鴨着く島

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「中国的民主」

2021-12-04 19:34:00 | 専守防衛力を有する永世中立国
中国共産党指導部が「論文」を発表したと夕方のNHKニュースで報じられていた。

その名は「中国的民主」だそうだ。

中国は専制主義だと批判されているのに対して、真っ向から反論した文書で、簡単に言えば、アメリカにはアメリカの民主主義、日本には日本の民主主義、世界のそれぞれの国にはその発展段階に応じた民主主義がある、というものだ。

これはバイデン政権が発足して間もなくの3月に、ブリンケン国務長官と中国の楊潔篪(ヨウケッチ)共産党政治局員がアラスカで外交トップ会談を開催した時に、すでに中国側から強く指摘されていたことだ。

ブリンケンはバイデン大統領の懸念である香港問題及び新疆ウイグル人問題を取り上げ、中国側に対応を迫った。

一方、楊潔篪(ヨウケッチ)は例のごとく「内政干渉はするな」とにべもない。

そもそも外交のトップの最初の儀礼的な話し合いが、真冬に近いそれでなくても寒いアラスカのアンカレッジで催されたことに、中国側は「こんなところに呼び出されてけしからん」という思いであったようだ。

中国は他にもチベット問題やカシミール問題を抱えており、メキシコとの国境問題を抱えるだけのアメリカからすれば、たしかに問題が多い。

それは多くの国と地域と国境を接している中国からすれば、ある意味では想定内の問題なのだろう。他国がつべこべ言うなという気持ちは分からないでもない。

今度の文書は、そのアラスカ会談で披歴した中国側の理念を具体化したものと思われる。内容の吟味はこれからだが、中国がアメリカのような自由と民主主義を取り入れることは絶対にない、ということは明らかだ。

アメリカの建国時の「自由」は一言でいえば「イギリスからの自由」であっただけで、黒人奴隷にはまだ何の自由もなかったし、国民的に見ても、今日的な本当の自由はなかった。

個人が自由裁量で候補者を選ぶ、あるいは立候補ができる「選挙(被選挙)制度」もそう古いものではない。

二大政党制というのもある種の「規制だらけの選挙」に見えるし、候補者がいかに選挙資金を集めるかが当選を大きく左右するというのも民主主義的ではない。私はこれを「金主主義」と呼んでいる。日本だったら公職選挙法違反になるに違いない。

その一方、中国にはそもそも自由な選挙制度がない。全国人民代表者大会(全人代)に参集する人民はもちろん自由立候補、自由投票の結果選ばれた者たちではない。それに「天を支えているのは男性と女性」という割には、女性が圧倒的に少ない。

中国では女性たちの活躍の場は少ない。人民解放軍の資金から生まれた企業のオーナーの妻か娘か、はたまたスポーツ関係のアスリートなどだろうか。

女性アスリートは女性同士の争いであり、男性優位をゆるがすことはないので、むしろ共産党政府は女性アスリート強化にテコ入れしているようだ。金をかけて世界からいいコーチを呼び、オリンピックのような大舞台に選手を送り出してメダルを取らせる。共産党政府の宣伝にもなる。

この最たるものが、北朝鮮だ。メダルを取りやすい競技種目で女性選手を徹底的に鍛え、金王様の期待に応えたら、目の玉の飛び出るような豪華なプレゼントが振舞われる(北朝鮮の正式名称は「朝鮮民主主義人民共和国」である。間違いなく「民主主義」なのだ)。

中国はそんな北朝鮮のやり方はもうとうに卒業している。むしろアメリカ並みに女性アスリートが高額な賞金を稼ぎだしたのに驚き、規制をかけ始めたようだ。今度の女子テニスプレーヤー彭帥(ホウスイ)さんの不倫告発も、根っ子はどうやらその一環のように思われる。

世界女子テニス協会(WTA)はそんな中国の暗部を問題にして、今回「女子プロ大会の中国開催を取りやめる」と声明を出した。もちろん中国は反発している。中国大会で運営に金を出しているのは中国側だから、その去就が注目される。

それにしてもアメリカ由来の「興行的スポーツ」が何もかもプロスポーツを金まみれにしてしまった。最近注目を浴びているスケボー競技もその一角に入ってしまった。何とも打算的な国だ。アマチュアスポーツ精神というものが、アメリカではもう失われてしまったようだ。

