鴨着く島

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都心の米軍基地

2021-06-18 10:38:13 | 専守防衛力を有する永世中立国
今朝のNHK番組で東京都心にある米軍の「赤坂プレスセンター」という名のヘリコプター基地を取り上げていた。

場所は港区赤坂で、千代田区の国会議事堂からわずか1.3キロメートルしか離れていない。

ここには戦前まで大日本帝国陸軍の聯隊施設があったそうで、敗戦後に占領軍(GHQ)によって接収され日米安保締結後に多くの米軍が引き揚げた後も、都心で唯一、米軍側に残された。

東京都にある米空軍基地では横田基地が質量ともに最大だが、そこに飛来した米軍関係者はもとより、3年前にはトランプ大統領も横田基地からこのヘリポートに降り立ち、すぐ近くのアメリカ大使館を訪れている。

地元港区はじめ東京都でも返還を求めているのだが、日米合同委員会では日米安保を盾にアメリカ側から拒否され続けている。

せめて騒音対策として日本国内の許容限度の高度300メートル以下での飛行はしないよう求めるのだが、こっちは「日米地位協定」によって突っぱねられている。

日米地位協定というのは現代版「治外法権」規定なのである。米軍の運用上、つまり、このような軍機の公的使用や軍人の公的行動については日本国内の法令を無視できる。例えば軍事運用(公務)中の事故なんかは日本の法令によっては裁けないことになっている。

日本国内には現在、米軍専用基地が53か所あり、その内、沖縄が23か所と最も多く、しかも専有面積は70パーセントを占めている。かつてほど米軍公務中の事故や事件は多くないが、それでも沖縄では一般市民への事件やヘリコプターが落ちたりする事故が絶えない。

いま鹿児島県種子島の西之表市馬毛島が、米軍の「艦載機離着陸訓練場」として整備に入る前の環境評価調査が行われており、基地化に賛成か反対かで町の世論が分断されている状況にある。ここで米軍に使用を許すと上掲の心配事に逢着するはずである。

いくら騒音対策をと言っても米軍は「日米地位協定」を盾に聞く耳を持たない。抗議をすればその直後は訓練回数を減らすなりして一応の配慮をする姿勢を見せるだろうが、結局のところは「馬耳東風」に落ち着く。状況は沖縄の現状と変わらなくなるだろう。

そもそも論で言えば、日米安全保障条約がある限り、こういった「沖縄化」は続く。「日米安全保障条約は片務的だ」と言ったのは前大統領のトランプで、「じゃあ、安保関連法案で自衛隊を出しますよ、少しは双務的になったでしょ」と受けたのが安倍前首相だった。

アメリカに忖度して米軍に肩入れすればするほど日本は世界で孤立して行くような気がしてならない。日本には日本独自のやり方で平和主義を貫くべきだ。

1945年7月26日に出された日本への降伏勧告文書「ポツダム宣言」の第7条と第12条にはこう書いてある。

(7)そのような新秩序(軍国主義の徹底的排除)が確立せらるまで、また日本における好戦勢力が壊滅したと明確に証明できるまで、連合国軍が指定する日本領土内の諸地点(連合軍基地)は、当初の基本的目的の達成を担保するため、連合軍がこれを占領するものとする。

(12)連合国占領軍は、その目的達成後、そして日本人民の自由なる意志に従って、平和的傾向を帯びかつ責任ある政府が樹立されるにおいては、直ちに日本より撤退するものとする。

この2か条からすると、日米安全保障条約による米軍基地の存在は「ポツダム宣言違反」としか言いようがない。

戦後は他国との交戦のための軍備は持たず、そのため一度も他国において戦火を交えず、平和主義に徹し、選挙も民主的に行われて来たのが日本である。これは世界でも極めて高い評価を得ている点である。(※アメリカの選挙は民主主義というより、金主主義だ。)

米軍を撤退させるためには、日米安全保障条約を継続しない旨をアメリカに伝えれば1年以内に撤収が始まる。そうすれば米軍基地の存在による地域の人々の「分断」は避けられる。

その上で、専守防衛に徹した自衛隊を維持すればよい。私は「本土防衛のためだけの軍備管理」を憲法第9条は否定していないと解釈している。

ただ、順序として天皇陛下による「永世中立宣言」が先に来ればベストだろう。天皇はまさに「日本国の象徴」として世界から尊敬されておられ、その宣言は多くの国から賛同を得るに違いない。当事者の一方であるアメリカ国民でさえ歓迎するだろう。