石川県の奥能登地方を線状降水帯が襲った。
先週の土曜日(21日)の朝、NHKテレビを見ていると画面の左側に能登地方の大雨警報が掲示された。
線状降水帯の発生を予兆するものだった。
雨の降り方は想像を絶するものだったらしい。
不幸にもその日の午前中に家が流され行方不明になった女子中学生と両親の間で交わされたスマホのラインが、事の重大さを伝えていた。
公表されたラインのやり取りと両親の話によると、その日は父親が息子の試合に早朝に家を出ており、また母親も娘の付き添いでやはり早い時間に家を出ていたそうで、結局5人家族のうち末の娘だけが家に残っていた。
ところが9時くらいになって警報が発令され、心配になった両親は家にライン電話を入れた。
土曜が休みなので女の子はまだ二階の寝室に横になっていたらしく、電話に促され、また雨音の強さもあって外を見ると家の外が海のようになっているのに気付いた。
やがて二階の寝室のドアか一階の玄関のドアかは分からないが、「ドアが開かない」とラインで送って来た。
慌てた両親はとにかく高いところに上がるように言ったらしいが、1時間後にはラインへの返事がなくなったらしい。
父親は何としても家までたどり着かなければと回り道をしてやっと帰宅できたのだが、着いて見ると家は土台の部分だけを残して跡形もなく流されていた。
末娘の姿はもうそこにはなかった。
3日後の昨日、普段はいていた娘の靴の片方だけは見つかったそうだが、いまだに本人の姿は確認できていない。
その日の早朝の時点では両親が他の子どもたちのイベントに付き添って出かけることができる天候だった。
しかしわずか2時間後には家の周辺に水が押し寄せ始めるほどの豪雨となり、さらにまた1時間後には家そのものが持っていかれるほどの洪水が発生したことになる。
この日はまた大相撲で石川県出身の大の里が大関豊昇龍を破り、13勝1敗となって優勝を決めた日であった(これでほぼ大関昇進が決まった。入幕後5場所での大関昇進は史上最速とか)。
同じ石川県なので何か因縁めいた感じがしないでもないが、優勝インタビューで「大地震に見舞われた能登の人たちを元気づけられたらうれしい」ということを語ったのだが、さらなる大水害に遭ってしまった人たちには空しく聞こえただろう。
元旦の大地震といい、今度の大水害といい、1年のうちに2度も大きな災害に遭わなければならなかった能登の人たちの心が折れないと良いが、何としても頑張ってほしいと思う。
(※25日付、奥能登大水害による死者は9名、行方不明は2名。家屋等への被害はまだ集計されていない。)