その点、日本はアマチュアスポーツ大国である。野球しかり、サッカーしかり、マラソン(駅伝)しかり、すべて学校スポーツから始められており、「目の前に札束」をぶら下げられなくても、体を鍛え、みんなと楽しいからやるのが大前提だ。

日本の民主主義も戦後75年で「日本型民主主義」となった。

第一、天皇という「国家元首」を頂いている姿そのものが、日本的だ。しかも天皇の起源は古く、少なくとも1300年は直系でつながっている。イギリスにも元首(女王)がいるが、たかだか400年である。圧倒的な歴史の重層があり、これは政治的というよりは文化的である。

その文化の層の中に、中国やイギリスやアメリカ由来の文化が現存し、融けあっている。こんな国は実に稀有である。

日本はこれからも「日本型民主主義」を追求し、継続していくべきだろう。

その行きつくところ、また保証するのは、日本の永世中立国化だと私は考えている。

世界はそれを待っている。




オミクロン株でまた自粛?

2021-12-02 09:54:28 | 災害
また南アフリカで新型コロナウイルスの変異株が見つかり、今度の変異株の名はオミクロンだそうだ(南アフリカ発最初の変異株はベータ)。

ギリシャ文字のアルファベット24文字が英語のAに当たるアルファから順に付けられており、今度の変異株は12番目に当たるという。

ところがテレビ報道によると、英語のМ・N・Qに当たるミュー・ニュー・クシーはパスされ、3つ飛んだオミクロンと名付けられたそうだが、これはWHOが「クシー」は中国共産党指導者「習近平」の「習」の中国読みが「シー」なので、それに忖度して飛ばしたという。

WHOの中国への忖度は去年のパンデミック指定直後から見られており、今さらという気がするが、共産中国の世界機関への関与が年々強まっていることから考えれば、「習近平」の顔を立てた、立てざるを得なかったということだろう。チャイナマネーのしからしむる暗部だ。

それはそうと、今度のオミクロン株を加えて変異種がすでに12種類も発現していることの方が驚きだった。

最初のイギリス株の出現で騒がれ、4番目のインド株デルタで大騒ぎになったが、その後はさして新種は俎上に上らず、特にアメリカ由来の2種の変異株イプシロンとイータ株は報道されることもなかった。

現在感染者数4600万人、人口の8人に一人が感染者という、質量ともに世界最大の感染を出しているアメリカ由来の変異株はさほど感染性が強くなかったので、報道圏外だったのだろうか。ちょっと首をひねる対応である。

日本では10月下旬以降、新規感染者が目に見えて減って行き、11月の中旬からは全国でも100人台と激減したので、自粛制限緩和に踏み切る自治体も増えてきていた。

鹿児島県でもここ2週間余り、一日だけ1人の感染を見ただけでゼロの日が続き、かつ入院治療者もゼロになったので、11月25日付で「感染予防対策徹底店」のみ、自粛から解放する措置を採った。そういう飲食店は、客の人数制限なしで以前通りの営業時間・酒類の提供ができるようになったのである。

しかしその喜びも束の間、翌日の新聞に「南アフリカで新たな変異株出現」、その翌日には「在日の南アフリカの外交官が変異ウイルスに感染」と大きく報道され、今やこのオミクロン株の話題のない日はないというありさまになってしまった。

オミクロン株は細胞に侵入するためのスパイクタンパクに30か所も変異していると言われ、そのため感染力がこれまでより10倍も強いなどとテレビのニュース番組で取り上げられており、ちょっとしたパニックになっている。

政府はすぐに、先手を打つように「すべての海外からの入国は認めない」と水際対策を徹底する方針を示したが、「外国に赴任している日本人も例外ではない」との方針のようで、これには「海外邦人の安全を確保するのが政府の役目だから、とにかく希望者はすべて帰還させよ」という意見がある。自分もそう思う。

一昨年来の流行の折に、緩かった水際対策への批判に懲りた政府が、今度は逆に先手徹底対策を採って批判を受けまいとしたのは分かるが、そこは行き過ぎだろう。

このオミクロン株の報道に舌打ちをしたいのが、飲食業界とくに居酒屋などの経営者だろう。営業時間の延長が可能になったことで、11月半ばくらいからは以前の客足が戻って来たと喜んでいたのだが、またまた暗雲が漂って来た。

これから国内では飲食業界書き入れ時の忘年会シーズンに入るわけだが、今までに学んだ対策を緩めることなく接客対応すれば普通に営業してよいのではないかと思う。ただ、人口密集地域からの客については用心をするに越したことはないだろうが。