★
道の辺の枯木の株に躓けり★★★

多田有花
冬菊へ小さき虫の寄り止まる★★★★
花好きの家門前に冬の薔薇★★★
冬野菜取り入れている家庭菜園★★★

廣田洋一
土産物買い忘れたり暮の旅★★★
忘れたる友の名前や賀状書く★★★
彩りし木の葉浮かべて冬の川★★★

12月5日(5名)

小口泰與
あけぼのの汀を歩む冬白鷺(原句)
季節感をよりはっきり出すために、添削しました。季語を何にするかが大切です。(髙橋正子)
あけぼのの冬の汀を踏む白鷺(正子添削)

定刻に聞こゆ人声冬散歩
「冬散歩」を季語とするより、例えば「冬の朝」「霜の朝」などを季語とする方が良いと思います。(髙橋正子)
道すがら見し冬翡翠の魚捕るを★★★

多田有花
桜枯れ赤き烏瓜のみ残る★★★
日当たり良好冬菊咲く角の家★★★
生垣の淡紅山茶花咲き初めし★★★

廣田洋一
青空にぽつんと浮かぶ木守柿★★★
神木の大銀杏光る冬の空★★★★
積りたる落葉踏みしめ虚子谷倉★★★

桑本栄太郎
階(きざわし)の眼下真つ赤ぞ冬もみじ★★★
すじ雲の今朝のあおぞら寒波来る★★★
今朝みれば今日は冬木の銀杏かな★★★

弓削和人
木の葉髪たった一人の批評受け★★★★
短日の旅行カバンの重きかな★★★
浮寝鳥湖底に沈む急きごころ★★★

12月4日(5名)

小口泰與
鷹舞て山の小沼の静寂なる★★★
肌を刺す赤城颪や商店街★★★
冬帽の我座し見入る野鳥かな★★★

多田有花
冬うららみな来られたし瀬戸内に★★★
なだらかな播磨の山はまだ眠らず★★★
川波の光り流れる冬の午後★★★

廣田洋一
冬紅葉窓を掠めるケーブルカー(原句)
冬紅葉ケーブルカーの窓掠め(正子添削)
冬黄葉真っ盛りの大銀杏★★★
木の葉を透ける冬日や法の庭★★★

桑本栄太郎
パソコンの背ナ陽当たる冬ぬくし★★★
すすき穂のほどけ波打つ日差しかな★★★
綿虫の想い出すかに浮かびけり★★★★

弓削和人
都どり跳上橋(はねあげばし)の影に揺れ★★★
釣人の穂先は冬日を掠めたり(原句)
「釣人の穂先」の表現は飛躍しすぎです。(髙橋正子)
釣竿の穂先冬日を掠めたり(正子添削)

肩をすぼめ駅を行き過ぐ暖房車
「肩すぼめ駅を行き過ぐ」と「暖房車」との情景を丁寧に言う必要があります。(髙橋正子)

12月3日(3名)

小口泰與
ざあと言う鷹の羽音や沼野辺に★★★
見事なる冬翡翠の羽の色★★★
寒雀とんとんとんととたん屋根★★★

多田有花
ゆで栗を窓辺に食めば冬うらら★★★
瀬戸内の予報は冬晴の続く★★★
日当たればそこは明るし枯芒★★★★

桑本栄太郎
山膚のけぶり棚引く冬もみじ★★★
溝川の楽を歌うよ冬うらら★★★
裸木のさくら枝垂るる威厳かな★★★★

12月2日(4名)

小口泰與
沼沿いの枯れし薄や風の中★★★
ゆったりと水際歩む二羽の鴨★★★
夕凍みの畑より戻る老夫婦★★★

多田有花
つやつやと栗茹であがり十二月★★★
極月の空へがまずみの実の残る★★★
実南天日差し明るき庭にあり★★★

桑本栄太郎
山茱萸の赤き実垂るるあおぞらに★★★
かくしゃくとゲートボールや冬ぬくし★★★
夜の闇をびりりびりりと雪起こし★★★

廣田洋一
居座りて人を眺める冬の鹿★★★
滝の音忙しく流れ冬紅葉★★★
宇治平等院雅楽奏でる冬夜空★★★

12月1日(4名)
多田有花
色彩を野山に残し師走来る★★★
暖かき播磨は盛りの冬紅葉★★★
凩に干せるものみなよく乾く★★★

小口泰與
客人(まろうど)として裏の小池に冬の月★★★
樫の木の稀に斜めや雪の郷★★★★
冬ばらを見入る外つ国人たりし★★★

桑本栄太郎
藁におの冬の田面や大原野★★★
冬菊のよりどころなく傾ぎけり★★★
あおぞらと唖然となりぬ冬紅葉★★★

廣田洋一
冬紅葉芭蕉の句碑を仰ぎけり★★★
神木の煌めく光冬黄葉★★★
山茶花の花びら散りぬ法の庭★★★
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