昨日の4時少し前、自民党の総裁選で石破茂氏の当選が決まった。
決選投票で高市早苗氏と争い、第1回投票では30票近くの差を付けられていたのだが、決選投票では逆転し、逆に21票の差を付けて勝利した。
これまでの総裁選では石破氏の獲得する国会議員票は少なく、全国の党員・党友票ではリードしていても常に決選投票さえも行けなかったのだが、今回は議員票が驚くほど上積みされて勝利につながった。
第1回投票では石破氏、高市氏、小泉氏が並んだが、議員票はともかく全国の党員・党友票で伸び悩んだ。まだ43歳と若かったので、今回は見送る自民党員が多かったのだろう。
石破氏は鳥取県の出身で、鳥取県出身としては初めての自民党総裁であり、10月1日に開催される国会での首相指名選挙で選ばれるのは確実なので、同県出身の総理大臣も初ということになる。
鳥取県は都道府県の中で最少の55万ほどの人口しかなく、二十世紀ナシと鳥取砂丘では全国的に有名だが、この石破氏の首相就任でもう一つ全国区が誕生する。
今回立候補したのは9人で、それぞれ出身県も経歴も違うが、出身した大学を一覧すると興味深い、というか、あっと驚く。
何と9人のうち6人までが最終学歴はアメリカの大学なのだ。
石破氏と今回決選投票に臨んだ高市氏はそれぞれ慶応大学、神戸大学の出身で、あと一人官房長官だった加藤勝信氏が東大で国内の大学だが、残りの6人はハーバード大学が小林・上川・茂木・林氏の4人、小泉氏はコロンビア大学、そして河野氏はジョージタウン大学である。
議員個人としてはどの大学を出ようが自由なのでコメントをしてもあまり意味がないのだが、日本の総理を目指す人物が揃いも揃ってアメリカの大学を最終学歴としているのは異様としか言いようがない。
日本を統治する最高責任者がアメリカの大学を出ているということは、言いたくないがアメリカの政治・政策を日本で実現する、あるいは日本に植え付ける狙いがあるのではないかと疑ってしまう。
スタンフォード大学フーバー研究所の教授を長年務めていた西鋭夫氏は、かの大学を卒業する際にCIAのスタッフになり、日本に帰国してからスパイ活動に従事しないかとスカウトされそうになったと告白している。
総裁選の立候補者でこうもアメリカ帰りが多いと、そんな危惧を懐いてしまうのだ。
たしかにアメリカの大学で学べば英語は自由に操れるようになり、国際社会のの中の日本という見地からすれば、それはそれで有益だろうが、アメリカの政治政策の下請マンになっては困る。
それでなくてもすでに日本の外交と軍事(安全保障)はアメリカの傘のもとにある。
これに対して石破氏は「東アジア版NATO」を提唱している。
このNATOは東アジアのどの範囲を指し、主要国はどの国なのか明らかではないが、少なくとも日米安保のような国連憲章違反の「二国間条約」でないことは確かだろう。
昨今「同志国による連帯」がクローズアップされてきているが、こちらの路線のほうが石破氏の提唱する東アジア版NATOに近いのではないか。
アメリカと中国が敵対関係になりつつある時、このまま(日米安保条約)では日本が米中紛争の矢面てに立たされるのは目に見えている。
それ(経済交易)はそれ(経済交易)、これ(政治)はこれ(政治)として、もう40年もつながって来た日中間関係を即座に立ち切るわけにはいかない。
日本の立ち位置は、米中双方の独自性・歴史性を認識した上でソフトランディングを提示することに尽きる。
アメリカの大学を最終学歴とした今回の総裁選候補者たちを、その方向に徹底的に活用してほしいものだ。