以前、ご披露すると言っていましたカメラ機材のご紹介です。
大学入学時、父より譲り受けたニコンFEです。当時はやっていた「シンプルニコン」。これが最初の一眼レフ。レンズは35mmF2です。この組み合わせで10年くらい使っていましたか。ボディの大きさが私の手には若干小さく、手の中で遊ぶ感じで、革製の専用ケースの下半分のみでボディーを覆って、ホールディングの改善に役立てていました。このカメラで初めての海外旅行も体験しました。期間的には最も長く使っていたカメラ。
機械的精度は甘い部分もあり、可動部がガチャガチャするところはニコンらしくありません。巻き上げレバーはすこぶる軽く、ラチェットのジリジリ音が耳につきます。当時販売されていた「F2」の方がチタン製シャッター幕を巻き上げている感覚が親指の指先に快適でした。機械精度では「F2」の方が2段階上かな。ファインダーが明るくてピント合わせは容易です。
革ケースの破損に伴い、購入したモータードライブ「MD-12」を装着。これを付けるとホールディングが改善できました。連射の必要性ではありません。グリップのために付けていたと言っていいでしょう。モーターが内蔵されている大きなグリップには指全体がしっかりと掛かりますので、カメラを片手で持ち歩く時も安心です。
フィルム巻き上げ時の音はとっても大きく、人混みの中、特に観光地ではちょっと恥ずかしい。素人さんにシャッター押しをお願いすると、その音でびっくりしてカメラを落とされるのでは余計な心配をすることもあります。でも、これぞ機械という音です。昔の外付けモータードライブは五月蝿く、芸能人の記者会見に花を添えていました。ストロボの閃光とバシャバシャのシャッタ音。時々、キュイーンという音で「あっフィルムが無くなったな」とわかります。MD-12には巻き戻し機構はありません。手動です。
単三電池8本がカートリッジ式にモードラ内部に収まりますので、重心が下に来てカメラの安定が良くなります。三脚穴がグリップ側にずれて付いていますので、雲台上での左右バランスがすこぶる悪いです。これを修正する三脚専用のアダプターがあるのですが、これを付けるとガタつきが大きくなります。したがって、三脚を使うときはMD-12を外します。この点が不便。
装着しているレンズは約8年前に購入したシグマの28-70mm F2.8 EX ASPHERICAL DF当時、財布が寂しい時代で、将来のオートフォーカスカメラの購入を前提に、とりあえずズームレンズの必要性に押されて新古品で購入しました。F2.8通しのズームですので、単焦点35mmに比較してとても大きいのですが、鏡筒がプラスチックですので見た目よりも軽いです。MD-12とともに装着すればホールディングバランスも悪くありません。このレンズ欠点はヘリコイドの回転方向がニコン純正の逆です。ピント合わせに慣れが必要です。
老眼が始まり(と言っても老眼であることに気がついたのは後になってから)、ピント合わせが難しくなりました。オートフォーカス一眼が欲しくなり購入した「F4」です。憧れのF一桁シリーズですが、F4は中古市場では人気無いですね。安くて助かりました。外殻がエンジニアリングプラスチックなので使い込んでいくと、表面がテラテラになってきます。通常、カメラのブラックボディーは塗装が剥げて、真鍮の下地が出ると「味」が出てくるのですが、「F4」は使い込むと「味気」がなくなります。この点が中古市場で嫌われている理由なのでしょうか。
でも中身は別物。さすがは「F4」です。現在の評価は「最高のマニュアルフォーカスカメラ」と言われている通り、ファインダーでのピント合わせは非常に快適です。シャッター音も「FE」とは雲泥の差で「上品」です。オートフォーカスは中央部の1点のみ。中身が電子化されているにもかかわらず操作系は古くからの一眼レフの伝統を引き継いでおり、頭で考えるよりも先に指先が動きます。
自動露出ではプログラムオートも用意されていますが、「FE」時代から絞り優先のみを使っています。単三電池が内蔵されるグリップは手のひらにしっくりと馴染み、ホールディングは良好です。
シグマレンズはヘリコイドリングをAF側にスライドさせるとフォーカスのカップリング軸と切り離されリングがフリーで回転します。不用意にMFにスライドさせるとフォーカシングモーターにつながり意図せぬ回転をします。カメラ側でもMFに切り替えが必要です。オートフォーカス過渡期の欠点でしょう。「F4」ボディーとの大きさ的なバランスは悪くありません。
時代はデジタルカメラ、昨年頃からリバーサルフィルム現像の色合いが変わって来ました、何となくしっくり来ない。現像ごとにばらつきが出るようになりまして、とうとうデジタル一眼レフを購入しました。過去のレンズ資産を引き継ぎ、体に染み付いた焦点距離と画角の関係を今更変えるわけにも行かず、フルサイズセンサーの「D700」を購入。昨年秋時点で価格がかなり安くなっていましたし、モデルチェンジの噂もちらほら、と言うことはそろそろ「底値かな」。
デジタルカメラは私の撮影態度を大きく変えました。フィルム時代は一コマ一コマを大切にしていたつもりでしたが、デジタルはとりあえず「撮っておく」感覚です。最良のショットは後で「パソコンで選ぶ」のです。これができるようになるまで一年かかりました。
