あの夏も暑かったです。今から50年前、平田の天神祭の頃、夏になると家の窓、襖は取り払われ家の中をわずかに涼しい風が通り抜けていきます。居間の白黒テレビに宇宙中継の画像が写っていました。アポロ11号の月着陸の瞬間が生中継です。父と小学生低学年の私は興奮気味にテレビを見ていました。ノイズ混じりの画像はどこを撮影しているのかわかりません。人間の動きらしいものがあります。音声はやはり雑音混じりの英語、時々“ピッ”という交信の切り替え信号が聞こえていました。同時通訳の西山千さんの切れの良いなめらかな日本語が今でも耳に残っています。
あれから50年経過しました。アポロは11号、12号、14号、15号、16号、17号の6回のミッションで終了しました。12人の宇宙飛行士が月面に降り立ったことになります。その後は人類は月面に立っていません。
三瓶山の三瓶自然館でアポロ展が開催されています。行ってみました。
ペーパークラフトのロケット。100分の1の縮尺です。旧ソ連のN1ロケット初めて見ました。見るからに小さなロケットエンジンを束ねて無理やり推力を引き出そうとした設計思想が形に現れています。効率が悪そうです。推力の大きなコンパクトなロケットエンジンがロケット開発の肝であることがよくわかります。実際、N1ロケットは実現できず開発中止になりました。アメリカのアポロのサターンロケットはケロシンと酸素でしたが、現在は水素と酸素。エンジンは小さくても推力が強力です。ロケット全体が洗練されスマートに仕上がっています。
当時の撮影画像。ハッセルブラッドの宇宙仕様のカメラを使っていたはずです。フィルムはブロニーでしょう。コダクロームを使っていたに違いない。きれいに色が再現されています。
真空中ですからきれいに写っています。大気の無い太陽光線直撃でレンズのゴーストがこれだけに抑えられているのはすごい。さすがはツァイスのレンズ。内部反射を徹底的に抑えた結果でしょう。
宇宙服。本物らしいです。月に行って持ち帰ったもの?訓練用?
月の石。アポロの月着陸の翌年の大阪万博でアメリカ館に月の石が展示されました。ものすごい長蛇の列。ソフトボールくらいの大きさだったでしょうか?はるか彼方に本物を見た記憶があります。地球上で見るお月様よりも小さかったです。
こちらも本物の月の石だそうです。10センチ先にあります。大きさはゴルフボールくらい。マクロレンズを持ってくれば良かった。そもそも撮影OKなのでしょうか。撮影していても会場の係員さんは何も注意しませんでした。
FUJIFILM X-Pro2 + FUJINON XF18mmF2 R
アポロ、大阪万博。私の中では科学技術は未来を切り開いていく夢の実現に必要な技術でありました。福島の原発事故が起きるまでは。