鴨着く島

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サツマイモの収穫2021

2021-09-25 19:33:03 | おおすみの風景
今朝の8時過ぎだった。

トラクターが動く大きな音が響いたあと、何人かの話声が聞こえた。

居間から庭を見ても人の姿は見えなかったので、外に出てみた。

我が家の南隣りの畑で、サツマイモの収穫が始まったのだ。


この畑は鹿屋では比較的大きな農産物生産会社の畑だ。本業はハウスで小ネギを生産しているのだが、近隣の使われていない畑をどんどん借りたり購入したりして生産面積を増やしている。

個人農家では主人と奥方の二人で収穫するのが基本だが、ここでは4人の男性が収穫に従事している。

手前の掘り取り機(ハーベスター)の後ろには、いま掘り上げたばかりの丸っこいサツマイモがゴロゴロと入っている。

この畑では無いようだが、2018年に沖縄を皮切りに始まったサツマイモの「基腐れ(もとぐされ)病」は2年前には鹿児島に上陸し、去年の収量にかなりのダメージを与えた。今年はさらに広がり、まだ最終的なデータは出ていないが、3割くらいの収量減に見舞われるらしい。

この「基腐れ病」の犯人は「糸状菌」つまりカビで、畑の土の中に増殖しているらしい。

また、そのカビに侵されたサツマイモを種芋として苗を増やして、その苗に糸状菌が「感染」していると、土壌に糸状菌を殖やすことになってしまうというから厄介だ。

このような時に対策として考えられるのが「土壌消毒」であるが、その手間や消毒代は農家を圧迫し、今までは高齢農家の定番作物として存在感のあったサツマイモの生産だったが、「もう年だし、これを機会に農業はやめよう」という農家が増えることが危惧される。

台風に強い作物として南九州ではサツマイモ生産が盛んだが、ここ10年ほどで新しい「紅ハヤト」などの人気品種が出現して人気に火が着いてきた矢先のこの「感染症」である。

新型コロナパンデミックに並行したかのような糸状菌感染症の「基腐れ病」だが、今や西日本から埼玉県のサツマイモ生産地である川越市にまで広がっているという。

新型コロナに感染し重症化するのは免疫力の低い「基礎疾患のある高齢者」だそうだから、基腐れ病に感染する土壌は「基礎疾患」があり、「疲労している土壌」なのだろう。

したがって、土壌の基礎疾患を直し、若返らせればいいということになる。

この対策に最も有効なのは、徳島県のサツマイモ農家で取り入れられている「海砂の客土」ではないだろうか。もちろん海砂から塩分は取り除いてある。

南九州で言うなら、海砂もだが分厚く積もった「シラス土壌」がもってこいだろう。昔から「サツマイモはシラスのような水はけのよい土壌で育ててきた」と言われている。他の作物には適さない厄介なシラスだが、サツマイモには適していたのである。

排水条件の良い圃場(畑)で、時々はまっさらな(無菌の)シラスを客土するという対策が求められていると思われる。

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