フルサイズセンサーと搭載するだけのことはありボディは大きいです。右手側のホールディングは良いのですが、外装の滑り止めゴムの粘着感はあまり好きではありません(個人的好みです)。シャッター音は「F4」に比較して大きく、ミラー動作のショックも感じます。特に2000分の1秒以上の高速シャッターではミラーショックがより大きくなります。この点は私の中では減点。
特筆すべきはISO6400の高感度特性。先日の「松江水燈路」のような夜間撮影で威力を発揮します。これには文句のつけようがありません。このカメラ、様々な機能が搭載されており、はっきり言って全て使いこなしているとは言いがたいです。露出は相変わらず絞り優先で使用。レンズで絞りを合わせるのではなく、コマンドダイヤルでクリクリ。頭で考えないと使えないカメラです。
シグマのズームですが、フィルム時代には気にならなかった逆光耐性、シャープネス。気になりだすと欠点ばかりに目が行きます。という訳で、へそくりも貯ったことだし、中古ですがニコン純正のレンズ、Ai AF-S Zoom Nikkor ED 28-70mm F2.8D(IF)を導入しました。長い名前。今年の夏のこと。
カメラ屋さんに中古の在庫がありませんでしたので、インターネットで良さそうな物を2点物色。良い方を必ず購入するとの約束のもと、2本を取り寄せてもらって購入しました。その際はありがとうございました。
このレンズが世に出た時、三重苦レンズと言われたようです。「重い・デカイ・高い」確かにそうです。フードを付けると望遠レンズ?といった外観。後継のナノコートレンズは大三元だそうですが。肩から下げてお気楽に持ち歩くわけにもいかず、大きなショルダータイプのカメラバッグも追加購入になりました。
このレンズはレンズ内の超音波モータで静かに、素早くフォーカシングしてくれます。フォーカシングリングを回すとマニュアルフォーカスにシームレスで切り替わります。この機構は素晴らしく便利。映りはシグマに比較して像の芯が細いです。特に広角側では、シャープネス足りないの?と思うこともありますが、ディスプレイでRAW画像を比較すると、カリッと合っています。逆光でも画像中心に太陽が入ってこない限りコントラスト低下はありません。お値段相応の素晴らしい写りです。
D700との外観上のマッチングも良く、右手でボディー、左手でレンズを支えるとフォーカス、ズームリングに自然と指先が届きます。ホールディングに問題はありません。撮影意欲をかきたてるレンズです。
現在所有のレンズラインナップはこの3本。左からトキナー100mmF2.8マクロ。これはトキナーのアウトレット品ですが新品です。カミソリマクロとも言われます。フォーカスはカメラ側のモーターで駆動します。フォーカスリングの前後移動でオートフォーカスとマニュアルフォーカスを切り替えられますので、マニュアルフォーカスを多用するマクロ撮影にはとっても便利です。お花関係はこのレンズを使います。
真ん中は先ほど紹介した三重苦ズーム。常用レンズです。デカイのでお散歩レンズには出来ませんが。D700にはいつも付いています。
右端はAi AF Zoom Nikkor ED 80-200mm F2.8D。直進ズームの最終モデルです。子供たちのピアノ発表会の撮影を依頼されて、急遽購入したこれまた中古レンズ。フード部分に若干の傷がありましたが、レンズはとても綺麗で、カリカリのピントが来ます。真鍮製の大砲といった感じ。体力が落ちた腕にはずしりと来ます。ズームとフォーカスがひとつのリングで合わせられますので、とても使い易いです。オートフォーカスとマニュアルフォーカスの切り替えがとっても面倒ですが、このレンズでの撮影シーンで頻繁な切り替えはありませんので苦ではありません。
約15年前に購入したスナップ用カメラ。ニコン35Tiです。この頃、高級コンパクトカメラの流行がありました。コンタックスT2が有名でしたが、ニコン党の私としては、ニコンも発売してくれないかなと待っていて発売されたカメラです。後に28Tiも出ましたが、やはり、焦点距離35mmの方が使い勝手良く好きです。
購入したのは実は香港。輸出モデルです。安かったからですが、使用説明書は英語です。まあ、説明書を見なくても使えるので良いのですが。香港島のカメラ店が多く集まる一角で、旅行ガイドブックを頼りにお店を探しました。店構えで良心的そうな所に入り、拙い英語でニコン35Tiはあるか尋ねると、コンタックスを薦めてきました。それでも「35Tiを」と言うと、次は「28Ti」を薦めてきます。しつこく食い下がり「I want 35Ti!」。数分間待たされて、長く感じましたが、お店の奥から出てきました。カメラに関して偽物はありえないですが、故障品を掴まされる事はあるでしょう。電池を入れて作動したときにはホッとしました。
何と言っても外観的特徴は軍艦部の機械式インジケーター。ステッピングモーターで制御される回転式の針は精密時計のようです。窓はサファイヤガラス。電源スイッチを入れるモーター音高らかに繰り出されるNikkorレンズ。外装はチタンです。シャッターボタン半押しでカチッと精密機械のように制御されるフォーカスは耳に心地よいです。残念ながらピントは精密ではありませんでした。距離は軍艦部の針式メーターで表示されるのですが、ファインダーを覗いている時に数値は確認できず、何のためにここにあるのか?です。旅行のスナップ用に使用しましたが、結局、コンパクトデジタルカメラにその座を奪われてしまいました。